雪の国22
さて、
「ではお世話になりました」
積もった雪をザクザクと踏みながら宿屋のおばちゃんに僕は頭を下げた。
「何の。助けてもらったのはこっちじゃて」
「まぁそれも多生の縁と言うことで」
そしてソリに乗る。
暖房結界の展開。
ふぅ。
暖まる。
そんなわけで王都に向かう様、僕らはソリの御者にお願いした。
「あいよ」
と二つ返事で受け止められ発進。
「さて」
と僕。
薬効煙をくわえて火を点ける。
煙を吸って吐いた後に、
「正面突破以外に作戦のある人~」
「特には」
「別段」
「思いつかないなぁ」
「ウーニャー!」
「よねぇ……」
「全く同意です」
サクリと返すヒロインたちに、
「正気ですか……」
改めて戦慄するリイナだった。
「レジスタンスとは連絡取れないの?」
「無茶を言わないでください」
でっか。
「どちらにせよスノウ王を弑してリイナのお姉さんを助ければ良いんでしょ?」
「それは……そうですけど……」
「うん。なら問題ない」
力強く頷いてみせる。
「ここまで来ると思案する我が身が馬鹿らしくなってきますね……」
でしょ?
「一応検問の前に私は下ろしてくださいね」
「レジスタンスの基地に戻るの?」
「ええ」
「なら陽動にもなるね」
「どうしても正面突破でいくんですか?」
「まぁねぇ」
チラリとヒロインたちに視線をやる。
「はい」
「ええ」
「うん」
「ウーニャー」
「よね」
「です」
誰しもに気後れはなかった。
僕は薬効煙をプカプカ。
「そだ。トランプしようよ」
イナフが名案と企画する。
「まぁどうせ暇ですし」
「ですね」
「だよだよ」
「今度こそお姉さんが勝つわ」
「楽しいことは大歓迎です」
そうやってカードを切る。
「もうちょっとこう……緊張感とか大事にしませんか?」
と云いつつカードゲームに参加するリイナだった。
「ウーニャー……」
ウーニャーは僕の頭の上でのんべんだらりとしている。
こっちもこっちで大物だ。
「お客さん」
と御者さん。
一人トランプに興じていない僕が応じる。
「何でしょう?」
「テロリストを王都に運んだなんて経歴はゴメンですぜ」
「あー……確かに……」
御者さんにまで迷惑はかけられない。
「じゃあとりあえず王都の手前で下ろしてください」
「そりゃそっちが都合良いがね。どうするよ」
「私たちで引き取ります」
とはリイナの言。
「ん?」
と僕ら。
「とりあえずレジスタンスに紹介します」
「誰を?」
「マサムネさんたちに決まってるじゃないですか」
「はあ」
とぼんやり返事する僕。
別段足並みを揃える必要も無いのだけど。
言わぬが花だろう。
ちなみに今日のゲームはブラックジャック。
記憶力の良いツナデが圧勝していた。
少なくともブラックジャックでツナデに勝つには他のメンツには知識が足りない。
まぁ賭け事でもないので別に負けてどうこうってものでもないんだけど。
というか金銭管理はフォトンとツナデの領域だ。
僕らはヒモである。
何度も言うけど、
「業が深いなぁ……」
僕は呟くと、煙をフーッと吐いた。
ほにゃら。