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天の国03


 着いた先は惨状だった。


 オーラを感じ取れる。


 ラセンの物だろう。


 ザクザクと斬り殺された惨殺死体に、吐き気を催す血の臭い。


 そして深緑の髪の美少女が、斬り殺された人々を手で触れて癒やしていく途中だった。


 オーラで読み取る。


 透遁の術だ。


 無限復元が適応されて惨殺死体は快癒した健康体に巻き戻る。


 が、透遁の術を行使している深緑の美少女は見えていないため、自分が何故死んで何故生き返ったのかは把握できないらしい。


 偏に血の雨が降ったという現象だけが印象づけられる。


 なるほど。


 現象だ。


 すっと深緑の髪の美少女はこちらに気づく。


 顔形はフォトンと同じ。


 体型も……印象も……。


 無限復元の能力まで、だ。


 ブラッディレイン……ラセン。


 フォトンの同一別個体。


 いや、逆だね。


 フォトンのオリジナル。


「金を以て命ず。鎌風」


 いきなり惨殺行為に奔る。


 もっとも、


「ウーニャー?」


 僕らには通じなかったけど。


 ウーニャーは全属性防御持ち。


 フォトンは無限復元故に回復力が攻撃力より勝る。


 そして僕はフォトンと手を繋いでいるため無限復元が適応される。


「フォトン……?」


 今更だ。


 けれども分からないではない。


「とりあえず村人を救済すれば?」


 小さな村。


 ソに於ける蹂躙。


 後の救済。


 そして不可分無く日常が戻ってくる。


 殺した壊したは無かった事になるのだ。


 便利ね。


 無限復元。


「フォトンにはこっちが見えてるの?」


「ええ」


「オーラを」


「ええ」


「では遁術も」


「ええ」


 そんな感じ。


 とりま殺人衝動は治まったらしい。


「時間ある? 話したい事があるんだけど」


「あなたは?」


「マサムネ」


「そちらの真竜王陛下は?」


「ウーニャー」


「あなた方がフォトンを?」


「間違ってはいないね」


 苦笑して肩をすくめる。


 そして機能の回復した村で食事を取る事になった。


 トマトパスタだ。


 まぁ村ならこんなものだろう。


 ラセンはそこに葡萄酒を頼む。


「いいんだろうか?」


 そうは思ったけどツッコミはしない。


「それで」


 とラセン。


「フォトンはどうして?」


 光の国を逃げ出したのか。


 そう言う事だろう。


「ラセンに御願いがあって」


 無駄だと思うけど。


「なに?」


 とりあえずはラセンも調子を合わせた。


「私の無限復元を解いて欲しいんです」


「あー……」


 困ったように天井を見やるラセン。


 基本的にフォトンと同一の顔の造りだけど表情のクセで見分けは付いた。


 どちらかと云えばラセンの方が達観している。


「一言で言うと」


「一言で言うと?」


「無理」


「え?」


 フォトンがポカン。


「デミウルゴスリミッターが掛かるんですか?」


「それは関係ない」


「はい?」


 でしょうね。


「では……何故?」


「フォトンが私と同じだから」


「ええ……?」


 さっきからポカンとばかりしているフォトンである。


「ウーニャー」


 とウーニャー。


「パパ分かる?」


「大凡は」


「わかるんですか?」


「わかるの?」


 フォトンとラセンはこっちに注目した。


「ヒントは幾つかあったしね」


 僕は苦笑した。


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