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渚の国21

 特にすることもないためホテルのラウンジでボーッとしてる僕ら。


 僕は薬効煙を吸っていたし、ウーニャーは僕の頭に乗って尻尾ペシペシ。


 まったく何時もの光景だ。


 ドーリを含める少女たちはトランプで遊んでいた。


 まったくもって何時も通りだ。


「ウーニャー……暇だね……」


「トランプに混じれば?」


「パパの頭の上が一番居心地良いから」


 さいでっか。


 外に出れば賞金首として狙われるため三日ほど今居る高級ホテルに滞在している僕らだった。


 別段辻斬りしてもいいけど渚の国の民は皆々不老不死の美少女故に手心が加わる。


 無論フォトンをぶつけて魔術を解消……後に徹底的に殺し尽くせば復活もしないだろうけどそれも面倒くさい。


 一番有効なのはおそらくウーニャーのレインボーブレス。


 不老不死が命に関係するのなら時間さえ消滅させうるウーニャーのブレスの前には有象無象だろう。


 バックアップがなければ……という仮定を前提とするけど。


 それ以前にウーニャーのブレスは被害範囲が広い(ぶっちゃけた話オーバーホライズン)のでこんな大都市で使えばテロリズム以外の何物でもなくなるという事情もある。


 とりあえずホテルマンに頼んでギルドのクエスト……中でも王都へ行く馬車の護衛の有無と可否について調べて貰って返事待ちだ。


 で、ボーッと薬効煙をくわえて精神修行をしていると、


「フォトン様」


 とホテルマンがフォトンに声をかけた。


「ご事情に差し挟む形で申し訳ございません。よろしいでしょうか?」


「構いませんよ」


 大貧民を続けながらフォトンは言った。


「クリス卿から御伝達の件が……」


「クリスって誰です?」


 さもあらん。


「この都市の統括の命をデッド陛下より賜っている貴族……大貴族でございます。事情の最中心苦しくはあるのですが卿の言をお伝えしてもよろしいでしょうか?」


「構いませんよ」


 この大都市のトップである大貴族が接触ね。


 それにしてはフォトンに気後れはないらしい。


 僕にもないけど。


「ではお伝えします。正午に食事会を催したく存じます。セブンゾール……フォトン様に参加いただければ、と。以上でございます。返事は如何に処しましょう」


「有り難く承りますとだけ」


「では正午十一時に馬車を迎えに出すと仰いましたので、それまでは当ホテルのサービスを満喫してくださいませ」


「了解です」


 そしてフォトンは八のダイヤを切った。


 それからコーヒーを飲んだり薬効煙を吸ったりしながらまったり。


 正午十一時。


 ホテルマンに誘導されてチェックアウト。


 玄関に出ると豪華絢爛な馬車が横付けされていた。


「うへぇ」


 と僕。


 フーッと煙を吐く。


 とかく装飾華美な仕様で反吐が出た。


 文句をつけることでもないけどこれ以上目立ってどうする。


 もっとも貴族の馬車ならバウンティハンターも手を出せないため牽制にはなるか……。


 そして僕ことマサムネ、フォトン、ツナデ、イナフ、ウーニャー、フィリア、ドーリは馬車に乗ってクリス卿の屋敷へと連れていかれた。


 屋敷は豪邸。


 広く、かつ完璧に統制された庭。


 金箔をふんだんに使った装飾品。


 あまりに貴族貴族しているクリス卿がニコニコ顔で出迎えてくれた。


「ようこそ私の家へ。無限復元……セブンゾール……フォトン様を迎えられて恐縮だ」


 美少女がそう云った。


 威厳も何もあったモノではない。


 握手しようと差し出した美少女……クリス卿の手を、


「おおぅ」


 とフォトンはバックステップで避ける。


「何か失礼をば?」


 クリス卿の不信も当然だろうけど都合がある。


 フォトンの無限復元は触れた瞬間適応される。


 であれば渚の国の美少女たちにとってフォトンは天敵だ。


 証拠はドーリ。


 そう説明すると、


「なるほど。それは迂闊でしたな。ではその様に」


 差し出した手を引っ込めてクリス卿は慇懃に一礼。


「とりあえず昼食を用意させて貰いました。如何でしょう」


「ご厚意に甘えます」


 頷いたフォトンを先頭に僕らはクリス卿の屋敷に入っていく。


 食堂に通され飲み物の注文を受けた。


 概ねがコーヒーか紅茶。


 例外としてフィリアとクリス卿が食前酒。


 そして和気藹々と食事会が始まった。


 コース料理だ。


 これがまた美味で贅沢だ。


 元来不老不死の美少女にされた国民は食事を必要としないらしいのだけど貴族にとって食事は娯楽としての意味を持つという。


 そういう意味では酒やタバコもそうだろう。


 高級食材をこれでもかと使った料理を堪能した後、最後にコーヒーを貰って僕は食事を終えた。


 いつも通り薬効煙を吸う。


 無論断りはいれたけど。


「麻薬ですか?」


「違います」


 精神的依存症は発生するけどね。


「一種の薬です」


「ほう」


 真剣な目を僕に向けるクリス卿。


「私にも一つ」


「木を以て命ず。薬効煙」


 ワンパック作ってクリス卿に渡した。


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