雪の国05
そんなわけで、
「ありえんなお前らさんがたは」
トナカイの牽引するソリを調達して次の村へと進む僕らだった。
当然ソリは雪の上を進むため雪を溶かす暖房結界は縮小せざるを得ない。
結果としてソリの中だけの暖房結界。
ジャンヌは器用に再現した。
なおフィリアのトライデントが雪に干渉して吹雪を一時的に押しとどめたため視界も良好だ。
当然トナカイを操る御者は目を丸くした。
色々と業の深い連中という意味では特に否定できるモノでも無い。
そんなわけで順調に次の村へと……、
「行くわけも無いか」
そう云うことだった。
「グルル!」
猛獣が襲いかかってきた。
熊だ。
所謂一つの、
「グリズリー」
と呼ばれるソレ。
日本名でのハイイログマ。
「旅の人らよ。お相手は出来るかい?」
「まぁそれなりには」
全員を代表して僕が言った。
「逃げるか?」
だから相手できるって。
「というわけでツナデ」
「はい。お兄様」
「お願い」
「了承しました」
そしてツナデはオーラを広げると、
「……っ」
印を結んで、
「火遁の術」
と術名を告げる。
次の瞬間ハイイログマは炎に包まれた。
「ギギャア!」
ハイイログマは誤認としての熱量に苦しめられ、暴れ、のたうち回り、そして死んだ。
死因……幻覚。
虚しい話ではある。
「ほう」
と御者。
死亡したハイイログマに近づく。
「これは貰っても?」
「構いませんが……」
ツナデとしても扱いに困るだろう。
というか僕ら全員にとって。
「グリズリーの毛皮は売れるぞ。肉も希少だ」
さいでっか。
そんなわけでソリにハイイログマをくくりつけてトナカイに無理させて引っ張る御者だった。
「熊の肉って美味しいんですか?」
ほとんど茶々だったけど、
「貴重なタンパク源だ」
御者は頷いた。
でっか。
「特に皮は暖かいコートになるしな」
ちなみに僕らは雪の国ではあり得ない服装をしている。
スーツやドレス姿。
無論ジャンヌの暖房結界のおかげだ。
ソリの上だけならむしろ春の陽気のポカポカと暖かい。
故に御者が、
「あり得ない」
というのだけど。
それはともあれ、
「トナカイが可哀想ですね」
「なに」
気楽に御者。
「仕事の一環だ」
労働組合を組織されないだけマシと言うことか。
まぁ特にこちらから言うことは無いのだけど。
「なんなら肉食うかい?」
「解体できるんですか?」
「専用の道具があればな」
にゃるほど。
「それにしても」
と御者。
「吹雪をおさめるとは便利な技能だな」
「にゃはは」
愛想笑い。
トライデントの範疇であるから笑うほか無い。
「猛吹雪にも出来るわよ?」
「止めてください」
心底本音だ。
そんなこんなでソリが走る。
次の村。
そに向けてオーラを放つ。
「っ!」
僕は顔をしかめた。
「如何致しました? お兄様……」
「久しぶり」
本当に。
「何がでしょう?」
「天使が」
「……っ!」
全員が絶句した。