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渚の国32

 王都は大わらわ。


 唯一渚の国でアンチテーゼとなるジャンヌ(に変化したイナフ)が現れたのだ。


「どうやって王都内に!?」


 という疑問と共に兵力がイナフへと集まっていく。


 そんな人混みを抜けて僕とフォトンとウーニャーとジャンヌは透明になって王城の前にいた。


 城からも、


「ジャンヌ滅すべし」


 と多量の兵士が流れ出てゆく。


 それを見やりながら、


「とりあえずウーニャー」


 とフォトンの頭に乗っているウーニャーに声をかける。


「ウーニャー?」


「ドラゴンブレス」


「ウーニャー! 規模は?」


「人が通れる程度」


「ウーニャー」


 そしてウーニャーはドラゴンブレスを放った。


 城壁を易々と貫通し、地平線の彼方まで突き抜ける。


 相も変わらずの出鱈目っぷり。


 そして開いた穴から僕らは場内に侵入する。


 そそくさと。


 僕の透遁の術で姿は見えないにしてもドラゴンブレス自体はれっきとした現象だ。


 その場にいるのは得策じゃない。


 なおデッド王のエリアだ。


 僕とジャンヌはフォトンの手を握り、ウーニャーがフォトンの頭にしがみつく。


 そうやって悠々と元いた場所から離れる。


 王都内は大混乱だ。


 ジャンヌの侵入。


 および城壁の消失。


 どちらから手をつけていいのかはわからないけどどちらともに致命的だろう。


 もっとも僕らの関知するところじゃないけど。


 悠々と場内に入る。


「さて、謁見って何処でするの?」


「さぁ?」


「はて?」


「ウーニャー?」


 でしょうね。


「適当に歩き回りますか」


 そんなわけで右往左往している兵士(無論美少女揃い)に道を譲りながら僕らも城内を右往左往。


「賊が入った可能性がある!」


 そんな指揮の下やっぱり右往左往。


「ツナデ様たちは大丈夫でしょうか?」


 ジャンヌがそう言う。


「大丈夫だと思うよ」


 僕は気楽に言う。


 ちなみにジャンヌは僕の姿は見えていない。


 それはフォトンとウーニャーの姿もだけど。


 透遁の術。


 オーラの範囲内の人間から対象を見えなくする遁術である。


 当然オーラに不理解なジャンヌもその一人だった。


「なんかこんな堂々としてるのに誰も気づかないというのも怖ろしいのですけど……」


 でしょーねー。


 階段を上がったり下がったり。


 あくまで視覚情報を誤認させるだけなので、


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


 僕らは押し黙った。


 そんな中でも兵隊さんたちは一所懸命。


「まずはジャンヌの殺害が先だ!」


「城内に開いた穴は!?」


「デッド陛下は不死なる存在である!」


「であるため少数精鋭の護衛をつける!」


「何よりもまずデッド陛下を殺す可能性のあるジャンヌを殺せ!」


「イエスマム!」


 そんなこんなで護衛兵の半分が城内に残り半分がジャンヌ(のふりをしたイナフ)を追い詰めるために動く。


 僕らはのんびりと城内観光。


 というかデッド王が何処にいるかもわからないのだ。


 土地勘もない。


 地図もない。


「とりあえず」


 とこれは僕。


「馬鹿と煙はなんとやら」


 ということで階段を上ったりして。


「ウーニャー」


 ウーニャーが提案してきた。


「纏めて城を吹っ飛ばそうか?」


「却下で」


 そんな大層にする話でもない。


 そして謁見の間に辿り着く。


 扉の前には複数の兵隊さん。


「ここは私の出番ですね」


 ジャンヌがそう云うと、


「っ!」


 手の平から浄化の炎を出して美少女たちを焼き滅ぼした。


 そして謁見の間に入る。


 ここで漸く僕は透遁の術を解く。


 デッド王と六人の少数精鋭が僕らを認識する。


「貴公らは?」


 動じないデッド王。


「ども」


 僕は手の平をヒラヒラと振った。


「殺しに来ましたよ陛下っ」


 ひょうきんに言ってのける僕だった。


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