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鉄の国05


 次の日。


 朝食を食べてホテルをチェックアウトした後ダンジョンへ。


 地下へと続く空洞。


 そこは、


「…………」


 ガヤガヤと熱気に包まれていた。


 聞くに鉄の国の経済を支えている武器……その材料の調達はダンジョンで行なわれているらしく鉄の国の冒険者や傭兵はダンジョン攻略を生活の糧にしているとのこと。


 これは既に聞いていたけど、此度はイオル王子救出並びに白金のオレイカルコス採取を目的としたパーティがダンジョンに列を作っている。


 まぁそうもなる。


 クエストの達成は即ち救国の英雄だ。


 打算と陰謀が渦巻きもすると云うものだろう。


 薬効煙に火を点けて煙を吸う。


 フーッと吐いて、


「コレ僕らが行かなくても良いんじゃない?」


 率直な意見という奴を言ってみる。


 鉄の国の冒険者たちが勝手にクエストをクリアできるに金貨二十枚。


 とはいえダンジョンに潜らないことは有り得ないので列に並ぶ。


「そちらは?」


 ダンジョンの攻略に於いて色々と登録する必要があるらしい。


 質問に答えていると、


「無限復元……セブンゾール……フォトン様ですか!」


 フォトンに畏れ入る係の人。


「ではそちらの男性が……!」


 はい。


 最悪災厄です。


 やな感じ。


 まぁ牽制になるなら不利要素ばかりでもないだろうけど。


「それでパーティの編成は?」


「?」


 と僕ら一同。


「ええと」


 と係の人は(給料の内なのだろう)丁寧に説明してくれた。


 なんでもダンジョンに潜るには、


「パーティの登録が必要」


 らしく、


「パーティは最大四人まで」


 が通例とのこと。


「大勢で行っちゃいけないの?」


 至極真っ当な意見だったけど、


「不可です」


 と突っぱねられた。


 何でも、数を頼みにダンジョンの攻略をされると、クエストの管理からダンジョン内での休憩と補給の無制限さ……あるいは数にものを言わせたダンジョン内でのパーティの不穏当な言動からパーティ戦争まで顕著に目立つことになるらしい。


「パーティ戦争とな」


 とは僕の言。


 聞くに、


「ダンジョン攻略でもめ事が起きてパーティ同士が最悪殺し合いにまで発展する」


 らしい。


 ネトゲのダンジョンと変わらんな。


 得物やドロップアイテムの争奪などはネトゲでも問題になるけど、まさか現実のダンジョンで起こりうるとは。


 ちなみに僕らの道連れは僕ことマサムネ、フォトン、ツナデ、イナフ、ウーニャー、フィリア、ジャンヌである。


「どうなさいますか?」


 とは係の人。


「じゃあ」


 と僕は答えた。


 ダンジョンに潜るのは僕とフォトンとツナデとウーニャー。


 残りは待機。


 そんな風に。


 当然抗議があがった。


 イナフとフィリアとジャンヌだ。


「お兄ちゃんの傍に居る!」


 とイナフ。


「僕とツナデとイナフの戦力は似通ってるから今回イナフの出番は無し」


 僕はそう諫めた。


「お姉さんのトライデントの力は必要よ」


 とはフィリア。


「フィリアは数値で表わせば強いだけでサバイバルには向いてない」


 僕はそう諫めた。


「マサムネ様……私も必要ないのですか?」


 などとジャンヌ。


「まぁ人数制限があるからね」


 他に言い様もないだろう。


 別段贔屓しているわけでは無い。


 まず僕自身は前提条件。


 空間破却で破壊性転移を行なえれば帰りは一瞬だ。


 魔術が神の反応である以上、神にとって都合の悪い魔術という物は存在しない。


 ダンジョンの攻略に転移魔術は使えないけどダンジョンからの帰還には有効らしい。


 面倒くさいシステムだけど納得もする。


 残るはフォトンとツナデとウーニャー。


 フォトンはまず最悪のケースを考えれば必然。


 ツナデは僕と同様の能力を有しているため、派手さはないけど堅実な判断と裏打ちされた思索能力を持ち、なお油断も少ない。


 銃撃による援護もこの際加点対象。


 ウーニャーは……もう言うでも無い。


 全属性を封じる竜鱗に全属性を消去する吐息。


 ある種の例外を除いて、


「何が起きても無事」


 という点では心強い。


 イナフは戦力としては上位互換のツナデがいる。


 フィリアはトライデントの能力こそ強力だけど戦闘に於ける心構えという時点でペケ。


 ジャンヌは制圧的な能力であるため狭っ苦しい場所での戦闘に向いていない。


 別にコレは過小評価しているわけではにゃー。


 単純に向き不向きの問題だ。


「そんなわけで」


 と僕は薬効煙を吸う。


「トランプでもしながら帰りを待ってて」


 ヒラヒラと手を振ると、


「むぐ」


 と居残り組が呻いた。


 ジーザスクライスト。


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