鬼の国25
とりあえず今日のマッピングを終えると形の国へ。
「あう……」
と引け目のドール王。
ツッコまないぞ僕は。
部屋の割り振りも住んでいるため、
「食事」
と相成った。
ステーキが出てきた。
そもそも形の国は食事をする国民の方が少ない。
玩具だからね。
その上でドール王に献上するとなれば質が高くなるのも必然。
結果として美味にありつける。
肉をもむもむ。
脂肪が乗って口の中でとろける。
うむ。
美味し。
「ウーニャー」
ウーニャーはドール王の頭の上で手持ち無沙汰。
食事も水分も要らない身だ。
反応としては自然でもある。
「美味しい?」
ウーニャーがドール王に尋ねる。
「お、美味しい……ですよ」
おどおどとドール王。
「食べてみますか?」
「ウーニャー」
困っている。
声質でわかった。
「要らないけど」
でしょうな。
「ウーニャー様は……食事は……その」
「うん。必要ない」
「食べられないんですか?」
「ウーニャー」
「…………」
こっちを見られても。
「食べられないわけじゃないよ?」
「で、では何故……?」
「食べても意味ないし」
「ふえ……」
そんな様子だった。
とりあえず食事を取る。
それから風呂に入る。
形の国でなら一人で風呂には入れる。
これは特権行為だ。
「お医者様でも草津の湯でも」
……か。
とりあえずオーラで感じた限りでは脅威と成るようなモノは見受けられなかったけど。
「ふい」
風呂は極楽だ。
そんなわけで入浴を楽しんでいると、
「あ、あう……」
カラリと浴室の扉が開いた。
「…………」
沈黙。
沈思。
黙考。
「ええと」
困惑。
動揺。
困憊。
オーラで確認する。
幼い女体の二人。
ウーニャー。
ドール王。
二人が浴室に入ってきた。
もちろん水着着用。
「あー……」
言葉を探すけど空費する。
「え、えと……駄目で……しょうか?」
「駄目じゃないけど」
紳士的にはどう振る舞えば良いのだろう?
イギリスには行ったことないしなぁ。
「とりあえず」
僕は言う。
「頭の悪さは理解した」
「あう……」
凹むドール王だった。
「ウーニャー!」
ウーニャーが吼える。
ちなみに人型。
虹色の髪と瞳の美幼女。
「パパはヘタレ」
「知ってる」
指摘されても無理はない。
結果としてヒロインたちがいるんだし。
ウーニャーはそのまま。
ドール王は体を清めて。
それぞれ入浴してくる。
「大丈夫?」
僕はドール王に問う。
もとがコミュ障だ。
異性との混浴なぞ困惑の極地だろう。
「え、えへへ」
と強がるようにドール王。
「だ、大丈夫です……」
縦筋が額に奔っている。
どう見ても大丈夫では無さそうだけど。
ま、ツッコむのも野暮か。
「可愛い水着だね」
クシャクシャと桃色の髪を撫でる。
「あはぁ」
気持ちよさそうに目を細めるドール王だった。