表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
344/512

鉄の国11


 とりあえずサクッとトロールを撃破して二十六階層。


 マッピングして冒険者とモンスターの把握。


 襲ってくるモンスターを撃退しながら階下を目指す。


 さすがにボスエリアを通して冒険者の練度が上がっている。


 オーラで捉えるに中々の猛者が散見された。


 下に行けば行くほど冒険者の数は減り、代わりに強さは凝縮していくのだろう。


 が、まだ和気藹々は続いている。


 出てくるのはゴブリンやリトルゴーレムの類。


 ツナデの拳銃が一番穏便だ。


 ゴーレムの方はルールに従って殺せばいいしね。


 そんなこんなで最短距離にてダンジョン攻略していると、


「うわあああ!」


 と悲鳴が聞こえた。


「ウーニャー?」


 とウーニャー。


 僕とツナデは声の反響から位置を特定できる。


 しょうがないからオーラを広げて調べる。


 パーティがモンスターに襲われていた。


 巨人と呼べるけど頭部は人のソレではなく角の生えた馬だ。


 ミノタウロス。


 そう呼ばれるモンスター。


 さすが異世界。


 さすがダンジョン。


 感涙が止まりません。


 オーラの方はボスエリア直前で会話を交わしたパーティだった。


 別に助ける義理も無いけど、


「…………」


 くわえていた薬効煙に火を点ける。


 煙を吸って吐き、印を結ぶ。


 術名。


「火遁の術」


 ミノタウロスに炎の幻覚が襲いかかる。


 いきなり発火して悶え苦しみだしたミノタウロスをパーティはポカンと見つめる。


 さもあらん。


 魔術師の影が無い。


 なお世界宣言も聞こえない。


 基本的にパーティもオーラの内であるためミノタウロスを襲う炎は見えるし、触れればショックを起こしもする。


 いいんだけどね。


 別に。


 煙をスーッと吸った。


 ほにゃら。


「ウーニャー?」


 とウーニャー。


 把握程度はしているだろう。


 一応オーラにも少し熟れてきた感があるし。


 さすがに大陸全土を情報処理できるほどの能力は持っていないようだけど、それでもこちらにとっては好都合。


 パーティは危機が去ったと覚るとドロップアイテムを拾っていた。


 まぁこの程度はサービスしても良いはず。


 そんなわけで階下に進もうとする。


 必然パーティとかち合う。


「お、さっきの兄ちゃん」


 気さくに話しかけてきた。


「どうも」


 僕は薬効煙をプカプカ。


「こんな所でタバコとは余裕有るな」


「ええ、まぁ。この程度なら」


 フーッと煙を吐いた。


「だがソレは油断だぜ?」


「ですか」


 プカプカ。


「さっき三十五階層以降にしか現われないはずのミノタウロスが現われやがった」


 貴重な情報だ。


「ま、かまやしませんよ」


「大層なことだ」


 そっちのミノタウロスへの認識がね。


 皮肉も念仏のようなものだから言わないけど。


 さしあたり、


「グルゥア!」


 トロールの出現が何よりだった。


 僕は薬効煙をプカプカ。


 フォトンはホケーッとしている。


 ツナデはコルトガバメントを構えた。


 ウーニャーは尻尾ペシペシ。


「マジかよ……っ!」


 気さくなパーティは戦慄していた。


 まぁボスエリアに出てきたのだから、それ以降の階層に出てもおかしくはないだろうけど……さ。


 こっちの視認。


 が、次の瞬間には見失う。


 ツナデの銃弾がトロールの双眸を潰したのだ。


「ギアアアアア!」


 痛みに悶えるトロール。


 問答無用で頭部に銃弾を撃ち込むツナデ。


 弾が切れると、


「金を以て命ず。装填」


 そんな世界宣言。


 さらに撃ち込む。


 完全なオーバーキル。


 至極真っ当な結論だ。


 無論、別のパーティには意味不明だろうけど。


「何だソレ?」


「銃」


 ツナデの言葉は端的を極めた。


「飛び道具か?」


「ですね」


「魔術……」


「似たような物です」


 クラークの第三法則とも言う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ