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渚の国03

「とりあえず」


 と全員で会議。


 醜女さんもここに含まれる。


「どうする?」


 抽象的な言葉を僕は発した。


 何はともあれ目的をハッキリさせねば。


「とりあえず渚の国の王に面会してラセンの情報を掴まねば……」


 ま、大分追いついてる感じではあるんだけど……。


「いっそのこと渚の国に帰順しませんか? フォトン様を除いて」


 とこれは醜女さん。


「いや、気持ちは有り難いけど目的があって旅してるんで」


 なるたけ迂遠に断った。


「目的?」


「それは此処で話す事ではありませんね」


 フォトンが遮る。


「でも良い事ありますよ?」


「例えば?」


「可愛い女の子にされます」


「…………」


 醜女さん以外の全員が沈黙した。


 連れの全員が、


「何とコメントして良いかわからない」


 と表情で語っていた。


「あと不老不死に為れます」


「…………」


 今度はフォトンに視線が集まった。


「はあ」


 とフォトン。


 無限復元。


 完全なる不老不病不死。


 その体現者の前でする話でも無かったのだ。


「じゃあこの国は……」


「ええ、不老不死の美少女で溢れていますよ?」


「魔術ですか?」


 とツナデ。


「そうなるのかな? あんまり詳しい事は分からないけど。でもなんか不老不死にされると気持ちがうきうきするんだぁ」


 醜女さんが本音を語っているのは僕には分かった。


 ツナデも分かったろう。


「代わりに渚の国から出られなくなるけど」


「そうなの?」


 これはイナフ。


 キョトンとしていた。


「んーと」


 醜女さんは言葉を探して、


「どうにも陛下は国中に結界を強いているみたいで圏外に出ると魔術が解けちゃうの」


「ウーニャー……」


 ウーニャーの声には多分に呆れが入っていた。


 もとよりドリフターズの僕らには相容れない制度らしい事は分かった。


「だからさ」


 と醜女さん。


「渚の国に帰順すれば毎日楽しいよ?」


 僕らは視線で会話をした。


「ええと、君の名は?」


 と醜女さんに尋ねる。


「ドーリって言うんだよ」


 醜女さん改めドーリは簡潔に名を告げた。


「ドーリは魔術解けちゃったけど……」


「うん。だから陛下に拝謁しなくちゃ……」


「ついでに僕らも連れて行ってくれない?」


「帰順するの?」


「いや、単純に面会したいだけ」


「そんな理由で会ってくれるかなぁ?」


 ドーリは首を傾げた。


「何か問題が?」


「基本的に渚の国の民は陛下に絶対服従だから変に自意識や自尊心を持っている人を嫌うんだよね」


「……筋金入りだね」


 若干引く僕および一同。


「あ、悪く言ってるんじゃ無いよ?」


 そなの?


「不老不死にして貰ってるから対価として陛下にこうべを下げてるだけで、別段無茶な事は言われないしのんびり気ままに生きていけるから。ただ陛下に都合の悪いことが出来ないって云うギアスがかかるだけ」


 なんとなく、


「ハーレムを作ってるんじゃ……」


 とか思ったけどそうでもないのかな?


「ウーニャー!」


 ウーニャーが尻尾ペシペシ。


 当然僕の頭の上で。


「なんだったら血路を開くよ!」


「頼りにしてる」


 さすがに不老不死とは言っても空間から時間まで吹き飛ばすウーニャーのレインボーブレスに勝るとは思えなかった。


 どこまでドーリの話が本物で、国王の能力がどうなのかにも依るだろうけど。


「だいたい不老不死を何故に望むんです?」


 心底分からない。


 そう聞いたのはフォトンだった。


「理由が居るの?」


 とドーリの返答。


 フォトンは盛大に嘆息した。


 過去情報から逆算して不死の宿業と目の前のドーリの楽観とに摩擦が生じたのだろう。


 気持ちは分からないけど予想できる事ではあった。


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