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渚の国07

 というわけで、


「やって参りました」


 どこにってそりゃ盗賊のアジトに。


「打ち捨てられ城……か」


 古びた城が盗賊さんたちのアジトだった。


 一人を残して先遣隊を屈服させたため明日には異常に気づくだろう。


 その無事残した一人にここまで案内させた塩梅。


「で、あっしは見逃して貰えるんですかい?」


「健全に生きるならね」


「それはもう。アハハハ……」


 口元が引きつっていた。


 相当トラウマを持ったらしい。


「じゃ、案内ご苦労様。好きにして良いよ」


「どもっす」


 そして野盗さんはそそくさと逃げていった。


「正面突破ですか?」


 ツナデが云った。


「もっと穏便に行きましょ」


 僕は控えめに否定した。


 オーラを広げて印を結ぶ。


 そして術名。


「透遁の術」


 次の瞬間僕らは透明になった。


 一人オーラを習得してないドーリが狼狽えたけど、まぁ一応補足しておく。


 それから足音を立てずに盗賊アジトの廃城に侵入。


 物品を回収しておさらばした。


「色々あったねぇ」


 感慨深くお宝を並べていく。


 金貨、銀貨は当たり前。


 他にも金塊から宝石。


 装飾剣まであった。


 ついでに保存の利く食料まで。


「収入と支出があまりにもアンバランスなんですけど……」


 とこれはフォトン。


「まぁ野盗さんたちも非合法に手に入れた物だから非合法に奪われても文句言われないんじゃない?」


 こっちはイナフ。


「お姉さんとしても財産は有るに超した事は無いと思うの」


「フォトンは良心の呵責が?」


「まぁ……ツナデの言で正解かな?」


「ウーニャー!」


「盗賊たちの報復が怖いんですけど……」


 そんなドーリ。


「ああ、大丈夫」


 僕は気楽に言った。


「一国と戦って勝ち切れる戦力だから」


「それは拝見しましたけど……」


 盗賊の報復を恐れるのは今更である。


「とりあえず」


 とこれは僕。


「一応金銭面で困ることはないからいいよ」


「そう言う問題でしょうか?」


 そういう問題です。


 それから日が暮れたので今日はここまでと成った。


 盗賊のアジトで失敬した保存食(干し肉や漬け物の類だ)をもむもむと食べる。


「ウーニャー陛下は食べなくて良いんですか?」


「ウーニャー! 大丈夫!」


 元々ドラゴンは食事を必要としないらしい。


 無敵だね。


「そうならいいんですけど……」


 そして僕らは銘々に食事をする。


「ウーニャー」


 僕の頭上で尻尾ペシペシ。


「どうかした?」


「ウーニャー。食事が終わったらトランプしよ?」


「それは構わないけどね」


「ウーニャー!」


「トランプって何ですか?」


 まぁドーリが知るはずもない。


「一種の娯楽」


 干し肉をもむもむ。


「娯楽……」


「そ」


「面白いんですか?」


「まぁね」


 コックリ。


 そして食事を終えると僕らはトランプに興じた。


 ドーリも混ざるということで今回はシンプルにババ抜き。


「楽しいですね」


 ドーリはキャッキャと喜んだ。


「ま、異世界にとっては新鮮だよね」


 僕はポーカーフェイスでサックリ上がった。


 表情筋を読めるためババ抜きでは敵無しだ。


 それはツナデもそうだろう。


「上がりです」


 サクッと勝ち上がり。


「二人ともズルしてない?」


 イナフがジト目で聞いてきた。


「能力の及ぶ限りで臨んだだけだよ」


 うさんくさいことを承知で僕は言う。


「ですね」


 とツナデも賛同。


 こと心理戦において僕ら兄妹を勝る者はこの世界には居ないだろう。


 ちなみにトランプを提案したウーニャーは僕の頭の上で尻尾ペシペシしていた。


 特に参加表明するわけでもなく見ているだけで楽しいらしい。


 まぁそれでいいなら僕から言うこともないんだけど。


「ウーニャー! パパ強いね!」


 恐悦至極です。


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