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形の国18

 と、いうわけで……ライセンスのいらないさびれた冒険者ギルドに顔を出す僕たちなのであった。


 その間については……何だかな。


 恐怖と憤怒と胡乱の目で街の人たちに見られたけど……へこたれないぞ僕たちは。


 さて、


「おお……」


 既に噂になっていたのか。


 冒険者のギルドが僕たちの登場にどよめく。


 再度言う。


 何だかな。


 刺さる視線は針のむしろだったけど……この際気にしてもしょうがない。


 で、僕はと云うと、


「ホットミルク」


 とギルド兼酒場の係り兼店員に飲み物を注文する。


 フォトンとフィリアが王都までのクエストを探す形だ。


 僕とツナデとイナフとウーニャーは席に座った。


 訂正。


 ウーニャーは相変わらず僕の頭の上を陣取っている。


 まぁ牽制になるからいいんだけどね。


「アイスコーヒーを」


「アイスティー」


 ツナデとイナフも注文する。


 どうせ金を出すのはフォトンとツナデさ。


 で、まったりと注文した品……僕の場合はホットミルク……を飲んでいると、


「おーおー」


 ガラの悪い冒険者に絡まれた。


 計五人。


 顔や腕の傷の痕は歴戦の証なのだろう。


 一目見て戦力を分析する。


 結果、


「…………」


 無視して問題ないと結論付けた。


 ホットミルクを飲む。


「ふや」


 一息。


「なめてんのかテメェ……!」


 絡んできた冒険者の一人が僕を睨み付ける。


 無視する。


 正直関わりたくないし関わって得するモノでもないと思う。


 なのでホットミルクを飲む。


「ほ……」


 一息。


「お前マサムネだろう?」


「…………」


「そっちの嬢ちゃんがツナデか」


「…………」


 僕は効果的に無視してのけたけどツナデは同調しなかった。


「でしたらどうだというんです?」


 挑発的でさえある。


「二人狩れば金貨四十枚だな。ぼろい儲けだぜ」


「……おお」


 そう言えば賞金首だったね僕ら……。


 すっかり忘れていた。


 だからどうだというわけでも……ないんだけどさ。


「生死問わずだったよな?」


 確認するようなガラの悪い冒険者の一人の言葉に、


「ええ、そうですよ」


 ニッコリ笑ってツナデ。


 あ。


 ヤバい。


 ツナデが僕以外に対してニッコリ笑う時は大概暴力沙汰になる。


 まして相手は、


「マサムネとツナデを殺して賞金を得よう」


 と言っているのだ。


 自衛感情……ではない。


 ツナデの関心事は一つだ。


 つまり、


「お兄様を害そうとする存在は殺しつくす」


 これに尽きる。


 自らの頭上にギロチンが設置されていることも知らない冒険者たちが、


「生きたまま引き渡されるのと首だけになって引き渡されるのはどっちがいい?」


 などと言ってくる。


 十三階段が見えるようだ。


「ツナデ」


「お兄様……何でしょう?」


「銃禁止」


「了解しました」


 懐から手を抜き取るツナデだった。


 別にだからって結果が変わるわけじゃないんだけどね。


「えーと……」


 僕はぼんやりと確認する。


「僕とツナデの賞金が欲しいんだよね?」


 今更の質問に、


「何を今更」


 と冒険者。


「ですよねー」


 あっはっはと笑う僕を無視して、冒険者の甘い目算も無視して、


「…………」


 ツナデがオーラを広げると複雑な印を結んで術名を発す。


「火遁の術」


 次の瞬間、


「ぎゃああああああああああああああっ!」


 五人の絡んできた冒険者たちが炎の幻覚に包まれて絶叫した。


 断末魔の叫び……と言う奴だろう。


「何をやっているんでしょう……」


 フォトンがこっちを見ながらそう言った。


 何……と言われても害虫駆除に相違ないんだけどな。


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