天の国10
とりあえず天使の築いた文明を見て回って、今日は高級ホテルで一泊。
結果として人間にも劣らない文化水準だった。
「ふい」
と風呂に入る。
それはフォトンもウーニャーもそうだしラセンもそう。
とりあえず全員水着姿。
「私もなの?」
ガブリエルは首を捻った。
「さいです」
水着で背中から翼を生やして入浴する。
中々壮大な景色だ。
セックスシンボルも褒めるに値する。
「フォトン?」
とこれはラセン。
「なんでしょう?」
「毎回こうやってマサムネと一緒に入浴してたの?」
「ええ」
今更だ。
「まさかコピーがオリジナルを超えるなんて……」
変なところで愕然とするラセンだった。
「抱いてないよ?」
釘を刺す。
「むぅ」
唸られる。
半眼になる深緑の瞳。
「本当に?」
「童貞です故」
ほんわか言ってのける。
「今夜抱いてください!」
頭の悪い意見。
無論フォトンだ。
「却下」
「相思相愛ですよ!」
「だぁね」
「ならやる事は一つです」
「結婚だね」
「婚前行為も一興かと……」
「だぁめ」
ツナデを切り捨ててフォトンを選んだのだ。
通念にはしたがって貰う。
「うー!」
やんややんやとフォトン。
「何するの?」
とウーニャー。
「何でも無い」
他にどう言えと。
「バーサスで関係を持つなんて普通ですよ!」
「ウーニャーにそんな酷い事は出来ないなぁ」
「私にです!」
知ってる。
「マサムネ?」
ラセンが尋ねてくる。
「本当に童貞?」
「間違いないよ」
誇れる事でもないけど。
「フォトンがいいなら私もいいよね?」
「師弟揃って……」
のぼせるより先に頭痛が襲う。
「ラセンは出しゃばらないでください」
「とは云っても基本スペックはフォトンと同じ……というかフォトンが私と同じなんだけど……」
要するに、
「フォトンが好きな物はラセンも好き」
という等式だ。
「ウーニャーもパパが好き!」
「これ以上混乱させないで」
あたまのずつうがいたい。
「デミウルゴスとの一大決戦の前にラブコメに決着を付けるべきです!」
メタな発現をするねぃ。
「とりあえず神を殺して真人間に戻らないとどうしようもないでしょ」
処女のまま出産なんて……聖母のように器用な真似が出来るとは、とても思えない。
別に出来ても抱く気は無いけど。
「ゲイじゃないですよね?」
「それは大丈夫」
というか不名誉なんだけど。
「それで」
とガブリエル。
「剣の国にはいつ行くの?」
「出来ればすぐにでも」
とりあえずこのホテルで一泊はするんだけど。
「堕天使に襲われるけど……マサムネちゃんは大丈夫なの?」
「まぁ偏に無限復元の加護があります故」
一番の足手纏いには相違ない。
けれども見届ける必要はある。
それから少しの介入。
「じゃあじゃあ」
とフォトン。
「せめてキスして」
「それくらいならいいけど……」
既に何度かした中だしね。
それもフレンチな奴を。
そう云う意味ではあの頃から惚れていたのかなぁ?
そんなことを思った。
「マサムネ様っ」
ルンと弾むようなフォトンの言だった。