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渚の国33

 対するデッド王の返事も、


「ほう」


 と中々のモノだった。


「我が邪眼を受けて死なずとは……いやはや」


 デッド王選抜の六人の近衛兵が襲いかかってきた。


「どうやって入ってきた!」


 そんな質問今することじゃないだろうに。


「まぁ色々ありまして」


 ぼんやりと僕が答えて、


「っ!」


 ジャンヌが焼き滅ぼす。


 灼熱の業火。


 おそらく温度だけならフォトンのファイヤーボールにも匹敵するだろう。


 しかも発生干渉自由自在。


 灼熱の名の通り骨すら燃やす徹底ぶり。


 ジャンヌもジャンヌで常軌を逸しているらしい。


 そして、


「さて」


 と会話を再開。


 六人の近衛兵は骨すら残さず、なおデッド王のデスエンロールメントからも消去されて死に至った。


「なるほど。たしかに我のデスエンロールメントから外れたな」


 実際見れば感動も一入だろう。


「深緑の髪……無限復元のフォトン様と存じますが?」


「はい。陛下」


「良かった。あなたがジャンヌを連れてきてくれて……」


「どういう意味でしょう?」


 心底分からない。


 フォトンはそう云った。


「子細はジャンヌに聞いているでしょう?」


「ええ、まぁ」


 デッド王は邪眼で殺した人間をデスエンロールメントに登録して情報を再構築して死者を量産する。


 そういうことだ。


「であるからジャンヌの牙は今まで我に届かなかったのだから」


「なるほど」


 とこれは僕。


「分かったんですかマサムネ様?」


 問うたのはフォトンとジャンヌが同時。


「デッド王はフォトンを招聘したでしょ? 何のためかと思ったけど、つまり……」


「つまり?」


「元よりデッド王はフォトンとジャンヌを引き合わせたかった」


「然りである」


「何故その様なことを?」


「私は死にたいからだ」


「?」


 ってなるよな……フォトンやジャンヌにとっては……。


 ウーニャーは特に会話に参加する意志はないらしい。


「我が一番初めに殺した人間は誰だと思う?」


「両親だろ」


 サクリと答える。


「然り。生まれ持った邪眼で両親を殺しデスエンロールメントに登録。後に再構築して我を育てさせた」


 業の深いこった。


「次に殺したのは私自身だ」


 だろうな。


「鏡を見て自身に邪眼をかけて……死んだ」


「では何故生きているのです?」


 フォトンがそう云ったけどジャンヌの表情にも同様の疑問はあった。


「私自身の情報が既にデスエンロールメントに登録されたからだ」


「あー……」


「つまり私は私すらも死して尚再構築する能力がある」


「あぁ」


 と、ここで漸く、


「合点がいった」


 とフォトンとジャンヌは察した。


 つまりジャンヌに無限復元を適応させてデッド王の前に立たせる。


 後に浄化の炎でデッド王の名をデスエンロールメントから剥奪する。


 そうすることでやっとデッド王は死ねるのだ。


 フォトンを求めたのはジャンヌに対する配慮。


 即ち、


「ジャンヌに死んで貰いたくはない」


 という情け心。


 デッド王が死ぬこと自体は簡単だ。


 ジャンヌが殺せばいいのだから。


 しかして邪眼で殺して死者として再構築したジャンヌが浄化の炎でデッド王を焼去すれば結果としてジャンヌまで道連れにしてしまう。


 であるためフォトンが必要だったのだ。


 ジャンヌから邪眼の干渉を防ぐためのセーフティが。


「さぁ、歪なこの国を正そう」


 デッド王は受け入れるように両手を広げた。


「死者の国を浄化してくれ。愛しのジャンヌ……」


「………………デッド陛下はそれでいいので?」


「当たり前だとも。これ以上死を広げるのは私の望むところではない。が、しかして私は私である限り死ぬことが出来ないし死者になりたい者を止めることも出来ない。唯一ソレが敵うのがジャンヌの浄化の炎なのだ。私を――」




「――終わらせてくれ」




 真摯にデッド王は言った。


「お覚悟の程は?」


「生まれてからコレまでずっと持っていた」


「では……」


 ジャンヌの開いた手の平から灼熱の炎が生まれた。


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