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天の国15


 敵は本能寺にあり。


 とはいうものの、


「堕天使の数も大分増えましたね」


 フォトンの言う通りにして、その通り。


 もはや文明がどうのと云う次元でも無い。


 なお厄介なのは地上の亜人。


 防護結界は道中には存在しないし、あまり文明にも期待は出来ない。


 名も無い天使と堕天使が、空でドンパチやらかしている。


 地上はウーニャーが一掃。


 地球が丸くて助かった。


 仮に世界が平面なら、ウーニャーがドラゴンブレスを吐いて、三百六十度首を回せば、世界が滅ぶ。


 この際、宇宙の星々への影響は、度外視してもいいだろう。


 そんなこんなで、


「不条理です」


 の看板しょった一個旅団が、天の国を進軍する。


「主の祝福ねぇ」


 適当に亜人を掃討し、道中四方山話をしていると無限復元が話題に出た。


 ミカエルはソレを、


「主の祝福」


 と表現する。


 間違ってはいない。


 字面としての祝福では無いだろうけど。


 ぶっちゃけた事を言えば神の子。


 ゴッドチルドレン。


 天使とは違って計算を入れて指標を提示し、


「さぁ人間を造ろう」


 とした結果の産物だ。


 当人らにはいい迷惑だが、


「面白い」


 とはミカエルの言。


 くっくと笑っていた。


 天使の清純さ。


 堕天使の殺戮性。


 および不死身にも似た無限復元。


 神様は一体人間を何だと思っているのか?


 巫女の苦労が手に取れる。


「ゴッドゲイザーか」


 そっちについては、さすがに知らないのだろう。


 まぁここで量子論を語るのも何だけど。


「で、その祝福……というか呪詛を祓うにあたって、主の殺害を選んだと」


「他に方法はないしね」


 ラセンが肩をすくめる。


 実はあるんだけど沈黙は金だ。


「しかし主の居ない世界ってのもなぁ」


 ミカエルはぼんやりと、火花散る空を見上げて、空想しているらしかった。


「人間の精神性はさほど変わんないけどね」


「主がいないってことは魔術も無いんだろう?」


「まさに」


「どうやって世界を運営してるんだ?」


「物理法則」


 他に何がある。


「物理法則?」


「古典物理学に端を発し科学を極めた世界」


「かがくってーと……」


「世界の成り立ちを逆算して文明を押し上げる力だね」


「?」


 とミカエル。


「色々と便利ですよ」


「技術って言うと水車とかそんなんか?」


「ですね」


 水でギアを回転させる事で仕事を得る。


 それは水車も水力発電も変わらない。


「自動で糸を縫うミシンだったり、遠くの人間と話を成立させる電話だったり」


「むぅ」


 と唸られた。


「まぁとりあえず人類の業の深さは、そんなに変じてはないよ」


 向こうでも戦争や飢餓や難民は平然と存在する。


 場合によってはこっちよりも悲惨かも知れない。


 エリート階級の暴走によって、富の落差はいや増すばかりで、救われない人間は何処までも救われない。


 なんか言ってて嫌になってきたなぁ。


 まだ天使や亜人と戦っているこっちがマシな気がしてきた。


 戦争も起こってはいるけど。


 僕らの国はまだしも穏当だけど、ソレも果たして何処までやら。


「結局主が居ようと居まいと……関係ないに収束するのか?」


「かもしれないね」


 ミカエルの結論も妥当だ。


 僕としては苦笑する他ない。


「ウーニャー!」


 亜人を滅殺してるウーニャーが口を開いた。


「こんな危険地帯もあるの?」


「ある」


 テロリズムの横行する修羅の巷は確実に存在する。


「ウーニャー……」


 まぁ想像は出来まい。


 僕もそんなに知っているわけでも、まして実体験でも無いのだから。


「ははっ」


 ミカエルが笑った。


「にゃは」


 ガブリエルも笑った。


「何でしょう?」


「主に反命するようだが」


「ちょっとマサムネちゃんの世界に興味がね」


「捕まって研究材料がオチだよ」


 羽生えて、魔術ぶっ放して、人間を触れて癒やせれば。


 宇宙人よりも現実的な分……笑えない。


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