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鬼の国18


 なにはともあれ決闘には勝ったわけだけど、


「俺と!」


「いや小生と!」


「まさか某とだ!」


 リリアを狙う男どもが僕に喧嘩を売ってきた。


 結果として実力行使で押し通したけど。


 何をしたかは口にしない。


 今更だ。


 リリアだけでなくヒロインたちも迫られたらしいけど、けんもほろろと云った様子だ。


「僕に惚れているため」


 そんな口実。


 というより事実。


「僕の何がいいんだか」


 とは幾重もの今更なテーゼだけど、


「命題として成立していませんよ」


 とはヒロインたち。


 無念。


 今日は鬼の国縦断は止めてクランゼの研究室でお茶を飲んでいた。


 ヒロインたちは置いてきている。


 クランゼとリリア……それからウンディーネ。


 この空間に於いては、それだけで十分だ。


 というかヒロインたちが溢れすぎて持て余していたり。


 当事者には尻が割けても言えないけど。


「別に学院に滞在してもいいんですよ?」


 とはクランゼ。


 まぁ一理ある。


 基本的に魔術には高いコンセントレーションが必要となる。


 その意味で言えば僕らは及第点だ。


 学院が保護するに足る人材だろう。


「ま、その気になったらね」


 僕はホケッと返す。


 とりあえず第一義はフォトンの問題だ。


 その次がツナデ。


 色々と……ねぇ?


「そう言うとは思っていましたが」


「理解のある人は好きだね」


 苦笑。


 茶を飲む。


「あの……」


 とリリア。


「どした?」


「また鬼の国へ……?」


「ま、ね」


「怪我せずに……返ってきて欲しいです……」


「善処しよう」


 フォトンがいる以上、あまり悲観的にも成れないんだけど。


「マサムネに……危ないことを……して欲しくないんです……」


「人生万事天中殺って感じだからなぁ」


 まこともって業の深い。


 紅茶を一口。


「どうやったら……そんなに強く……?」


「強いとはまた違うけどね」


 苦笑。


 僕。


 およびツナデ。


 僕らは強いのではなくトリガーが軽いだけだ。


 敵対者に応じる徹底的攻性。


 言ってしまえば其処に尽きる。


 別に、


「殺傷が良いこと」


 とほざくつもりは無いけど、


「悪いことか?」


 という命題には少し首を捻る。


 そんな感じ。


 鈍感なのだ。


 人を一方的に傷つけるため、


「傷つけられた他人の心象」


 を想像することが出来ない。


 あるいは慮れない。


 残酷。


 そう呼んで支障は無い。


「でも強いです……」


「本当に強い人間は敗者を蹂躙したりしないよ」


 本音ではあるけど詭弁でもある。


 言葉は前者で僕の有り様が後者だ。


 いいんだけどさ。


 別に。


「リリアも……頑張ります……」


「あまり推奨できないなぁ」


「何故です……?」


「リリアには優しい人間でいて欲しい」


「でも……」


「僕が真に尊いのはそんな有り様だから」


「尊い……」


「少なくとも僕には無理だ」


 手が血で染まっている。


 あらゆる宿業の踏襲と踏みにじり。


 別に今更罪悪感にかられることでもないけど、


「間違っている」


 とは思っている。


 僕とて社会道徳を解してはいなくとも学んではいるのだ。


「積み上げた死体で山が出来る」


 そこに反論する気は無い。


「でもそんな環境にリリアを置きたくない」


 それもまた本音。


「綺麗な手でいられるならソレにこしたことは無いんだよ」


「あう……」


 リリアは残念そうだ。


「結局目的は達成できそうですか?」


「さてねぇ」


 ソレばっかりはゴッドノウズ。


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