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鉄の国02


 その日の内に冒険者ギルドへ。


 酒場と兼任していた。


 傭兵やら冒険者やらが酒を飲んで雑談している。


 僕らも円卓を一つ囲んで、ジュースを頼む。


 それから壁に貼ってあるクエストを幾つか見る。


「なんとまぁ」


 と云った様子だ。


 要するにダンジョン攻略がメインだった。


 結果なのだろう。


 ダンジョン攻略してそうなガラの悪い傭兵たちが屯しているのは。


 ベタではある。


「よう兄ちゃん」


 そう絡まれた。


 頬に傷を持つ巌のような傭兵だ。


 中々に強い。


 中鬼殺しといった所か。


「べっぴんさんを連れて歩いてるじゃねえか」


「恐縮だね」


 ジュースをコクリ。


 喉を潤す。


「良い思いしてるんだろ?」


「だぁねぇ」


 ぼんやり言うと、


「…………」


 ヒロインたちが凍てつく視線をこっちにやった。


 まぁ手を出してはいないため、傭兵の言う、


「良い思い」


 はしてないかもだけど。


 そこまで釈明することでもない。


「俺にも貸せよ。代わりにボコらないでやるからよ」


「あんまりその手の発言はしない方が良いと思うんだけど」


 死亡フラグだ。


 唐突に傭兵の足が燃えだした。


 炎。


 烈火。


 痛烈な感覚。


 それらが混然として傭兵の脳を襲う。


「ぎゃあああああっ!」


 燃える足をどうにかしようとどったんばったん。


 消える炎でもないけどね。


 あまりの痛みに食いしばる歯がボロボロになり最後には気絶した。


 そこで漸く鎮火する。


「ジャンヌかな?」


「他にいないです」


 すまし顔でミルクを飲む。


 が、ギルドの傭兵たちをどよめいた。


「おい。まさか」


「ああ、多分」


 そんな感動詞のやりとり。


 何でっしゃろ?


「ワーストカラミティ……か」


 何よ?


 その不名誉な二つ名は。


「何だそれ?」


 と別の傭兵。


「金貨二十枚の賞金首でありながら、ソレを餌にして近寄ってくる賞金稼ぎを返り討ちにする現象だ」


 現象かぁ。


 既に人扱いもされていないらしい。


「その男……妖術を操り、美女を囲い、敵対する者に絶望を振りまく大災厄。故に付いた二つ名が最悪災厄ワーストカラミティだ」


「…………」


 反論できずしぶしぶジュースを飲む。


「金貨二十枚だと……!」


 傭兵が目の色を変えるが、


「止めとけ」


 と別の傭兵が諫める。


「自分の命と金貨二十枚を秤に掛けるな」


 ご尤も。


「フリーランスですか?」


 ギルドの店員が話しかけてきた。


「ええ」


 とフォトン。


「あの……お間違えなければ……」


 深緑の瞳が、


「何でしょう?」


 と問う。


「無限復元……セブンゾール……かの光の国の宮廷魔術師……」


「ええ、フォトンです」


 苦笑。


 まぁ美辞麗句を並べ立てられたら一般的な感性の持ち主なら畏れ入る。


 驕るのも趣味では無いだろうから苦笑が出たのは必然だ。


「それで今日は如何な用で?」


「ダンジョンのクエストを探しに……ですね」


「フォトン様がいらっしゃるなら百人力です」


「そーかなー?」


 とイナフ。


 気持ちはわかる。


 基本的にフォトンの技術は破壊のソレだ。


 ダンジョンで使えば遭難必至。


 当人は死なないからいいだろうけど巻き込まれるこっちは良い面の皮である。


「まぁ場合によってはお姉さんがいるから」


 とフィリアがニコニコ。


 海と大地を荒らす神器。


 海王ポセイドンがトライデント。


 なるほど。


 ある種の保険としては旨みの有る話だ。


 色々なクエストを見て、それから一度ギルドの支部を出た。


 とりあえず今日はここまで。


 鉄の国。


 その都市の最も高級なホテルに泊まる僕たちだった。


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