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形の国05

「お……」


「や……」


「はぁ……」


「やは……!」


「ウーニャー!」


「やっと……」


 最初の村についた。


 広大な麦畑がその目に映る。


「久しぶりに屋内で寝られるわね」


 疲労じみてフィリアが言う。


「ウーニャー」


 ウーニャーがいつも通り僕の頭の上に位置どってペシペシと尻尾で僕の後頭部を叩く。


「お兄様。一緒に寝ましょうね?」


 スススと寄ってくる義妹……ツナデ。


「あ、ずるい!」


 抗議するはイナフ。


「マサムネ様とバーサスである私が優先されましょう?」


 これはフォトン。


「ウーニャー!」


 ウーニャーがペシペシ。


「マサムネちゃんはお姉さんと寝るわよね?」


 フィリアはトライデントを強く握りながら。


「全員却下。僕はウーニャーと寝る」


「お兄様はペドフィリアですか?」


「誤解を招くことを言わないの」


 ツナデにチョップ。


「ウーニャー! ウーニャーもパパが好き!」


「ライクでね」


 そこは譲れない。


 そう言えばインプリンティングが一時的なものだと聞いた気がするけど、それにしてはウーニャーはよく懐く。


 本当に僕を気に入ったのだろうか?


 まぁいいんだけどさ。


 想像創造。


 後の世界宣言。


「木を以て命ず。薬効煙」


 手元に薬効煙が一本作られる。


 さらに想像創造。


 後の世界宣言。


「火を以て命ず。ファイヤー」


 手元に魔術で火を起こし、薬効煙に火を点ける。


 プカプカ。


 さてさて、


「まずはチェックインかな?」


「ですね」


 そして宿屋……とは言っても小さな村のソレだから大したものではないのだけど……にて部屋を確保。


 一人に付き銅貨五枚。


 格安だが村程度ならこれが順当。


 僕はベッドに腰を下ろして薬効煙を嗜む。


「…………」


 それを吸い終えた後に、


「行くか」


「ウーニャー」


 ウーニャーを頭に乗せたまま僕は部屋を出る。


 そして全員集合。


「じゃあ食事にしよっか」


 僕が提案すると、


「賛成です」


「同じく」


「うん! お兄ちゃん!」


「妥当ね」


 肯定が返ってきた。


 旅の途中の食事はパンや干し肉……あるいは釣り上げた魚や魔術で造った木の実などしかないのだ。


 この世界の冒険者は手料理の有難さが良くわかる。


 そんなわけで食堂に向かう僕たちだった。


 麦飯。


 菜と茸のスープ。


 肉厚ベーコン。


 鮎の塩焼き。


 どれもが美味だった。


 王侯貴族の食事に比べれば貧相だが、だからといって職人の手の込められたものに優劣は無い。


 こちらはこちらで良いモノである。


 はふはふ。


 もむもむ。


「ふや」


 食事の満足。


 その吐息をつく。


「久しぶりに手料理を食べたわね」


 フィリアが感慨めいて言う。


「まったくまったく」


 イナフがうんうんと頷く。


「ほふ……」


「ふう」


 食後の茶を飲んでフォトンとツナデが一息つく。


「そういえばこの宿は風呂が無かったね」


 由々しきことだ。


 まぁ小さな村じゃしょうがない。


 同時に無用の心配でもあったけど。


 僕たちにはトライデントがある。


 それはつまり水分の供給……湯の確保につながる。


 風呂はフィリアに作ってもらおう。


 僕は食後のお茶を飲むと、


「はう」


 と吐息をついた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 煙草の詠唱はもう省略しても良いかも。
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