鬼の国07
今日も今日とて鬼退治。
透遁の術はあるものの敏感な鬼もいるもので。
しょうがないので鬼退治。
「ああ、もう」
フィリアがキレた。
水分を創り出す。
凍らせる。
「全員集合」
言われてフィリアに群がる。
「ショット!」
三百六十度全方向に氷の散弾が襲いかかった。
それも生半なスピードではない。
とはいえ嵐を呼び波を荒れさせ地震を起こすトライデントにしては良心的な使い方とも言える。
……のかな?
いやいいんだけど。
とりあえずの鬼が消えて僕らは先を進む。
「これが延々続くのかしら?」
フィリアの疑問は正鵠を射ている。
既に使徒にも説明されていたため、その情報が嘘かガセかでもなければその通りだろう。
にゃむ。
「お兄様」
とツナデ。
何でがしょ?
「昼はマッピングするのも必然ですけれども」
けれども?
「夜は空間破却を使って安全な場所に移動すればいいのでは?」
「あー……」
確かに。
気づかない方がどうかしていた。
そうだよね。
昼間はマッピングするために鬼の国を進む必要があるけど、夜まで付き合う必要は……確かにないよね。
「ぽんこつだなぁ」
主に僕の状況判断力が。
「いいんだけどさ」
そんにゃ感じ。
とはいえ日が昇っている内はマッピングをイソイソと。
「ギギャア!」
鬼が襲ってくる。
「…………」
ツナデがコルトガバメントで額を穿つ。
即死。
「恐怖を持っていないだけタチが悪いですね」
まこともってその通り。
コレが人なら三々五々に逃げていく所だが鬼は、
「人を見つけたら襲う」
程度の知能しか持っていない。
ていうか知能かコレ?
殆ど脊髄反射で動いていると云っても過言では無い。
状況判断くらいはするだろうけど。
そうでもなければ鬼同士で殺し合って立ちゆかなくなるだろう。
それならそれで一向に構わないのだけど。
たまにゾンビ物を見て、
「何で生きている人間を選別して襲えるんだ?」
と思ったことがあるけど、まぁ色々と事情があるのだろう。
深くは突っ込むまい。
道を進む。
森だったり平野だったり。
高低差が無いだけマシだろう。
山は遠くに見えるけど。
「ギシャア!」
「…………」
ジャンヌが焼いた。
烈火で。
概念付与もあるため大変な威力だ。
逆らわないことにしよう。
「ウーニャー!」
ウーニャーが言う。
「やぱーりウーニャーが薙ぎ払おうか?」
もういっそソレで良い気もしてきた。
周りにヒロインが居なければね。
「ウーニャー……」
不本意そうだ。
「まぁ我慢して」
「ウーニャー」
尻尾ペシペシ。
「何時でも言ってね?」
「あいまむ」
というかその内思考のリミッターが振り切れそうだ。
「ふい」
オーラを広げる。
印を結ぶ。
「火遁の術」
幻炎が鬼を襲う。
「――――!」
声にならない悲鳴を上げて、苦痛にのたうち回る。
何だかなぁ。
「別段恨みも無いのだけど」
纏わり付くハエを追い払ってる気持ちが正鵠か。
ハエは人の命を奪わないけど。
そんな感じで鬼を追い払う。
陣形を組んでいるため差配は完璧だ。
あえて難点を上げるなら、
「超威力による殲滅が出来ない」
に尽きる。
いいんだけどさ。
別に。