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武の国14


「だから嫌だったんだ」


 都市ではもはや噂話どころか伝説になっていた。


 賞金首マサムネの百人切り。


 数えてないので百人も切ったかはわからないけど、とりあえず不躾に挑んでくる武士や浪士を片端から切っていって付いた二つ名が、


「百人切り」


 とまぁそういうわけ。


 純粋な戦力の結晶。


 そう云う意味ではもはや挑んでくるような猛者が居なくなったため悪いことばかりじゃないけど。


「結局大鬼殺しは現われなかったね」


 とは頭上のウーニャー。


「まぁ首都で御前試合があるのでありますから」


 とコテツ。


 要するに大鬼殺しは御前試合に参加するため首都に向かっており、結果として都市に居るのは中鬼殺し以下。


 そういうことらしい。


「師匠も中鬼殺しを制したのですから大鬼殺しの資格があるであります」


 嬉しくないなぁ。


 別に名誉のために力を持ったわけじゃ無いんだけど。


 今更ですね。


 とりあえずコテツはイナフの指導で肉体の運用について学んでいる。


 僕はツナデと訓練。


 時間は夜で食事前。


「疾」


 ツナデが手刀を放つ。


 受け止める。


 同時に主導権を奪われた。


 合気。


 ことコレに関しては僕より一歩先にいるツナデだ。


 結果として地面に叩きつけられる。


 撥ねると同時に跳ねて起き上がったけど。


「ウーニャー……」


 頭のウーニャーはガッシと僕の頭を掴んで離さない。


 これもこれで何だかね。


「さすが」


 褒める。


「お兄様はツナデに甘いです」


「お兄ちゃんだからしょうがない」


 苦笑。


 さて、


「…………ん」


 コキコキと首を鳴らす。


「もちょっと付き合ってね」


 そして僕は加速した。


 中略。


 珍しく宿の風呂に入る。


 武の国にも風呂の文化は在るらしい。


 男女で湯船が違うのは有り難い。


 僕はコテツと一緒に温泉に入るのだった。


 一応鍛え抜かれた体を持つコテツだけど、美少女顔とのギャップが激しい。


 男の娘。


 まぁそうなるよね。


「あう……」


 とコテツ。


 僕は気にせず体を清めて温泉へ。


 ついでに人化したウーニャーを抱きしめる。


 幼子なら男女の垣根は無いも同然だ。


 僕はロリコンじゃあございません。


「師匠の体は細いでありますね」


「まぁマッチョではないね」


 基本的に膂力に頼る戦い方は僕の範疇外だ。


 効率と技術。


 知識と運営。


 遁術と体術。


 以上。


「それであの強さでありますか……」


「然程でも無いけどなぁ……」


 本心だ。


 ぽやぽやと語っていると、


「御前試合には出るのでありますよね?」


「暇潰しだけどね」


 というかフォトンの御願いだ。


 しがらみというか何というか。


「大鬼殺しは並みじゃありませんでありますよ」


「だろうね」


 大鬼を刀一本で殺しきる。


 その技量は推して知るべし。


 場合によってはリミッターを外す必要もあるだろう。


 リミッターを外さなかったとはいえ大鬼の威力は体験している。


 まぁコテツに乗せられたんだけど。


「ウーニャー」


 ウーニャーが僕の胸板にスリスリと頬を寄せる。


「ま、何とかなるさ」


 他に言い様も無い。


 言う気も無いしね。


「師匠は死が怖くないのですか?」


「どうだろね」


 なんだかこっちに来てから死ぬ目には遭ってるけど、なんだかんだで乗り越えたし。


「死ぬことに忌避はあるかもだけど」


 怖いかと聞かれると、


「ねぇ?」


 困惑するより他は無かったり有ったり。


 そんなわけで結論を出すにはまだ若いだろう。


 だいたいフォトンがいるし。


 一応フォトンについては幾らか予想を立てているのだけど、どうにも証拠不十分。


 結局ブラッディレインに会うしかないのだろう。


 それはそれでやなんだけど。


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