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夷の国32

 船上。


 夷の国から出る奴隷商船に乗せてもらって僕らは大陸へと戻る。


 僕は、


「…………」


 想像創造をすると、


「木を以て命ず。薬効煙」


 と世界宣言。


 薬効煙を生み出す。


 それをくわえて、


「火を以て命ず。ファイヤー」


 火を点ける。


 煙をスーッと吸ってフーッと吐く。


「ウーニャー!」


 いつも通り僕の頭上に乗っているウーニャーが僕の後頭部を尻尾でペシペシ。


 いつもと変わらない日常だ。


 で、


「…………」


 プカプカ。


 僕が何をしているかというと、


「ウーニャー!」


「なぁに?」


「引いてるよ!」


「知ってる」


 海釣りなわけだ。


 妙にグロテクスな魚が釣れる。


 まぁ別に構いやしないのだけど。


「ウーニャー!」


 尻尾ペシペシ。


「次はどんな国?」


「知らないよ」


 本音だ。


 最終目標が、


「剣の国」


 には相違ないけど。


 フォトン曰く、


「幻の国」


 らしい。


「誰もが知っていて」


 しかして、


「誰もが辿りつけていない場所」


 そんな国。


 あるいは元の世界の、


「桃源郷」


 に相当するのか。


 望んで行ける場所ではない。


 選ばれた者だけが辿り着ける場所。


 ともあれ大陸に有るのは朗報だ。


 そこに行けばラセンに会えるのだから。


 というわけで僕は今日も海釣りを敢行するのだ。


 餌を釣り針に刺して糸を垂らす。


 そして薬効煙をプカプカ。


「ウーニャー……」


 ウーニャーは僕の頭の上でクニャッと脱力した。


「何か考え事でも?」


 僕が問うと、


「ラセンって何者?」


 至極真っ当な疑問が返される。


「想像はつくけどね」


 それだけ。


 僕は言う。


「わかるの?」


「ノーコメントで」


 僕は薬効煙をプカプカ。


 フーッと煙を吐く。


「ああ」


 落ち着く。


「ウーニャー」


「なぁに?」


「パパはラセンが何者かわかってるの?」


「いいや」


 全く。


 あくまで推測だ。


 言っても詮無いから言わないけど。


「フォトンは本当にラセンに会っていいのかな?」


「さぁてねぇ」


 僕は釣竿を握ったままぼんやりと誤魔化す。


「ウーニャー……」


 ウーニャーは不満らしかった。


「僕たちに出来るのはフォトンとラセンを引き合わせることだけだよ」


 それ以外に言い様が無い。


「パパはそれでいいの?」


 まぁ、


「気にするこっちゃないね」


 そんな本音。


 実際その通りだ。


 イセイ王の話を聞く限りにおいてはラセンとフォトンの関係性も……わずかながら見えてくる。


「だから何だ」


 って話ではあるんだけど。


 薬効煙をプカプカ。


 煙を吸って吐く。


「ま」


 僕は言う。


「後はフォトン次第だね」


 簡潔な事実を。


 でも実際にそうなのだ。


 フォトン以外に解決できないし、手を出すことも躊躇われる問題だ。


 これは。


 そんなこんなで僕たちを乗せた船は夷の国を出港して次なる国へと向かうのだった。


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