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鬼の国05


「それにしても」


 とはフォトンの言。


「すさまじいですね」


 何が?


 鬼の量が。


 雨後のタケノコの如く。


 そう先述した。


 そしてその通りに生まれては人を襲う。


 ちなみに遁術を使える内は透遁の術で誤魔化そうと云うことにもなった。


 匂いと音に敏感な鬼には土に還ってもらったが。


 灼熱でジャンヌが鬼を焼く。


 ご無念察します。


「まぁこれなら確かに」


 頷く僕。


「何ですか?」


 ジャンヌに問われて、


「国境沿いを使徒が守っていたのも頷けてね」


「ああ」


 戦争を知らない子どもたちではあるけれども、こと鬼の国と国境を接している国々は頭を抱えていることだろう。


 堕天使も居ないのに亜人に襲われては。


 そう云う意味では教会の力は有用だ。


 何せお布施を払えば守ってくれる。


 その程度の金は税金の一種でもあろうし。


 政も大変だ。


 僕は薬効煙をプカプカ吸いながら北へと歩いていた。


 平地が続く。


 鬼が居るため文明が存在しない国ではあるが食事や水分補給には困っていない。


 便利ね。


 四次元ポケット。


 闇魔術のマジックアイテムらしいけど色々とお世話になっている。


 水分の方はフィリアのトライデントのおかげで無尽蔵だ。


 その気になれば大陸を全てムー大陸をなぞって破滅させることもできる神器だ。


 物騒なことに使うほど人格は壊れていないが、


「何事もほどほど」


 とはいう。


「人に言えた義理か」


 と責められれば反論できないんだけど。


 とはいえ出生の業を責めても始まらない。


 何より異世界に来たのだからしがらみも一新している。


 その結果がハーレムというのも罪深いけども。


 どこで進路を間違えた?


 少なくとも十人十色の理由で女の子は僕を慕ってくれる。


「有り難い」


 それは確かだ。


 嫌いより好きの感情の方が損得に敵うのは確か。


 が、


「返せる物が無い」


 これも確か。


「ここから一人を選ぶのか」


 と思うと足がすくむ。


 目の前が真っ暗になる。


 何せ一人一人が一国と戦えるアノマリーだ。


 どう対処した物か。


 要するに全員愛人にするって言うのも一案だけど、


「なんだかなぁ」


 が本音。


 乙女の一念を利用して良いのか不安にもなる。


 童貞です故。


 スススと歩みを進める。


 とりあえず鬼を一方的に駆逐しながら。


 別にこちらに気づいていない鬼はどうでもいいのだけど、


「放置できない」


 とヒロインたちが滅却していった。


 なんまいだー。


「とりあえず」


 と僕。


「そろそろ野営の準備に入ろっか」


 日没もすぐ其処だ。


 それから腹時計からの逆算。


 異論は出なかった。


 透遁の術と霧遁の術で鬼の索敵の目を逃れ、


「ふむ」


 僕らは野営を開始した。


 宿が無いのが悔やまれるけど、


「この国で宿を営んでいる剛の者がいるなら見てみたい」


 とも思う。


 元より経済の流通が無いためどうしようもあるまいが。


 何でも基本的に鬼の国を通過したいときは冒険者ギルドで護衛を雇うのが普通らしい。


 まぁ普通そうだよね。


 なよっとした男一人とヒロインたちのメンツで入っていい国でも無い。


 その辺の前提は語ると鬱になるため破却。


 とりあえず焼き上がった魚の干物をもむもむ。


 フィリアの持つトライデントが水分を操る以上、川魚から水分を抜き取って干物にすることも出来るらしい。


 そんなこんなで香ばしくも魚の旨みを閉じ込めた干物を囓る。


 少し硬いけど、硬い干物は美味しいという連立方程式もある。


 日本人限定で。


 後は干し肉とパンを胃に収めて今日の夜食終了。


「はふ」


 と僕。


 こと野営の有用性に於いてフィリアとジャンヌは突き抜けている。


「ではお風呂に入りましょう」


 和やかにフィリアが言う。


「マサムネちゃん?」


 挑発するような言葉の彩。


 あー。


 はいはい。


 大人の色香はありますよ。


 嘆息してそう言う。


「ならいいけど」


 いいらしい。


 それもどうよ?


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