天の国07
今日は今日で、村にて宿を取った。
僕とフォトンとウーニャーとラセン。
四人でトランプをしながら親交を深める。
やってるのは大貧民。
別名……大富豪。
「こういう娯楽もあるんだね」
とラセンはしきりに感心していた。
話題は遷ろう。
「ではマサムネはフォトンが?」
「ですね」
「異世界かぁ」
一応世界の成り立ちについては説明してある。
「フォトンが光の国に留まらなかったのは痛恨だけど」
ですか。
「ま、それはもういいや」
「いいのん?」
「無限復元がある限りどうにでもなるしね」
それはまぁ。
とりあえずカードを切ってあがる。
「とりあえず天の国ね……」
「天国?」
違うと思うな。
ある種のお迎えの国になるかも知れないけど。
「フォトンとラセンはいいけど、僕にとっては脅威だ」
不条理ではあるけど事実でもある。
とりあえずフォトンかラセンに身を寄せて、無限復元を適応させて貰わないと、生き残れる自信が無い。
まこと矮小な存在である。
というかフォトンとラセンが規格外なだけなんだけど。
「ウーニャーは?」
「竜の国に還すよ」
サクッと言う。
「パパ!」
とウーニャーは憤慨した。
カードを切る。
「ウーニャーも一緒に行く!」
「まぁ天使程度にやられるとは思ってないけど」
「ならいいじゃん!」
「剣の国でデミウルゴスと対峙すると殺されるよ?」
基本的に世界を創造した絶対神では無い。
あくまで知性体の延長線上。
デミウルゴスはソレに相違ない。
が、少なくとも、
「地球管轄内で、自滅願望以外の手段を以て、デミウルゴスを弑する事が出来るか?」
と問われれば、
「否」
としか返せない。
ぶっちゃけた話をするならば、ドラゴンスケイルとてデミウルゴスの管轄だ。
であれば、
「デミウルゴス>ウーニャー」
の不等式が成り立つのも、また自明。
攻撃に於いても。
防御に於いても。
ソレで、
「ウーニャーに万が一があったら僕が金竜王に殺される」
そういうことだった。
そんなゲッシュを僕は背負っている。
「じゃあフォトンとラセンだけ天の国に送ってパパはウーニャーと竜の国で過ごそ?」
「場合によっては僕の力が有益になるかも知れないから僕は同行する」
「じゃあウーニャーも!」
こう言っちゃ何だけど、
「自滅願望でもあるの?」
「他衛はあるよ?」
まぁ僕のことだね。
「云っとくけど洒落じゃ済まないよ?」
「それはパパも一緒でしょ?」
「僕はフォトンにくっつくから」
「マサムネ様……」
フォトンが照れ照れ。
まぁさりげに相思相愛であったりする。
「じゃあウーニャーはラセンの頭に乗る!」
「…………」
いいのかなぁ?
「パパはウーニャーのバーサス!」
「マサムネ様は私のバーサスです」
そーだけどさー。
ラセンがカードを切ってあがった。
「愛されてるね」
「恐縮だけど」
ラセンの皮肉に肩をすくめてしまう。
「しかしラセンはエルフ魔術まで使うんだねぇ」
「じゃないととっくにお縄だよ」
嘘つけと云いたい。
「とりあえず」
僕はオーラを広げる。
大体宿の部屋程度。
「?」
とオーラを感知する三人。
その一人の思考を読み取る。
零一の羅列。
そこから法則性を導き出しファイルに落とし込む。
プログラミングでシステム改竄。
印を結んでクラッキング。
ラセンの残虐性を穏便な衝動に変えた。
「っ!」
理解できたのだろう。
驚くラセンだった。
まぁ無難なのはいい事だ。
「?」
フォトンとウーニャーは分かっていない。
別にいいんだけど。
この一人と一匹にとってはラセンの暴虐、
「何するものぞ」
である。
今回の一件は僕の保身とラセンへの戦力の可否を問うソレ。
ラセンは聡くソレを認めるのだった。