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桜の国24

「たしかに『お風呂なら誰彼構わず入ってあげるから』……って言ったのは僕なんだけどさ……」


 うんざりとぼやく僕に、


「言ったのなら責任取ってください」


 フォトンがそう言って近づいてきて、


「お兄様? ツナデの体を好きにしていいんですよ?」


 ツナデがそう言って誘惑してきて、


「イナフもツナデに賛成!」


 イナフもそれに同調して、


「ウーニャー!」


 ウーニャーは何を考えてるかわからないけど、


「酒池肉林とはこのことでしょ?」


 フィリアは豊満な胸を強調するように腕を組んでクスリと笑った。


 ていうかこっちの世界にも『酒池肉林』って言葉はあるんだね。


 ちなみに女性は全員全裸。


 あまりに旅のお供が増えすぎて、しかも全員体格がバラバラなためフォトンの用意した水着では処理できないのである。


 で、


「やれやれ」


 フォトンとフォトンに体つきが似ているツナデが水着を用いるかといえば、


「「他の連中が裸なのに水着なんか着たら不利じゃないですか」」


 といって裸一貫を貫いた。


 無頼だね。


 傾奇だね。


 はた迷惑この上ないんだけどさ。


 ちなみに僕は水着を用いてる。


 他の連中はともかくウーニャーの眼を汚すことはないだろう。


「なぁにマサムネちゃん? 自分だけ水着を着ちゃって……。私が脱がせてあ・げ・る」


 わきわきと手を開閉させて近づいてくるフィリアに踵落としを決めた後、僕は人化したウーニャーのロリっ子ボディを石鹸で洗ってあげた。


「ウーニャー……くすぐったいよう……パパ……」


 ウーニャーは気持ちよさそうに「ケハハ」と笑う。


「「「「ずるい!」」」」


 とかしまし娘とフィリアが言う。


「しょうがないでしょ。フォトンにしろツナデにしろフィリアにしろ成長した体を持ってるんだから。胸……揉まれてもいいの?」


「「「構わない!」」」


「そう言っている内は僕が君たちに手を向けることはないよ」


「イナフは?」


「イナフはロリっ子ボディだから洗ってあげられるよ? 体……洗ってあげようか?」


「えへへぇ。じゃあお願い!」


「「「むぅ」」」


 とフォトンとツナデとフィリアが不満そうに頬を膨らませる。


 フィリアは巨乳でE以上だろうし、フォトンとツナデはCそこそこくらいあるだろう。


 つまり体を洗うとなれば必然そこも触らなければならないので却下。


 成熟した女性の体は魅力的だとは思うけどそれとこれとでは話が別だ。


 そして全員が体を洗って湯船に浸かる。


 最初に寄ってきたのはツナデ。


 僕の左腕に抱きついてムニュウと胸を押し付けてくる。


「お兄様、もう加当の家はありません。ツナデとお兄様は堂々と愛し合えるのですよ?」


「ツナデのことは大切に想ってるけど一線超えるのはもうちょっと待って」


 右腕に抱きついてきたのフィリア。


「マサムネちゃん……私の胸はご褒美だとは思わない?」


 巨乳を僕の右腕に押し付けて挑発してくる。


「触ってみたいけどまだ責任をとれる立場じゃないんでね。今は遠慮しておくよ」


「けれど私の体が一番魅力的でしょ? それともロリコンなの?」


 それは違う。


「お兄ちゃん。イナフの未成熟な体とかどう?」


「どうと言われてもこれからに期待としか……」


「ウーニャー。ウーニャーは?」


「零歳児に手を出すほど落ちぶれちゃいないよ」


 合法ロリと違法ロリの誘惑を断ち切る僕。


「マサムネ様……私を抱いてください……」


 最後にフォトンが僕に抱きついてくる。


 ムニュウと僕の胸板にフォトンの胸が押し付けられる。


 六根清浄六根清浄。


「青い果実だろうと熟した果実だろうと魅力的には違いないけど今の僕は責任をとれる立場じゃないんでね。誘惑は遠慮願いたいな」


「ではマサムネ様は」


「ではお兄様は」


「じゃあお兄ちゃんは」


「ウーニャー。パパは」


「マサムネちゃんは」


 誰も選ばないってことか、と言いたいんだろう。


「それで正解」


「でもお兄ちゃんはツナデお姉ちゃんを一番愛してるって言ったよね? ツナデお姉ちゃんでも駄目なの?」


 あー……そんなことも言ったっけ。


「やん。お兄様ったら。そんなにツナデのことを……!」


「今後の別の女の子次第ではどうなるかわからないけどね」


 ドラゴンの姿に戻ったウーニャーが僕の頭の上に乗る。


 そしてペシペシと僕の後頭部を尻尾で叩く。


「パパはウーニャーの竜騎士なのにウーニャーよりツナデをとるの?」


「それなら私だってマサムネ様のバーサスの魔術師です。ひけはとりません!」


 騎士として動いたことなんて滅多にないけどね。


「マサムネちゃん、私のものになるなら幾らでもこの巨乳を好きにしていいんだよ?」


「お兄ちゃん! イナフの体も好きにしていいんだよ?」


 僕はこめかみを押さえて言う。


「えーと……これは言ってなかったと思うけど……」


「「「「「ふんふん」」」」」


「僕は慎ましやかで謙虚な女性が好きなの。体で誘惑しようとする売女に興味は無いよ」


「「「「「ふむ……」」」」」


 気難しそうに納得する一同。


 そして微妙な空気の中で僕は湯船に浸かり続けるのだった。


 なにこの空気?


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