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桜の国13

 それは簡単な話だった。


 要するにこの村は若い娘を山賊の人質に取られて、一定期間ごとに貢物をせねばならないらしい。


 それも村の生産性では追いつかないほどの貢物を要求されるので村に寄る商人のブツを奪うことでなんとか成り立っているとか。


 僕は煙を楽しむと、


「なるほどね~」


 無気力に納得した。


「お兄ちゃん……」


 と包丁で僕に襲い掛かってきた幼女が言う。


「お願い。殺されて」


 無茶言うな。


「要するに税制度のようなものだね。御上には逆らえないと」


「そういうことだ」


 村人の一人が頷く。


「なら取りうる手段は三つしかないね」


「手段?」


「そ。従順するか。話し合うか。革命を起こすか。そんなところじゃない?」


「従順するしかあるまい……! 逆らえば殺されるのだぞ……!」


「じゃあ僕が代わりに革命を起こしてあげるよ」


「「「「「……へ?」」」」」


 村人たちはポカンとしてそう呆けた。


 僕はオーラを全開まで……半径十キロメートルまで広げる。


 当然山賊が村に搾取をはたらくのなら村の近くにいないとおかしい。


 その推論は当たりだった。


 永久桜の樹々の先……村からも見える小高い山の、その洞穴に山賊たちはいた。


 何をしているかは描写したくない。


 山賊が若い女を人質にしているという時点で反吐が出るのはわかっていたことだ。


「僕が山賊を穏便に誅戮するよ。それなら僕たちを襲う理由も無くなるでしょ?」


「出来るのですか? 山賊の場所すらわからないのに……」


「まぁ何とかなるんじゃない?」


 オーラについて詳しく語ってもしょうがないから僕はお茶を濁した。


「もし朝までに僕が人質になっている若い子を解放して村に現れなかったら、その時こそ商品を襲えばいいでしょ?」


「「「「「むう……」」」」」


 と村人たちが唸る。


「もちろん村との関係性は秘密だ。それなら君たちにもリスクは無いでしょう? 当然朝になれば君たちは僕との約束を反故にしていい」


「何とか出来るのか?」


「僕の強さはさっき見せたはずだよ?」


 反論は出なかった。




    *




 そして僕は真夜中の永久桜の桜吹雪を浴びながらオーラで認識した二キロ先の山賊のアジトに来ていた。


 山の断崖から伸びる洞窟だ。


 オーラは半径二キロメートルまで広げている。


 それだけで僕は全ての情報を得ることが出来るのだった。


 永久桜の合間を縫うように僕は山賊のアジトへと近づく。


 返礼は矢として飛んできた。


 アジトの入り口を固めている山賊が放った矢だ。


 僕はそれをクナイで弾く。


 正味な話、音速を超える射撃武器でないと僕の不意はつけない。


 そして僕は神速で間合いを踏み潰すと両手に持ったクナイでアジトの入り口を固めている山賊二人を切り裂いた。


「「ギ……ガァ!」」


 と呻く山賊二人。


 その悲鳴につられて、糖分を求めて這い寄る蟻のようにアジトから山賊御一行が現れる。


 計十三名。


 一人を残してほぼ全員が現れた形になる。


 どいつもこいつも風呂も水浴びもしてないのだろう。


 男特有の異臭が鼻についた。


 とまれ、

「コテンコテンにするんでよろしく」


 そう言って僕はクナイを構えて山賊たちに襲い掛かった。


 中略。


 アジトの奥深くにいる一人を残して表に出た山賊を屈服させる僕だった。


「さて……」


 と呟きながら煙をプカプカ。


 そして山賊のアジトの奥深くへと進む僕。


 そこにはオーラ通りの男がいた。


 村の若い女子に暴行を振るう山賊だ。


 山賊にしては煌びやかな服装をしているから親分なのだろう。


 親分さんは僕の登場に大層驚いていらっしゃった。


「なんだ……お前は……!」


「マサムネってものだよ。それにしても……」


 汚い場所だなぁ……とは言わなかった。


 性特有の匂いが鼻につく。


 当然女子に暴行をくわえている親分さんにもそれは言えることだった。


「しもべたちはどうした!」


「全員無力化したよ」


「貴様一人でか!」


「まぁそうだね……。ついでに……」


 僕は神速で山賊の親分に間合いを詰める。


「君も一緒に……ね?」


 そう言って親分さんをクナイで切る。


 こうして山賊の一味を無力化するのだった。


 その後……全裸で怯える村の女子たちに「僕は救いだ」と説得するのは多少時間がかかったけども。


 そうして僕と女子たちは村に凱旋するのだった。


 日が昇る寸前に僕と人質だった村の女子たちは村に帰る。


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