表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/512

夷の国09

「ほう。あなたがあの無限復元……セブンゾール……フォトン様ですか」


「間違ってはいませんが大層な存在ではありませんよ」


 教会の執行者の驚きにフォトンは苦笑いで返した。


 執行者は年を召した男性だった。


 しかしてカソックの下にあるのは極限まで鍛え抜かれたビルドアップボディ。


 気迫というものを感じさせる使徒だった。


 後れを取る気は毛頭ないけど僕とて苦戦は免れまい。


 後で知ったことだけど執行者らしく聖釘の魔術も使えるとのこと。


 そうでもなければ夷の国で教会の威信を保てないのだろう。


 後は子どもたちを守れないとか。


 僕たちが、


「泊めてもらいたいんですが」


 とお願いしたら執行者は二つ返事で受け入れてくれた。


 それ自体は有難いんですけど、


「無限復元!?」


「セブンゾール!?」


「すげぇ!」


「魔術教えて!」


「ドラゴンだ!」


「七色だ!」


「すげぇ!」


「ドラゴンブレス吐いて!」


 十人ばっかしの子どもたちが騒がしかった。


「この子どもたちはこちらで保護を?」


 僕が問うと、


「ええ。まぁ」


 執行者は苦笑した。


「まさか子どもが島流しになったわけじゃありませんよね?」


「それはありえません」


 さいでっか。


「この国は控えめに言っても治安の良い場所とは言えません。両親を亡くした子どもたちも存在するのです」


「で、教会が引き受けていると」


「ええ」


 コックリ頷かれる。


「親のいない子どもは奴隷商人や売春業者の格好の的ですから教会が保護せなばどうなることやら……」


 なるほどね。


「教会ならばならず者たちも手が出せませんし、何よりイセイ陛下の加護もありますしね」


 イセイ陛下っていうと……。


「夷の国の王です」


 でっか。


「イセイ王ね……」


 僕は薬効煙をくわえて火を点けると煙を吸って吐く。


 ちらりとクインテットに目をやると、教会に保護されている子どもたちに振り回されていた。


 特にフォトンとウーニャー。


 フォトンには、


「魔術を教えて」


 と子どもたちがせがみ、ウーニャーには、


「ドラゴンだ」


 と子どもたちが興味本位で群がった。


「ええと……」


 魔術を教えるも何も実演できないフォトンと、


「ウーニャー……」


 ドラゴンブレスでも吐こうものなら大破壊必至のウーニャーが困惑していた。


 ちなみにツナデとイナフとフィリアは、


「我関せず」


 と云った様子だ。


 意識を執行者に戻す。


「イセイ陛下の寄付と示威によって夷の国の教会は成り立っています。もっとも教会と言ってもここ一つですが……」


「生き危ぶんでいる子どもがここにいる全員と云うわけでもないのでは?」


「そうなんですがどうしたって許容量と云うものは有りますから」


 執行者は悲しげに目を伏せた。


 他の子どもがどんな目にあっているか。


 それを想像して意気消沈らしい。


 僕としてもあまり考えたくはない。


「とまれ」


 と執行者。


「お客さんは大歓迎です。どうぞ泊まっていってください」


「感謝します」


 そして僕は微笑んだ。


「お食事は? 持て成すことも出来ますが……」


「先ほど食べたばかりですのでお気になさらず」


「水浴びはされますか?」


「そっちについても問題ありません」


「ですか」


 フィリアのトライデントがあるからね。


 お湯の空間を作って風呂代わりにし水分を蒸発させてサッパリすることもトライデントには可能だ。


 で、実際そうするのだった。


「ふおおお!」


「すげえ!」


「風呂だ!」


「なにその槍!?」


 教会の子どもたちはお風呂に浸かってはしゃいだ。


 チームマサムネも入浴する。


 無論水着着用。


「マサムネ様」


「お兄様」


「お兄ちゃん」


「パパ」


「マサムネちゃん」


 クインテットヒロインが水着姿で言い寄ってきたけど、まぁこれはいつものこと。


 気にするこってもない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ