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雪の国07

「シッ!」


 ジャンヌが拳を突き出してくる。


 軽く流す。


 逆の手で手刀。


 受け止められる。


 ジャンヌの膝蹴り。


 勁を練って腹部で受け止める。


「っ!」


 動揺。


 同時に僕は片足になったジャンヌの軸足を払う。


 すっ転んだ所で距離を取る。


「一本だね」


「ええ、認めます」


 起き上がったジャンヌから間合いを潰してきた。


 中々の速度だ。


 手刀。


 こっちは拳。


 間一髪分だけ逡巡するジャンヌの懐に入る。


 無勁。


 相手も後ろに下がって受け流す。


「ほう」


 と僕。


 中々の速度だったのは回避を念頭に置いたためらしい。


 こっちから間合いを踏みつける。


 カウンター気味に疾風となるジャンヌ。


 速い!


「が」


 ちと未熟。


 一閃。


 二閃。


 三閃。


 こっちからの手刀を三度受け流され、


「ふっ」


 今度はこっちの懐に入ったジャンヌが衣服を掴んで投げてくる。


 僕は逆らわなかった。


 というか投げられる慣性に便乗して自身で地を蹴って加速。


 結果として流れに逆らわず。


 かつジャンヌの想定から外れて着地する。


 同時に掴まれている僕の喪服を以て力加減。


 無手で投げる。


「ふぇ?」


 合気の一種だ。


 ツナデとの立ち会いで覚えた技の一つ。


 宙に浮く。


 後に地面に叩きつけられる。


 足刀を倒れたジャンヌの首元に突きつける。


「…………」


「一本だね」


「参りました」


 ジャンヌは闘意を抑えて立ち上がった。


「強いですねマサムネ様は……」


「まぁ色々ありまして」


 僕は薬効煙をくわえると火を点けて吸った。


「ジャンヌの戦い方も中々だったよ」


「褒められているんでしょうか?」


「八十点」


「微妙ですね」


「あくまで素手での戦いならね」


「というと?」


 僕は煙をフーッと吐くと、


「ジャンヌは想像創造も世界宣言も無しに炎を繰るでしょう? そこを加味すれば僕でも勝てないよ」


 その通りなのだ。


 ジャンヌの異能。


 浄化の炎。


 本来はデスエンロールメントから死者の記録を削除するためのモノだけど、実戦的な技術としては上の上に位置する。


 ノータイムで相手を焼き滅ぼせるのだ。


 灼熱の業火。


 骨すら残らない圧倒的熱量。


 少なからず対抗できるのがウーニャーかフィリアのトライデントくらいのものだろう。


「最後の服で投げ飛ばしたのは?」


「僕らの世界の技術」


「というと異世界の?」


「だね」


 プカプカ。


「まだまだ修行中の身だけど」


「お兄様は既に完成されていますよ」


「まぁ本気を出せば……ね」


「手加減したんですか?」


 とジャンヌ。


「半分正解半分間違い」


「?」


 ってなるよね。


 気持ちは分かる。


「別段……人を傷つけることに長けてても自慢の種にはならないし」


「それは皮肉ですか?」


「いいえぇ」


 本音です。


 さて、


「いい汗も流したしお風呂に入ろっか?」


 僕がそう云うと、


「ウーニャー!」


「お兄様!」


「マサムネ様!」


「お兄ちゃん!」


「マサムネちゃん!」


 早速食いつくヒロイン一同。


 女の子は強いなぁ……。


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