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神の国17

 思考加速。


 僕は僕のこの能力をそう名付けている。


 世界を捉える脳の時間認識を加速させる。


 その倍率はおよそ三倍。


 物事の認識速度が三倍になる……というより物事の進行具合が三分の一になると言った方が状況としては正しい。


 世界と僕との二極化をすれば……ではあるけど。


 ともあれ脳に設けられているリミッターがぶっ壊れているのだ。


 それも生まれつき。


 スイッチのオンオフは出来るけど慰めにもならない。


 さらに言えば脳の機能が壊れているということは肉体の運営能力さえも壊れていることに他ならない。


 約三倍。


 脳の認識とともに肉体の運動能力もそれだけ飛躍する。


 しかしてソレが僕にとっての常識だ。


 思考加速が僕固有のモノなのか……それとも本来誰でも使えるモノなのか……それはわからないけど僕にとってはリミッターを外した方が本来の能力と言える。


 当然心身への負荷は無いに等しい。


 元よりリミッターを外した方が自然なのだから肉体までもそういう仕様になっているようだ。


 そしてそれは対人戦闘における驚異ともとれる。


 誰も僕についてこられない。


 誰も僕に追いつけられない。


 そもそもの速度が段違いなのだ。


 人の三倍の速度で思考し、判断し、実行する。


 そんな世界に今僕はいるのだから。


 手に持つは超振動兼超高熱刀。


 相対するは光の国の軍隊。


 飛獲物が無いため兵士さんたちは剣で武装し、盾と鎧で身を守っている。


 無駄だけどね。


 苦笑して一歩踏み出す。


 周り一面兵士さんたちだ。


 何処に行こうとも兵士さんばかり。


 石を投げれば兵士さんに当たる。


 故に手加減の理由が無かった。


 持っている刀を振るう。


 兵士さんの内二人が絶句した。


 なにせ超振動兼超高熱の刀だ。


 熱したナイフでバターを切る様に手応えもなく刃がすり抜ける。


 何を?


 もちろん兵士さんたちの盾や鎧を……である。


 それだけの切れ味を有しながら刀身は二メートルと長い。


 僕の結界は半径二メートルというわけだ。


 さらに一歩踏み込む。


 僕の結界に入った兵士さんたちが切り捨てられる。


 振動と高熱によって刀に付いた血は洗い流される。


 まぁ血がついていようと切れ味に差し障りがあるとも思えないけど。


 七秒。


 僕は兵士さんたちを切り捨てる。


「ひぃ!」


 とか、


「うわ!」


 などと狼狽するのは安全圏にいる兵士さんたちだ。


 僕の結界に入った兵士さんは言葉を発する前に切り捨てられるのだから。


 八秒。


 九秒。


 その間に数十人の兵士さんたちを無力化してのける。


「狼狽えるな! ライト王の威光を背負った我々が俗物に負けるはずがない!」


 どっちが俗物なんだか……。


 ともあれ檄を飛ばしたのが軍隊の隊長だと認識する。


 頭を叩く。


 戦闘における基本だ。


 個人であれ集団であれ。


 僕は三倍速で想像創造および世界宣言を行なう。


「闇を以て命ず。空間破却」


 空間破壊性結果論転移。


 檄を飛ばした兵士の背後へと跳躍する。


 決着は一瞬だ。


 僕が刀を振るえばいい。


 超振動兼超高熱刀はスラリと兵士さんの両腕を切り取った。


 刀の超高熱が出血を無理矢理防いだので死にはしないだろう。


 鶴亀鶴亀。


 十秒。


 ようやっと十秒だ。


 その間に数十人の兵士さんが無力化していた。


 ……僕に言われたくはないだろうけど。


 ともあれ軍隊の頭は潰した。


 後はじっくり抗していくだけだ。


 道徳や倫理観?


 そんなものは御伽噺に任せておけばいい。


 少なくとも殺そうとする相手へやり返すことに僕が躊躇いを覚える必要はどこにも無い……はずだ。


 サクリサクリと兵士さんたちを無力化していく。


 刀は一向に衰えを見せず、百名ばかりをのしてのけた。


 十一秒。


 十一秒で軍隊の十分の一をリングアウトしてのけたのだ。


 単純計算で全滅まで百十秒。


 だいたい二分と言ったところか。


 配線工事じゃあるまいし、そう理論通りにいくとも思えないけど。


 僕は想像創造をすると、


「金を以て命ず。超振動クナイ」


 クナイを具現化して投擲する。


 これだけで十数名が深刻な負傷をする。


 軍隊は瓦解寸前だった。


 当然だろう。


 千人に勝る一人。


 そんな不条理を目の前にしているのだから。


 まぁだからと言って手加減する理由にはならないわけだけど。


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