雪の国20
僕らは歓待を受けた。
「ようやった!」
「ようやった!」
村人たちは僕らの肩をバシバシと叩く。
そして祭りが始まった。
炎を焚いて肉とチーズを炙る。
ワインも出された。
フィリアがワインを何杯もおかわりしていたけど、
「まぁ言うまい」
いつものことだ。
「あの……」
と氷の騎士に連れ去られようとしていた少女が僕に近づいてきた。
「なぁに?」
「助けてくださって有り難うございます」
「別段気にするこってもないけどね」
「しかしてスノウ王に喧嘩を売ったことに……」
「元からそんな腹だし」
「そう……なんですか……?」
「そうなんです」
チーズをかけたジャガイモ……ラクレットを食べながら気後れせずに僕。
「ていうか……」
と歓待を受けているリイナを指す。
「あの子がレジスタンスだから」
「ふわ」
と驚く少女。
「一応スノウ王を弑することを目的としてるんでね」
「勝てますか?」
「余裕です」
まぁ言葉だけでは、
「実感はわかないだろう」
と云うことは理解しているつもりだけど。
「皆々強いんですか?」
「僕よりももっとね」
苦笑。
あるいは苦笑いか。
「怖くないんですか?」
「特に怖れる何物もないね」
「ウーニャー」
僕の頭の上に乗っているウーニャーも同意だったようだ。
「しかし……」
「心配してくれるの?」
「それは当然です」
「まぁありがと」
僕は炎で炙られた干し肉をもむもむと食べる。
そこに、
「お兄様っ」
とツナデ登場。
「どうかした?」
抱きついてくるツナデをあやしながら僕は問う。
「お兄様格好良かったです!」
「恐悦至極」
「えへへぇ」
ぼんやりと笑うツナデ。
「お兄様さえいればスノウ王を弑することも簡単かと!」
「後れを取るつもりは無いよ」
「ですから好きですお兄様!」
「ありがとね」
ツナデの頭を撫でる。
うん。
可愛い可愛い。
「今日は一緒にお風呂に入ってくだしゃい!」
「いいけど」
「抱いてくださって構いませんよ?」
「その気になればね」
そっけなく。
「あなたはこんな女性たちを連れて旅をなさっているのですか?」
少女の問いに、
「まぁね」
やる気なさげに頷く。
「大丈夫なんですか?」
「僕が一番弱いかも」
「ふぇぇ?」
困惑する少女だった。
「そんなことありません!」
ツナデが僕に抱きついて反論する。
「お兄様は最強です!」
「何を以て?」
「だって二人の兄ども相手に手加減してたでしょう?」
「まぁリミッターを外すわけにもいかないし……」
相手のメンツもある。
「ここではソレも気にしなくて良いです!」
「そうではあるけどさ……」
どうしたものか。
ラクレットを食べながら思案する。
「きっとこの世界こそがお兄様の居るべき場所です!」
「フォトンと繋がって良いの?」
「お兄様のお嫁さんはツナデに決まっています!」
「モテモテですね……」
少女がそう言った。
「ウーニャー! ウーニャーが一番!」
ウーニャーも抗議した。
「好きにしてよ」
僕はそれ以上の言葉を持ってはいなかった。
というか何と言えと?