渚の国30
そんなわけで王都に着いた。
外壁で囲まれた要塞都市。
当然馬車を確認されたけど中には商品と護衛とマッチョのみ。
言ってて虚しくなるけど。
「さて」
と僕は今後のことを考えた。
ちなみに馬車は降りている。
金銭は既に払っているため問題なし。
商人さんは護衛さんと一緒にギルドに行くらしい。
商売人ってのも大変だ。
「で? どうするの?」
とこれはジャンヌへ。
「とりあえず今日の所は休みませんか?」
「賛成」
とイナフ。
「そうね」
とフィリア。
「あったかい布団で寝ましょう」
とフォトン。
「とりあえず益荒男から変えよっか」
そう言って僕は印を結ぶ。
術名。
「変化の術」
ちなみにジャンヌ以外の変化は解いた。
ジャンヌは蒼い髪の美少女として映す。
そんなわけでホテルにチェックイン。
簡単に部屋を用意して貰えた。
ちなみに僕と同室なのはウーニャーとジャンヌ。
「ズルい!」
とヒロインたちから抗議の声が上がったけど、
「まぁ知ったこっちゃない」
が本音だ。
それからホテルで歓迎を受けて豪華な料理を堪能した。
こういう時は不老不死に同情してしまう。
食事は娯楽だ。
であるため三大欲求の一つを欠落させるというのは僕には理解しがたいのだ。
まぁいいんだけど。
それからホテルの風呂に入る。
部屋に一つずつ用意されている風呂だ。
一級ホテルなだけあって浴室も広かった。
そこに僕とウーニャー(人型)とジャンヌで入浴。
「明日攻め入りましょうか」
とはジャンヌの言。
「どうやって?」
と僕。
「ウーニャー」
とウーニャー。
「もちろん正面突破で」
「城壁は?」
デッド王の城は城壁に覆われている。
当然物質である以上、遁術は利かない。
となれば魔術なんだけど……。
「ウーニャー様のドラゴンブレスでどうにかなりませんか?」
「ウーニャー! なるよ!」
「ではその通りに」
他力本願にも程がある。
「フォトン様の力も借りなければ為りませんし」
「たしかに……」
そうでもしないとデッド王に対面できないだろう。
「ん?」
そうするとデッド王の『あの言葉』は……?
戯れ言?
気紛れ?
「ふむ?」
と考えてしまう。
「何かしら不都合が?」
「そう云うわけでは無いんだけど……」
デッド王がフォトンを必要とする意味は何だろう?
そんなことを考えてしまうのだった。
「そ・れ・よ・り」
ジャンヌが僕に寄り添う。
「マサムネ様は私をどう思いで?」
「可愛い女子」
簡潔に言ってのける。
「ふえ?」
ポカンとし、
「ふわわっ」
真っ赤になるジャンヌだった。
挑発してきたのはそっちだろうに……。
まぁ僕の業だろう。
僕は、
「木を以て命ず。薬効煙」
とソレを生み出す。
くわえて、
「火を以て命ず。ファイヤー」
と薬効煙に火を点ける。
煙をスーッと吸ってフーッと吐く。
「マサムネ様はソレでよろしいので?」
「そんなつもりはないよ」
プカプカ。
「ただまぁ」
「ただまぁ?」
「挑発してくる女の子には慣れてるし」
「業が深いですね」
「否定はしない」
というか出来ない僕だった。
そんなわけで一緒のベッドでウーニャーとジャンヌ……川の字で寝る僕ら。
なんだかなぁ。