鬼の国20
そんなわけで、
「うす」
「…………っ!?」
今日も今日とて空間破却。
空間破壊性結果論転移。
瞬間移動で鬼の国から脱出。
現われたのはマッピングしてある城。
ペンキをぶちまけたような彩色の謁見の間。
その王座には桃色の髪を持つ可憐な美少女が居た。
「……キュウ」
僕を見て気絶したけど。
なんだかなぁ。
気質を理解してもちょっとショック。
元が元だからしょうがなくはあるのだけど。
で、ここが何処かと言えば、
「形の国」
と呼ばれている。
「人形」
から、
「人」
を取って、
「形」の国。
国民が意思を持つ玩具の集団という奇天烈な国だ。
僕らに言われたくも無かろうけど。
で、王座にいる桃色の髪の美少女は形の国の王。
ドール王。
別名(というか僕的な感想として)コミュ障王。
人と接したり会話することが極度に苦手で、他者に怯えながら暮らしている小動物。
王の器ではないが、これには理由がある。
此処では語らないけどねん。
とりあえず気絶から立ち直るのを待った。
トランプでもしながら。
で、
「あう……」
とドール王が起きた。
「ども」
手をヒラヒラ振ると、
「ゆ、夢じゃ……なかった……」
悪夢だろう。
とりあえず合掌。
「ウーニャー!」
とウーニャーが僕の頭から離れてドール王の頭に乗る。
「う、ウーニャー様……」
「ウーニャー!」
とりあえず人が恐いドール王はこのメンツに於いてドラゴンのウーニャーにだけはある程度心を預けている。
人化すると駄目らしいけど。
「ウーニャー。パパたちを泊めてくれない?」
「わ、私の……家に……?」
「ウーニャー!」
「ふえ……」
チラチラと怯えたようにこっちを見る。
控えめに言って押し倒したい。
とても魅力的だ。
オドオドする辺りも加点対象。
「あの……その……なんで……?」
「ウーニャー。斯く斯く然々」
「な、なるほど……」
とりあえず理解は得られたらしい。
「鬼の国……ですか……」
「知ってるの?」
「えっと……その……まぁ……」
「ふむ」
「だ、大丈夫……なんですか?」
「特に今のところ脅威は感じないかなぁ」
マッピングも順調だ。
「それで夜は……こ、こちらに……と?」
「ウーニャー!」
「いいですけど……」
言質は取った。
「で、では……とりあえず……部屋の割り振りを」
「すんませんなた」
「気にしないで……ください……」
「ウーニャーを煮たり焼いたりして良いから」
「う、ウーニャー様に……酷いことは……出来ません」
「比喩表現だよ」
「あう……」
可愛い。
抱きしめたい。
愛してあげたい。
とまぁ冗談はともあれ、
「とりあえず僕は個室で」
「マサムネ様と同室で」
「お兄様と同室で」
「お兄ちゃんと同室で」
「マサムネちゃんと同室で」
「マサムネ様と同室で」
…………。
君らね。
「あう……」
そりゃコミュ障には誰を優先すべきか迷う所だろう。
「一人一部屋。異論は認めないよ」
「え~」
いつも通りなヒロイン通り。