鬼の国26
「な、渚の国……ですか」
困惑。
正直なドール王。
「ま、ね」
僕は薬効煙をプカプカ。
煙を吸って吐く。
風呂からはあがってるけど、僕の個室で雑談。
なんとなく、
「ドール王が僕にも懐いてきたような……」
そんな印象を受ける。
「し、死者の国……ですか」
「ま」
と僕。
「そこまで業の深いものでもないけど」
基本的に僕らが論評できる立場にはいない。
非常識。
ことその言葉に於いて僕ら以上はこの地球には居ないだろう。
ま、それは後の議論として、
「そこで会ったのがジャンヌだね」
「炎の巫女……」
「パイロキネシスト」
それが一番近いだろう。
灼熱を具現する存在。
そのまんま。
あらゆる害性を焼き払う。
浄化の炎は澱みの一切を許さない。
僕らにぴったりの人材でもある。
「一人には出来ない」
それもあったけど。
「ウーニャー」
尻尾ペシペシ。
ちなみにドール王の後頭部にである。
「パパはいい顔しすぎ」
「はっはっは」
笑うしか無い。
図星を突かれたも同然だ。
薬効煙を吸って吐く。
プカプカ。
「は~」
と納得と困惑。
ドール王のソレだ。
「よ、良く無事……でしたね」
「まぁ死者程度に遅れはとらないね」
不遜ではない。
傲慢でもない。
謙虚と言うには謙虚すぎる。
本当に、
「問題が無い」
のだ。
そもそうでなければ鬼の国を観光したりしない。
「そ、それは……そうですけど」
どうやら僕たちを案じているらしい。
「君は優しいね」
桃色の髪を撫でた。
「あう……」
頬を桃色に染めるドール王。
「今日は一緒に寝ようか」
「ふえ……」
真っ赤になる。
頬だけでなく耳まで。
「ふえ……ふえ……」
「だから大丈夫」
ハンズアップ。
薬効煙をプカプカ。
「僕はヘタレだから」
「ウーニャー」
ウーニャーも同意見らしい。
それもどうよ?
「まぁ紳士ではある」
ある種の。
「ふえぇ……」
難惑しているドール王だった。
乙女の一念。
鬼神もこれを避く。
というと大仰だけど。
そんなわけで明かりを消してベッドにダイブ。
「大丈夫?」
夜目で見ながらドール王に問う。
「だ、大丈夫です……」
あんまし信頼できないな。
「怖くないよ」
クシャクシャとドール王の髪を撫でた。
「ウーニャー」
ウーニャーはウーニャーで距離感が近かった。
「ま」
と僕。
「リハビリとでも思って」
「う、うぅ……」
プレッシャーらしい。
「怖くないよ」
ギュッとドール王を抱きしめる。
「此処に君を傷つける輩はいない」
「ほ、本当……ですか?」
「大丈夫」
優しく言ってあげる。
「きっとドール王もたった一人を愛せるようになるから」
「あう……」
頬を染めるドール王。
それが余りに愛らしく、
「きゃわいい!」
僕はギュッと抱きしめた。
「ふえ……わ……」
困惑するドール王。
それがまたそそる。
言わないんだけど。