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渚の国35

「うーあー」


「ウーニャー」


 僕たちは川辺で休息を取っていた。


 毎度毎度の川魚釣り。


 ホケーッと呆けながら釣り糸を垂らす。


「パパ?」


「なぁに?」


「順調にハーレムが増えている気がするよ?」


「まぁ実際そうだし」


「ウーニャー!」


 尻尾ペシペシ。


「パパはウーニャーの!」


「光栄だね」


「パパはウーニャーのバーサスでしょ!」


「知ったこっちゃないね~」


 ピッと魚を釣り上げる。

「はい」


 と釣り上げた魚をジャンヌに渡す。


 ジャンヌはお得意の浄化の炎で熱を通すと焼き魚に変えるのだった。


 便利な能力である。


 であるから道連れにしたのだけど


「ウーニャー」


 後頭部を尻尾でペシペシ叩かれる。


「嫉妬するよ」


「零歳児が色惚けないの」


「ウーニャー! パパが好き!」


「恐悦至極」


 そしてまた虫を捕まえて釣り針に刺すと川に釣り糸を垂らす。


「平和だなぁ」


「ウーニャー」


 説得は諦めたらしい。


 良かこと良かこと。


「ところでマサムネ様」


 と焼き魚を食らっているジャンヌが話しかけてきた。


「ん~?」


 ホケッと僕。


「何故にブラッディレインを……?」


「まぁ色々ありまして」


「色々……」


「色々」


 僕は頷く。


「渚の国にはラセンは現れなかったの?」


「私の情報では捉えていませんが……」


「そっか」


 特に落胆することでもない。


「ところで」


 と話題転換。


「これから北に行こうと思ってるんだけどどんな国か知ってる?」


「ええ、まぁ」


 それくらいは。


 そう言うジャンヌだった。


「どんな国?」


「行けば分かりますよ」


 ジャンヌは苦笑した。


 ガジガジと焼き魚を食べる。


「まぁそうだろうけど」


 元が巫女の創った星だ。


 女子高生の妄想で出来ているファンシー世界であるため今度の国も一筋縄ではいかないのだろう。


 特に気にしてるわけでもないんだけど。


「でもそうすると装備がいりますね」


「そなの?」


「ええ」


 ジャンヌが頷く。


「まぁそんなことは私でなくとも理解できるでしょうけど」


「何だかなぁ」


「それにマサムネ様には恩がありますし」


「何かしたっけ?」


「デッド王を殺して他にすることがなくなった私に指標を具現してくれたでしょう?」


「ま、男子高校生心だよ」


「だんしこうこうせい?」


「期待はしてないけどね」


 教育が発達していない異世界ではこんなところだろう。


 武力によって国が立つ。


 民度が国を支えるにはまだ早い世界だ。


「ウーニャー!」


「はいはい」


 ピッと魚を釣り上げる。


 それから串を刺して、


「ほい」


 とジャンヌに渡す。


 やはりジャンヌは想像創造も世界宣言も無しに炎を繰って焼き魚に変える。


 コレが最後の釣りだった。


 残るは僕一人。


 釣りを取りやめて焼き魚を丸々頂く。


「うん。美味しい」


「恐縮です」


 ジャンヌが照れ照れ。


「ありがとね」


 これで炎には困らない。


 川魚を食べきった後、僕は薬効煙を吸った。


 ジャンヌに火を借りて。


 スーッと煙を吸ってフーッと吐く。


 さて、


「次はどんな国だろう?」


「ウーニャー!」


 どんな国でも構わないというウーニャーの言だった。


 まぁ気持ちは分かるけどね。


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