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渚の国10

 風呂が済んで、それから。


 洗濯された衣服はパリッと乾いて差し出され。


 しかし寝るには早い時間。


 ライティングの魔術で明かりをつけてトランプ大会が開かれた。


 カードを切るのは僕だけど僕自身は参加しなかった。


 今日のお題はポーカー。


 ルールをドーリに説明して僕とウーニャー以外のメンツはカードと睨めっこ。


 僕はと云えば、


「木を以て命ず。薬効煙」


 といつも通り、


「火を以て命ず。ファイヤー」


 薬効煙をくわえて火をつける。


 スーッと煙を吸ってフーッと吐く。


「タバコですか?」


 これはドーリ。


「うんにゃ」


 僕は否定する。


「薬」


「麻薬?」


「うんにゃ」


 やっぱり否定。


「単なる鎮静剤」


「それを麻薬というのでは?」


 ドーリの表情は引きつっていた。


「何と言ったものか」


 しばし考えて、


「まぁ麻薬かもね」


 特に弁明の必要も無いと結論。


 カードを切って配る。


 さて、


「…………」


 プカプカ。


 てきと~にヒロインたちを見やる。


 基本的にツナデ以外はポーカーフェイスが出来ていない。


 具体的なカードについてはもちろんわかるわけではないけど、カードの善し悪し程度は読み取れた。


 その上でツナデはカウンティングまでしているだろう。


 負ける要素が少ない。


 他は団子状態だった。


 さもあろうけど。


 僕は薬効煙をプカプカ。


 フーッと煙を夜空へと。


 ウーニャーは寝間着に着替えてパタパタとプレイヤーの背後に回ってカードの確認。


「にゃはは」


 と笑ったり、


「あはは」


 と同情したり。


 迷惑千万なのはその通りなのだけど、誰も異を唱えなかった。


 元よりそのようなものだ。


 思考は出来るけど感性は幼い。


 であるためむしろ微笑ましくもある。


 これはウーニャーの人徳だ。


 竜だけど。


「フルハウスです」


 勝った!


 そうフォトンがカードを晒した。


「ブタ」


「ワンペア」


 各々カードを開示して、


「フォーカードです。お気の毒フォトン」


 スリーカードとジョーカーのソレだった。


「むぅ」


 不満げなフォトン。


「ツナデ強すぎませんか?」


「フォトンが弱すぎるんです」


「運ゲーでしょ?」


「そんな認識だから勝てないんですよ」


 ごもっとも。


「お姉さんもこう云ったものには自信が在ったんだけどねぇ」


 ツナデの強さは突出しているのだ。


 フィリアのそれは愚痴でしかない。


「ツナデお姉ちゃんズルしてませんか?」


「してますよ?」


「道理で!」


「ま、見抜かれなければどうとでもなりますし」


 くっくとツナデの忍び笑い。


「性格悪いよぅ」


「ゲームが達者といってください」


「お兄ちゃんはこんなお姉ちゃんが好きなの?」


「別段責めるべき事でもないしなぁ」


「お兄ちゃんもズルできるの?」


「うん」


 プカプカ。


「どんなズル?」


「教えない」


「何でよぅ」


「全員がチート覚えたらゲームが成立しなくなる」


「それはそうだけど」


「そゆこと」


 ゆるりと薬効煙を吸う。


「お兄様が参戦なさるとハチャメチャにされますし」


「そなの?」


「ええ」


「ウーニャー! パパ凄い!」


 そこで褒められてもなぁ……。


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