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雪の国06

 次の村には無事ついた。


 けど次の村での無事は保証できなかった。


 天使と堕天使が降臨したのだ。


 そりゃ荒れる。


 でない方がどうかしている。


 天使と堕天使はデミウルゴスの御使いだ。


 能動的人間観測。


 巫女はそう云った。


 人間に対する肯定的観測。


 即ち天使。


 人間に対する否定的観測。


 即ち堕天使。


 そして問題は、


「これだよなぁ」


 嘆息。


 堕天使の引き連れるモンスターたち。


 ゴブリン。


 トロール。


 ヴァンパイア。


 リッチ。


 様々な亜人が村を蹂躙していた。


 僕とツナデとイナフが先制攻撃。


 刃遁の術で危害を加える。


「ウーニャー」


 と僕は呼ぶ。


「ウーニャー?」


 とウーニャーが僕の頭の上で疑問を呈する。


「堕天使を消して」


「ウーニャー!」


 快活な言葉が聞けた。


 そして僕の頭上から七色の色を纏うドラゴンブレスが放たれた。


 レインボーブレス。


 真竜王にのみ許された必滅の戦術兵器。


 木火土金水どころか空間から時間まで滅する最強の一手。


 当然堕天使は塵芥と消えた。


 同時に、


「やれやれ」


 とフィリアが、


「しっ!」


 とジャンヌが、それぞれ能力を解放する。


 水と火によって滅される亜人たち。


 結果として村は救われた。


 喝采が上がった。


 村人たちのソレだ。


 僕らは、


「英雄」


 として歓迎された。


 まぁ堕天使は自然災害のようなモノだ。


 そを駆逐すれば感謝もされる。


 なおハイイログマの遺体を引っ張ってきたことも加味された。


 宴が始まった。


 ハイイログマは解体されて料理の具に。


 あるいはコートに。


 パンとチーズとジャガイモとワインが供給されてハイイログマの肉と同様に食べることが出来た。


「いやあ、見事な妖術だ」


「助かったぁ」


「お嬢さん方は最強じゃのう」


 村人はそう言って色々と僕らに絡んできた。


「お兄さんの頭に乗ってるのはドラゴンかい?」


「ですね」


 火で炙られた熊の肉を食べながら僕は平然と言った。


「ドラゴンに懐かれたか!」


 村人は喝采した。


「というかバーサスです」


「バーサス……というと……」


「竜騎士なんですよ僕は」


 淡泊に言ってのける。


「んだでば虹色のドラゴンなんぞ見たことなか!」


 でしょうね。


 特に意図はしないけど。


「ドラゴンの王。七色竜王です」


「ウーニャー! 平伏するように!」


 ウーニャーがそう云うと、


「へへぇ」


 と村人は平伏した。


 堕天使を滅したのがレインボーブレスであるため、


「誰が堕天使を滅したか?」


 は引き算より簡単だ。


「お嬢ちゃんも凄いのう!」


 とジャンヌにも村人は絡んだ。


 炎を自在に操る。


 そして暖房結界で村中を春の陽気に変える。


 それだけでも特筆に値する。


「あれやこれや」


 と賛辞を受け止めるジャンヌだった。


 まぁ、


「知ったこっちゃない」


 んだけど。


 僕は熊肉を食べながら、


「ホッ」


 と吐息をつく。


 雪が溶けて吹雪がおさまる。


 そして暖かな村でいつまでも宴会は続いた。


 南無八幡大菩薩。


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