夷の国17
僕と貴族の決闘の情報は国際魔術学院に広く知れ渡った。
その中心がリリアであることも。
一人の女性をめぐって男性が決闘をするというシチュエーションも噂の頒布に拍車をかけるのだった。
「やれやれ」
僕はクランゼの宿舎で風呂に入っていた。
当然水着着用。
何故に当然って?
そんなことを気にしない女子二人がいるからだ。
一人目の女子。
名をリリア。
利休鼠の髪と瞳で僕にすり寄る。
その胸は比較対象には劣るけど確かに有る。
それをムニッと押し付けられているのだから僕の心はとても平常ではいられないということをリリアはわかっているのかな?
なんて。
六根清浄六根清浄。
二人目の女子。
名をウーニャー。
虹色の髪と瞳とを持つ美幼女。
胸はまな板。
性器は未熟。
僕の食指は動かない。
それでも、
「ウーニャー! パパ!」
と全裸で感情表現をされれば悪い気はしないわけで。
いやまぁ、
「…………」
手を出す気はさらさらないんだけど。
「マサムネ……」
「なぁに?」
「抱いてくれる……気に……なりました?」
「別に……そんなでも……」
大嘘だ。
浴場で全裸のリリアに抱き付かれて意識を持っていかれないなら精神を心配した方がいいだろう。
「まだ……抱く気には……なりませんか……」
至極真っ当な結論だ。
「ごめんね」
クシャッとリリアの髪を撫ぜる。
「リリアは……魅力が……無いですか……?」
「それはない」
天地神明に誓って。
「ではマサムネの……好みでは……無いですか……?」
「それもない」
森羅万象に誓って。
「ウーニャー!」
ウーニャーが声高らかに云う。
「パパはヘタレだから!」
黙らっしゃい。
「ハーレムの誰にも手を出してないんだよ?」
黙らっしゃい。
「やっぱり……女の子に……魅力を……感じないですか……?」
「てい」
チョップ。
「あう……」
リリアは頭を押さえる。
「魅力を感じないわけないでしょ」
それが僕の本音だ。
「別に……後腐れなく……抱いてくださって……構いませんよ……」
「僕が構うの」
それだけは譲れない。
少なくとも僕の旅の道連れに決着をつけない限りリリアを抱くことはまったくもってありえない。
そう云うと、
「そう……」
と寂しげにリリアは呟いた。
悪い男になった気分。
事実、
「悪い男」
には違いないのだけど。
「ウーニャー!」
ウーニャーが全裸で僕に抱き付いて言う。
「パパ、童貞!」
やっかましい。
否定は出来ないけど。
「ともあれ明日はあの高慢ちきと決闘か……」
湯船に浸かって僕は言う。
「大丈夫……なんですか……?」
リリアが問い、
「パパなら大丈夫」
ウーニャーが結論付ける。
「本当に?」
「本当本当」
それで話題は完結した。
リリアのバーサスをかけた決闘。
戦わなければならない時はあるけど、ぶっちゃけ茶番だ。
こっちには絶対防御があるのだから。
勝ちは有っても負けは無い。
そう思いあがるほどには……僕は自負を持っていた。
「…………」
沈黙。
そんな自負が一銭にもならないことも承知だけど。
「マサムネ……」
「ウーニャー! パパ!」
未成熟かつ熟れる前の体を僕に押し付ける美少女の二人にはどういった反応をすればいいのか戸惑う僕。
結局なるようにしかならないんだけどね。
それより今はリリアのぱいおつの感触を楽しもう。