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夷の国27

「お初お目にかかります。ブレイドファミリーの首領……クライネと申します」


 そんなクライネの言葉に、


「マサムネだよ」


「フォトンです」


「ツナデです」


「イナフです」


「ウーニャー」


「フィリアよ」


 僕らも名乗る。


「色々とやってくれたらしいですね?」


 クライネはそう皮肉った。


「リアクションだよ」


 僕は肩をすくめる。


「そもそっちが手を出さなければ問題は起きてないさ」


 真っ当な理論だ。


 少なくともこっちにとっては。


 まぁやーさんが見栄商売である以上、


「落とし前」


 は必要になるだろうけど。


「なら抗争する?」


「勘弁です」


 クライネは両手を挙げて降参した。


「ふぅん?」


 思考する。


「では何ゆえ出迎えたの?」


「末端の構成員の行動についてまでは管理できませんよ」


 至極道理だ。


 少なくとも末端構成員はクライネの看板を背負って好き勝手しているだけだろう。


「ならクライネの目的は?」


「そちらの……」


 とクライネはツナデを見る。


「ツナデ様が興味深い武器を持っているとのことで」


 興味深い武器?


 クネリと首を傾げると、


「これですか」


 ツナデは懐から拳銃を取り出した。


 M1911。


 コルトガバメント。


「それでもってこちらの構成員を退けたらしいですね。どういった武器なのです?」


「細かい経緯を抜きにすれば単純ですよ。鉛の弾を火薬の爆発力で発射させるだけの機構です」


「火薬で……弾を……」


「で、実際に使用するならこういうことですね」


 あっさりと言うとツナデは銃の引き金を引いた。


 銃声が三つ。


 三発の銃弾がクライネの皮膚をかすって後ろの壁に弾痕を残す。


 それから、


「火と金を以て命ず。装填」


 魔術で弾丸の再装填を行なうツナデ。


「……っ!」


 クライネは戦慄に冷や汗をかいた。


 気持ちはわからないでもない。


 銃の恐怖は僕とてよく知っているつもりだ。


 引き金一つで命を奪う。


 それはそんな火器である。


「詳しく教えてもらえませんか?」


 クライネは興味津々だった。


「別にそう大層なものじゃないんですけど……」


 そしてツナデは、


「火と金を以て命ず。コルトガバメント」


 魔術で新しいM1911を生み出すとクライネに投げてよこす。


「これのトリガーを引けば銃弾が飛び出すだけのことです」


 あっさりとしたものである。


「銃弾とは?」


 困惑するクライネに、


「カートリッジの説明から始めましょうか」


 ツナデは根気良く付き合う。


 カートリッジ。


 薬莢。


 ガンパウダー。


 そしてフルメタルジャケットやホローポイント弾にまで講釈は及ぶ。


 つまり撃鉄によって火薬を爆ぜさせて弾丸を撃ち出す機構まで。


「クライネは……魔術は使えるのですか?」


「まぁ一辺倒は……」


「なら話は早いですね」


 ツナデは、


「さも当然」


 と言う。


「これらの銃弾の装填をイメージして魔術を行使すれば弾切れを気にせず銃が使えますよ」


 なるほどね。


 こちらの世界には無い拳銃と云う概念。


 そを理解させるのがツナデの真骨頂というわけだ。


「ええと……薬莢と火薬と……雷管と銃弾……」


 ポイントを押さえ押さえ呟くゴッドファーザー……クライネ。


 銃声が鳴る。


 クライネの銃によるものだ。


 それからクライネは、


「火と金のエレメントを以て大神デミウルゴスに願い奉る。コルトガバメントの再装填を請け負うことを……」


 世界宣言を行なう。


 その宣言通りにクライネのコルトガバメントは銃弾の再装填を行なう。


 クライネは銃を目にしながら薄い笑いを浮かべた。


 確かな力を手に入れたことがよほど嬉しいのだろう。


 気持ちはわからないじゃないけどね。


「さて……」


 後はもう少し歩いてイセイ王に面会するだけか。


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