鬼の国06
そんなわけで風呂。
全員水着着用。
この辺はいつも通り。
「温かいですね」
ジャンヌが、
「はふ」
と吐息をつく。
幸せそうだ。
今更だけども。
「マサムネ様?」
「お兄様?」
フォトンとツナデが迫ってきた。
「どう罰を与えたもんか……」
ポツリと呟く。
「…………」
「…………」
イソイソと離れる二人だった。
「物わかりの良い子は好きよ?」
「マサムネ様は意地悪です」
「以下同文」
さいでっか。
今更だ。
アンタレスの光より明確でもある。
灼火。
灼熱。
灼道。
灼炎。
滾る熱はある物の、
「どう扱えば良いのか?」
それは一種のテーゼだろう。
多分二人に聞けば、
「カモン」
とか、
「撒き散らせば良いのでは?」
なんて返ってきそうだから口にはしないんだけど。
とりあえず、
「ふい」
とお湯に浸かる。
「ウーニャー」
ウーニャーもまた愛らしい水着姿で湯船を堪能していた。
僕の頭の上に乗っていたら風呂には入れないしね。
「パパ!」
「何でっしゃろ?」
「一緒に泳ご?」
「一人で御願い」
「ウーニャー?」
「ま、子どもの特権だ」
言っても意味は無かろうが。
「ウーニャー!」
パシャパシャと泳ぎ出すウーニャー。
「可愛いなぁ」
そう言うと、
「…………」
「…………」
フォトンとツナデが半眼になった。
「質問は受け付ける」
「マサムネ様は」
「ロリコンですか?」
「不名誉な」
いっそ侮辱ですらある。
「ウーニャーには何かと優しいですよね?」
「拒絶する案件を持ち出さないからね」
無論皮肉だ。
「む~……」
ツナデは納得してないらしかった。
頭を撫でる。
「別に軽んじてるわけじゃないから」
納得できるかは知らないけど。
「お兄様?」
「あいあい?」
「お兄様の童貞はツナデが貰いますからね?」
「前売り券は販売してないよ」
肩をすくめる。
「その時になったら並んで購入してね」
「お兄様!」
「見限ってくれても良いよ?」
「……出来ません」
さいでっか。
切なげな瞳のツナデだった。
罪悪感。
釣った魚に餌をあげない外道。
正に僕のことだ。
「その内その内」
気休めの言葉。
それはフォトンもツナデも承知しているだろう。
その言葉の軽さも。
水素と比べるのも馬鹿らしい。
いいんだけどさ。
別に。
とりあえずの乙女の笑顔が守られれば、
「他に何が要る?」
それも本音だ。
「お兄ちゃん?」
「マサムネちゃん?」
「マサムネ様?」
他のヒロインも寄ってきた。
何だ?
僕は甘い匂いでもするのかな?
そんな毒にもならない事を思う。
とりあえず湯船は心地よく。
なお天空の夜景も星々が輝き。
「ならいいか」
そんな風に思う。
巫女に操られてる感半端ないけど。