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鉄の国20


 中略。


 七十階層。


 市場はもはやこれ以上無いほど縮小していた。


 さすがにガチ攻略組しか来ないため、商売のしようがないのが本音だろう。


 聞くに八十階層はもはや市場そのものが無いらしい。


 モンスターの肉を食べながらそんな話。


「にしてもあんたら」


 とは市場の商人。


「よくもまぁそんななりでここまで来れるね」


「いやぁ」


「褒めてるつもりでもないんだけど」


 知ってる。


「ここまで来たパーティに言うことでもないけど強いのかい?」


「人後に落ちない程度には」


「超嘘つき」


「お兄様らしいですね」


「ウーニャー! パパ最強!」


 ツナデはともあれフォトンとウーニャーには云われたくない。


 不条理という表現が此処まで似合うのはこの二者だろう。


 肉をガジガジ。


「なんだね。もしかしてクエスト?」


「んだんだ」


 商人の問いに首肯する。


「となると、狙いは白金のオレイカルコスかい?」


「です」


 とフォトン。


「ここまで来るくらいだからそりゃ強いんだろうけど……」


 口をむずむずさせる商人。


「九十階層レベルのダンジョンは舐めない方が良いよ?」


 別に此処までの道程も舐めたつもりは無いけど。


 結果として平穏無事ではあれども。


 戦力の把握と分散と温存。


 あらゆる計算のもとで最適解を叩き出した結果に今がある。


 そうには違いないのだ。


「肉お代わり」


「毎度」


 ぼったくり価格だけど非常識と言うほどのものでもない。


「ドロップアイテムがあるなら換金して貰いたいけど……」


「…………」


 肉をガジガジ。


「ここまで一切拾っていませんね」


 ツナデの苦笑。


「クエストしか見えてないのかい?」


「そうなります」


「七十階層レベルのドロップアイテムなら大金になるよ?」


「お金には不自由していませんので」


 やはし苦笑。


「珍しく無欲なパーティだこと」


「恐縮です」


「あんまし褒めてもないけど」


「ですよね」


 ツナデとしても異論は無いらしい。


 というか僕らのパーティの通念だけど。


「ウーニャー」


 とウーニャーが尻尾ペシペシ。


「お兄さんはモンスターテイマー?」


 階上でも言われたねソレ。


「竜騎士です」


「竜騎士……」


「要するにドラゴンのバーサスですね」


「とするとそちらの虹色はモノホンのドラゴン?」


「だぁねぇ」


 肉をガジガジ。


 基本的にダンジョンでドラゴンという場合は爬虫類の亜種を指す。


 系譜としてはドラゴンよりトカゲに近い。


 対するウーニャーは真竜王。


 説明すると差し障りがあるので述べないけど、ドラゴンブレスと人化の魔術を持ち、なお高い知性を宿す高貴な存在。


「ま、懐かれたもんで」


 肉をガジガジ。


「ウーニャー! パパ大好き!」


「僕もウーニャーが大好きだよ」


「むぅ」


「うぅ」


 フォトンとツナデが微妙な表情。


 これこれ。


 零歳児に嫉妬しない。


「とは言われましても……」


「恋敵に年齢は関係ありませんよ?」


「モテるねお兄さん」


 商人が苦笑していた。


「おかげで刺激的な毎日です」


 飄々と嘯く。


「マサムネ様!」


「お兄様!」


「へぇへ。何でっしゃろ?」


「私のことは!」


「好きですか!」


「アイライクユー」


「ウガー!」


「フシャー!」


 おちつけ。


「マサムネ様は色々と駄目です!」


「妹を可愛がるのは兄の務めです!」


「そうなの?」


 僕は商人に振った。


「何で小生に聞きますか?」


 困惑。


 眉をひそめる商人。


「いや、なんとなく」


 相手するのも面倒くさい故。


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