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雪の国02

「ようこそ雪の国へ」


 そんな歓迎と共に村の住人は迎えてくれた。


 一応旅人向けの商売もしているらしい。


 宿屋があって宿泊が出来た。


 商人が行き来するため宿泊客には困らないとのこと。


 雪の国の生産性には首を傾げざるをえないけど宿があるのはいいことだ。


 食事はパンとジャガイモとチーズとオニオンスープ。


 チーズは雪の国の名物のラクレット。


 ということはスイスが元ネタか巫女よ。


 火で炙ったラクレットをジャガイモにかけて食べるのが乙。


 芯から温まる料理だった。


「ん。美味」


 僕は納得した。


「ワインも美味しいわね」


 フィリアは一人酒を飲んでいた。


 チーズとワインがメインと云うことはつまりやっぱりそういうことなのだろう。


「こげな可愛かおにゃのこばかり集めてどげな旅ねお兄さん?」


 と宿屋のおばちゃんが皮肉ってくる。


「浮世のしがらみです」


 特に憂慮することも無く僕は答えた。


 ラクレットを味わう。


 そうやって温かい食事を終えた後、


「さて、では始めますか……」


 フォトンがトランプを取り出した。


「何だいソレは?」


 と不思議がるおばちゃんに説明。


「面白そうだね」


 と食いついてきた。


 ので、毎度の如くトランプ一式を進呈。


 なんか行くところ行くところでトランプを流行らせてる気がする。


 異世界への侵食に当たる気はするけど時空警察官の類も現れないため、これはこれでいいのだろう。


 僕は薬効煙をくわえて火を点ける。


 プカプカ。


「ウーニャー」


 と僕の頭に乗っているウーニャーが尻尾ペシペシ。


 ウーニャーは無条件で僕と同室だから問題ない。


 そんなわけで大貧民が始まった。


 宿屋のマスター(と云うかおばちゃん)も参加して。


「へぇ」


「ほう」


 と困惑しながらもカードを切るおばちゃん。


 ズップリとトランプの魔力に絡み取られたらしい。


 しばし時が経ち、


「では此度は私がマサムネ様と同室と云うことで」


 勝ったのはジャンヌ。


 運の良さは一級品だ。


 まぁいいんだけどね。


「とりあえず」


 とおばちゃん。


「露天風呂があるから暖まってきな」


 そんな申し出。


「ども」


 と僕らは会釈した。


 そして全員で露天風呂に入る。


 当然青天井であるため脱衣所から風呂までは吹雪が覆っているけど暖房結界で事なきを得る。


 全員水着装着の上で入浴した。


「にゃはー。パパ……」


 一人全裸のウーニャーが僕に抱きついてくる。


「ウーニャーは可愛いなぁ」


 クシャクシャと虹色の髪を撫でる。


「ウーニャー!」


 機嫌良さそうなウーニャー。


「マサムネ様?」


「お兄様?」


 フォトンとツナデが迫ってくる。


「私は」


「ツナデは」


「マサムネ様の」


「お兄様の」


「「愛を欲しております」」


 そーですかー。


 他にどう言えと。


「だいたいウーニャーはズルいです」


「何が?」


「いつもマサムネ様とべったりイチャイチャ」


「ウーニャーとパパはバーサスだし!」


「私もそうであることをお忘れ無く」


 フォトンが、


「ウガー!」


 と吠える。


「お兄様はツナデだけのお兄様です!」


 ツナデもツナデで頭の悪い言葉を紡いでいた。


「お兄様の希望も絶望も請け負ってきたのはツナデです。故に正当性はツナデにこそあります」


 また無理筋を……。


「マサムネ様?」


 とこれはジャンヌ。


「何でっしゃろ?」


「私を含めてこの道連れの全員に惚れられているんですか?」


「まぁ蓼食う虫もって奴だけどね」


 ウーニャーの頭を撫でながら嘆息する。


「ですか」


 納得はしたらしい。


「業の深いことですね」


 今更だった。


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