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夷の国20

 空間破壊性結果論転移。


 地球の座標を特定してそに転移する技術だ。


 地球とて動いている。


 自転しているし公転もしている。


 太陽系も銀河系に公転している。


 銀河系も宇宙の膨張と共に動いている。


 である以上空間破却はどうやって地球の一点を捕捉しているのか謎だけど、


「まぁ」


 神様のやることだ。


 ツッコんだら負けなのだろう。


 そんなわけで転移先は夷の国。


 その教会。


「おや」


 とカルテット。


「おかえりなさいマサムネ様」


「おかえりなさいませお兄様」


「おかえり! お兄ちゃん!」


「おかえり。マサムネちゃん」


 フォトンとツナデとイナフとフィリアが歓迎してくれた。


「ただいま」


 と僕は返す。


「ウーニャー!」


 とウーニャー。


「リリアとエッチなことしていませんよね?」


 フォトンがジト目で問い質す。


 僕は飄々として、


「そんなわけないでしょ」


 と大嘘を吐いた。


 実際は全裸のリリアと一緒にお風呂に入りました。


 だからって僕を囲むヒロインたちに引け目を感じる義理も無いのだけど、


「面倒くさい」


 の一点ばりで僕は誤魔化した。


 ちゃんとウーニャーにも言い含めてある。


 どこまで口を割らないかは怪しい所だけど。


「「「「「すげえ!」」」」」


 と教会の孤児たちが僕に尊敬の視線を送る。


 何が凄いのだろう?


「空間破却を教えて」


 と子どもたちは僕にねだる。


 うーん。


 教えて出来るなら国際魔術学院なんて存在しないわけで。


 不毛とはこのことを指すのだろう。


「それがあれば」


「夷の国を抜け出せる」


「マサムネ」


「空間破却を教えて」


 どうやら子どもたちは夷の国を出たいらしかった。


 当たり前か。


 そもそもとして夷の国は流刑地。


 犯罪者の魔窟。


 である以上ある程度は、


「力が全て」


 の側面も無いわけではない。


 殺傷。


 強姦。


 麻薬。


 威嚇。


 搾取。


 面倒事なぞ数えればそれこそキリがない。


 そんな場所に居続ければ外の世界が輝かしく見えるのも道理というわけだ。


「けどねぇ……」


 空間破却は闇魔術。


 まして空間転移は口で説明してどうなるものでもない。


 センス……つまり才能を必要とする。


 僕には簡単だったけど、実際ツナデなんかは相対性理論における超光速移動の難しさを理解しているが故に使うことが出来ないのだ。


 それを孤児たちが理解できるかはさらさら怪しい所といって不可分は無い。


「マサムネ様。お帰りなさいませ」


 教会の神父さんが僕にそう言った。


「ども」


 僕は答える。


 薬効煙をプカプカ。


「聞くにイセイ陛下にまみえるとのことですが……」


 イセイ王。


 夷の国の王だ。


「ま、観光旅行ですし」


 プカプカ。


 フーッと教会の天井目掛けて煙を吐く。


「イセイ陛下は一筋縄ではいきませんよ?」


 そうなの?


「千里眼と祟りの能力を持つ……無法地帯である夷の国をその威力で統治する力の結晶とでも呼ぶべき存在です」


 千里眼と祟り……ね。


 なんとなくオチが見えたかな?


「そうでなくとも……」


「とも?」


「マサムネ様たちは賞金首ですから害意の対象になりえます」


「自業自得だけどね」


「ブラックリストハンターには十全に気を付けてください」


 気を付けるほどのモノかなぁ?


 言葉にはしないけどさ。


「ではお世話になりました」


 僕は教会の神父にニッコリと笑った。


 目指すは夷の国の最高権力者。


 その道程は屍山血河を具現するだろう。


 知ったこっちゃないんですけどね~。


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