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雪の国13

「ん~。むにゃー」


 寝ぼけ眼を開きながら僕はホテルの朝食を取っていた。


 ちなみに変化の術はツナデに任せている。


 誰のってリイナの。


 遁術も魔術における想像創造には及ばないにしても大変なコンセントレーションを必要とする。


 であるため指名手配犯の扱いには慎重を要するのだけど……めんどいので人任せ。


 別段誰が変化の術を使おうと大差ないし。


「お兄様。今日はこれからどうしましょう?」


「とりあえず今日はここでダラダラしよ」


 前向きな行動が怠い。


「姉さんを助けてはくれないのですか?」


 ムッとしてリイナ。


「別に一刻を争う問題でも無いでしょ」


 要するにフォトンをリイナの姉の彫像に触れさせれば解決する問題なのだから。


「レジスタンスとは連絡取れないんですか?」


 フォトンが問う。


「大半が王都にいますからね。無論あらゆるところに潜伏していますけど本営は王都です」


「ですか」


「スノウ王を打倒して姉さんをいち早く解放したいです」


「どちらにせよスノウ王は弑するしかないけどさ……」


 敬意の欠片も無く、


「弑する」


 と言ってのける辺り僕らしい。


 自慢できるこってもないけど。


 そろそろ目も冴えてきた頃合いだ。


「とりあえず僕らは邪魔する奴は皆殺しの方針でいくとして……」


「可能ですか?」


「可能なんです」


 むしろ嫌そうな表情になった。


「当然スノウ王の氷の彫像は非維持魔術だろうからスノウ王を倒せば良いってもんでもないよね」


「非維持魔術……ですか?」


 とフォトン。


 キョトンとしている。


「ん。まぁ」


 食後のコーヒーを飲みながら僕は頷いた。


「何ソレ?」


 とイナフも問うた。


「単純に維持する必要の無い魔術を指すね」


 僕は何でも無いように言った。


「というと?」


 促したのはフィリア。


「先日の渚の国で思ったんだけど……デッド王を殺したら結界が解けてデスエンロールメントに登録された死者たちが消え失せたでしょ?」


「ウーニャー!」


 尻尾ペシペシ。


「あの時に思ったの。この世界の魔術は維持魔術と非維持魔術に分類されるって」


「どんな違いでしょう?」


 ツナデが問う。


「だから単純に術者の意識で維持するか……あるいは維持しなくていいか……それだけの違い」


 コーヒーを飲む。


「結界なんかは典型的な維持魔術だね。当人が意識を外すか死ねば結果として無になる魔術……」


「ははぁ」


「逆に僕らの使うほとんどの魔術が非維持魔術……」


 コーヒーをグイと飲み干すと、


「木を以て命ず。薬効煙」


 と薬を生みだし、


「火を以て命ず。ファイヤー」


 と火を点ける。


 煙をスーッと吸ってフーッと吐く。


「これが非維持魔術」


 そしてそう答えた。


「ウーニャー?」


 ウーニャーはわかってないらしかった。


 メンツを見れば理解と不理解が半々と言ったところ。


「つまり」


 と僕は補足する。


「薬効煙は魔術で作ったし魔術で火も点けた。後は結果だけが残って別段意識的に薬効煙に点いた火を想像創造で維持しているわけじゃないでしょ?」


「それはまぁ」


 とフィリア。


 わかってないメンツの一角である。


「後は攻撃魔術なんかもコレに入るかな? 要するに消費するだけ消費して結果を残す魔術。別段維持を必要としない。別名として消費魔術と呼んでもいいかもね」


 プカプカ。


「対する躍動的な効果を永続して与える魔術は維持魔術に分類される。結界魔術がそうだろうし……おそらく……」


 薬効煙を吸いながら僕はフォトンを見やった。


「私ですか?」


「うん。多分だけど無限復元も維持魔術だよ」


「何故そうと?」


「だから能動的な効果を永続するには認識の維持が必要だから」


「その辺りをもう少し詳しく」


「あー……」


 プカプカ。


 そして提案。


「じゃあ今日はフォトンとデートしよっか」


「はぅあ!?」


 ズキューンとハートショットを受けるフォトンだった。


「お兄様!」


「お兄ちゃん!」


「ウーニャー!」


「マサムネちゃん!」


「知ったこっちゃござんせん」


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