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鬼の国04


 そんなわけで昼。


 川を見つけて僕は釣りをしていた。


「ウーニャー!」


 当然ウーニャーは僕の頭の上。


 こういうところは国が変わっても変わらないらしい。


 特に不満も無いけれども。


 魚を釣って串焼き。


 これがこれで地味に美味い。


 鬼もちょこちょこやってきたけどお帰り願った。


 生まれる前の時間へと。


 火はジャンヌ担当。


 火加減や熱の通し方にこれほど精通している人間も珍しい。


 ジャンヌのおかげで火を使った料理は一段階上へと昇華したと言えるだろう。


 そんなわけで川魚の塩焼きを食べながら釣り竿を川に垂らす。


「お兄様?」


 ツナデが話しかけてきた。


 まぁ概ね察してはいたけど。


「寝不足ではございませんか?」


「大丈夫なのは知ってるでしょ」


 僕とツナデの戦闘の手段と勘所……その出所でどころは一緒だ。


 一日二日の徹夜で倒れるほどヤワではない。


「ツナデは心配です」


「さいでっか」


 川の流れを目で追いながら淡泊に僕。


「いっそツナデとイナフだけで回してもいいのですよ?」


「支障は無いけど僕を弾くのもなぁ」


 そんな感じ。


「お兄様は張り切りすぎです」


 元が元ですから。


 言わなくても肩をすくめるだけでツナデには十分通じた。


「お兄様……」


 切なげに目を細めるツナデ。


 その黒髪を撫でる。


「可愛いツナデ」


「あう……」


「僕だって負んぶに抱っこだと精神的に疲労するから重荷は分かち合おう」


「お兄様は優しすぎます」


 本当にそうだったら良かったんだけどねぇ……。


 嘆息。


 あくまで形而上で。


 本当に嘆息するとツナデが悲しむので。


「ウーニャーも付き合うよ?」


 冗談が過ぎる。


「鬼が襲ってきたらどう対処するの?」


「ドラゴンブレス!」


 他に無いものね。


「却下」


「何で?」


 ツイとツナデも視線を逸らした。


 気持ちはわかる。


「ウーニャーの伝家の宝刀は抜いちゃいけない類だ」


「でもウーニャーはあんまりこのハーレムに貢献してないよ?」


「マスコットキャラが居るだけで十分役割は果たしてるけどね」


「マスコットキャラ?」


 尻尾で僕の後頭部をペシペシと叩く。


「ウーニャーが可愛いって事」


「ウーニャー!」


 嬉しそうなウーニャーだった。


 当人が喜んでいるのだから良いことだろう。


 反面、


「むぅ」


 ツナデは面白く無さそうである。


 マサムニズムを主張しているため、


「気持ちは想像出来るけどね」


 と心中呟く。


 ちなみに察することは出来ても理解は出来ない。


 ま、その辺は僕の業って事で。


「ウーニャー!」


 ペシペシ。


「引いてる引いてる!」


「あいあい」


 ピッと釣り竿を持ち上げて魚を釣る。


 こと筋力勝負で僕が川魚に負ける道理が無かった。


 というか魚は異世界でも釣り針の罠に警戒するということを学んでいないらしい。


 学ばれても嫌だが、


「なんだかな」


 と哀愁を覚える。


 ある種の感傷。


「とりあえず焼いて」


 ツナデに川魚を渡す。


 それはジャンヌに伝えられ、焼き魚となる。


 鬼は散発的にやってきたけど鎧袖一触。


 川魚からの連想なんだけど、


「鬼って食えるのかな?」


 そんな疑問。


 肉食文化はこっちにもあるけど、基本的に発生した亜人は対処療法であって狩りの対象ではない。


「どうでしょう?」


 僕と同じ生国のツナデも首を捻った。


「ウーニャー……」


 ウーニャーに関しては、


「そもそも食事が必要ない」


 ため想像の埒外だろう。


「???」


 三人でクエスチョンマークをいっぱい飛ばしながら考えて、


「とりあえず思考停止」


 と結論。


 一応僕とツナデはあらゆる毒に抗体を持ってるけど、それはそれとして、


「腹を壊してもつまらない」


 と結論づけた。


 まぁ興味がある奴が冒険すれば良い。


 そんな感じ。


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