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夷の国04

 で、肝心の奴隷商船が港に付いた。


 夷の国から運ばれた奴隷たちが船を降りる。


 同情はするけど干渉はしない。


 美少女がいるなら話は別なんだけども。


 そして船主に夷の国に運んでくれるよう頼む。


 二つ返事で許可が下りた。


 この際フォトンとツナデとイナフとフィリアが美少女および美女だったことに起因するのだろう。


 深い緑色の髪の美少女。


 名をフォトン。


 大和撫子。


 名をツナデ。


 ハーフエルフ。


 名をイナフ。


 水色の髪の美女。


 名をフィリア。


 全員が全員美しい女性たちだった。


 それが夷の国に行くという。


 奴隷商人にしてみれば願ったり叶ったりだろう。


 商品としてはこの上ない。


 垂涎の的とはこれを指して言うべきだ。


 実を言えばそんな甘い相手ではないのだけど、それをここで説明してやる義理も人情も無い。


 なんとなく、


「変化の術を使うべきだったかな?」


 なんて思ったけど遁術およびオーラの維持は……まぁ僕なら問題はないんだけど面倒であることもまた事実で。


 であるから飾らずに奴隷商船に乗り込むことになった。


 まさか遁術で美少女たちをムキムキマッチョマンにするわけにもいかないし。


 それはそれで面白そうではあるんだけどね。


 ウーニャー?


 ドラゴンの姿のまま僕の頭の上に陣取っています。


「ウーニャー」


 後頭部をペシペシされる。


 これはいつも通り。


「ともあれお送りしましょう。夷の国に行きたいというのならば」


 先述通り奴隷商は僕たちを朗らかに受け入れてくれた。


 船に乗り込みいざ出発。


 だいたい夷の国まで船で二日くらいかかるらしい。


 まぁそうでもなければ夷の国そのものが成り立たないだろう。


 絶海の孤島故にならず者が住まえるわけだから。


 で、商船に乗った僕たちはのんべんだらりと夷の国への渡航を受け入れた。


 フォトンとツナデとイナフとフィリアは奴隷商船の船主とともにトランプ……ポーカーに興じている。


 僕はウーニャーを頭に乗っけて船釣を楽しむ。


 とは言っても奴隷商船はでっかい帆船であるため食事には事欠かず魚が釣れてもキャッチアンドリリースなんだけど。


「ウーニャー!」


「何?」


「大丈夫なの?」


「何が?」


「この船に乗っていて」


 うん。


 まぁ。


 言いたいことはわからんじゃないけど……。


「いいんじゃない?」


 僕は気楽に言った。


「何かあったらウーニャーが力尽くで解決してくれるでしょ?」


「ウーニャー!」


 ウーニャーは僕に頼りにされるのが嬉しいらしかった。


「ウーニャーがパパを守ってあげる!」


「ウーニャーは良い子だね」


「ウーニャー!」


 偉い偉い。


 尻尾で僕の後頭部をペシペシ。


 やっぱりいつも通り。


「海賊とか襲ってこないかな?」


「どうだろね」


 いてもおかしくはないんだけど……。


 山賊と違って実りある職業だ。


 何せ海上にいる間は検挙できない。


 例外はあれど。


「まぁ僕らには例外がいるから問題ないんじゃない?」


 釣り糸を垂らして僕。


「つまらない」


 とばかりなウーニャーだった。


「ウーニャー……」


「まぁ夷の国に行けば厄介事が待ってるだろうからウーニャーはそこで暴れればいいんじゃない?」


「ウーニャー。厄介事?」


「美少女クインテットがならず者の目にとまるのは必然だと思うんだ」


「ウーニャー……」


「としたらやっぱり絡まれるわけで」


「ウーニャー」


「威力的平和主義を貫くのは必然かと」


「ウーニャー!」


 ん。


 元気が出たようで何より。


「もっとも……」


 本当にウーニャーが本気を出せば夷の国そのものが更地になりかねないけどね。


 それは言わぬが花ということで。


 ちなみに奴隷商船の船主はトランプを譲ってもらうことと引き換えに僕たちを乗せていってくれるらしい。


 桜の国でも思ったけどトランプって便利ね。


 異世界の娯楽がこちらで主導権を握るってのも変な話だけど。


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