第七話
予想外の1日連続投稿をやってみる(笑)
彼女の名はソフィー・ガ・グラビリアン、グラビリアン王国第二王女であり女性のみで纏められたペガサスを愛馬とする天馬騎士団の騎士団長である
そして同時に冒険者ギルドのランクSに属し個人と共に指揮官としての能力も非常に高く優秀な18歳である
余談ではあるがグラビリアン王国には王子一人、王女二人が存在する
上から順に
第一王子ボルク・ガ・グラビリアン25歳、王国筆頭騎士団総帥
第一王女、レフィーヌ・ガ・グラビリアン20歳、王国筆頭魔術帥団総帥
第二王女、ソフィー・ガ・グラビリアン18歳、王国天馬騎士団騎士団長
と三名の王族が居るが仲は非常に良好で骨肉の争いなどお断り状態と言うことらしい
閑話休題
話を元に戻そう、件の第二王女様がわざわざ来たのは一体何故か、と言う疑問が普通に浮かぶだろうがその答えはこの通りあっさり解決した
「セイヤ様、貴方のお力をお貸ししていただく事は出来ませんか?」
非常に丁寧にそして可愛らしく問い掛ける姿に周りの冒険者達は顔を赤くしているがセイヤからすれば逆らえない相手が増えたとげんなりしているのだから
「…テイラーギルド長………帰ってきたら三日は休ませてもらいますよ……ソフィー王女、俺の微々たる力で良ければお貸し致しましょう」
「よーし、レイラ!!アンタも行きな!!コイツがやり過ぎないようにしっかり監視するんだ」
「えぇぇぇぇ!?ぼ、僕戦闘力低いんですよギルド長!?」
「だったら守ってもらいな!!ほれほれ用意しな、出発は直ぐだよ!!」
「はわぁぁぁぁぁぁ!?」
なんと言う無茶苦茶な、等と考えつつ取り敢えずはレイラを守りながらの戦闘になると思案顔になるも仕方ないと頭を振り諦めたように頷いたのだった
がその時ギルドに一人の若い騎士が飛び込んできたのだった
「異議がある!!どこの馬の骨とも判らぬ下践な輩に第二王女様を任せるわけにはいかぬ!!、第二王女様、再考を求めます!!」
その声と顔を見た瞬間第二王女の眉間に一瞬皺が寄せられるも直ぐに穏和な笑みを浮かべて一言発したのだ
「お断り致します、ゲイル・ボルガ殿」
ゲイル・ボルガ20歳、ボルガ公爵家長男でソフィー・ガ・グラビリアン第二王女の婚約者候補の一人ではあるものの性格は傲慢、我が儘、自己陶酔、と散々な程に性格破綻した人物である
見た目は金髪青目、目鼻立ちの整ったイケメンではある
気に入らない人物は庶民ならばその場で殴り倒し貴族ならば父親の権力を使い脅迫し圧力をかけて財産を絞り尽くしてから拷問にかけたりしていると暗い噂の耐えない人物であり市民からも貴族からも嫌われている
ただし何一つ証拠を残さないため王家も罰する事が出来ないのが実情でありそんな人物に好感を持つはずもなくむしろソフィー第二王女は毛嫌いしているらしい
「このゲイルめにかかれば迷宮の一つや二つ容易く落として見せましょう!!ですからそんな下践な輩にいつまでも構っておらずこのゲイルと共に参りましょうソフィー王女!!」
「お断り致します、そもそもこれは父上の勅命です……いくら公爵家の長子と言えど父上の勅命を蔑ろにすれば罰せられますよ?」
「馬鹿な……国王陛下が……ぐっ……覚えていろ平民風情が…!!」
悔しそうに唇を噛み締め憎悪の眼差しでセイヤを睨み付けてから勢いよくギルドを飛び出していったのだった
そんな微妙な空気の中、セイヤ自身は状況に付いていけず呆然としており頭を左右に振って意識を戻してから溜め息を吐き
「……ご迷惑をお掛けしました、ではお話を戻して今より出発いたしましょう」
「畏まりましたソフィー王女殿下」
「はい!!」
「セイヤ様、レイラさん、私の事はソフィーとお呼びください、それと敬語も必要ありませんよ」
「…今この場でその呼び方は不敬罪に当たるのではありませんか?」
「私が許可致します、問題はございません」
穏和な笑みを浮かべてはいるが譲る気は無いと意思の強い瞳でセイヤを見つめるとセイヤは仕方無いとばかりに諦めて頷き
「判った、ソフィー、レイラ……宜しく頼む………それではテイラーギルド長、行って参ります」
「頼んだよ、アンタが頼りなんだからね」
「………その言葉…撤回させませんよ」
そのままソフィーを先頭にギルドを出ていくと既に用意されていたのか四頭の馬が繋がれた高速馬車がギルド前につけられており、三人は躊躇うこと無く馬車へと乗り込み一路騎士団と冒険者達が食い止める災害迷宮へと向かうこととなったのだった
此処で迷宮の種類について説明しよう
迷宮には幾つか種類が存在し有名なのが前に語った世界最古の迷宮、これは恒久型迷宮となる
恒久型と言うのはいつ誰がどの様に作ったのか不明であり魔物や魔獣が迷宮の外に溢れることが無いものの最下層までかなり深いとされる迷宮が当て嵌められ最短でも50階層はあるそうだ
この世界各地の迷宮の三割を占めるのがこのタイプである
しかしこのタイプの迷宮の謎が50階層を越えると洞窟的な感じが無くなり空があり太陽照りつける砂漠や海、大森林、大平原に大雪原に湿地帯等が存在し降りた階層によって出てくる魔物や魔獣がまるで変わると言うのが特徴だそうだ
次に災害迷宮、読んで字の如くだがこの災害迷宮は自然発生型でどこに現れるか不明な上膨大な数のの魔獣と魔物を内包し出現と同時に迷宮内部の魔物や魔獣を迷宮の外へと放出するまさに自然災害に等しい迷宮である
この災害迷宮を消滅させる方法は迷宮の最下層にあるダンジョンコアの破壊のみであり破壊すると産み出される魔獣や魔物が徐々に消滅し最後には迷宮自体も消滅するのだ
次が自然発生型迷宮、災害迷宮との違いは魔獣や魔物が迷宮に外に出てこず大抵が浅い階層で構築されており最大で30階層だ
魔獣や魔物も比較的狩りやすいものが多くダンジョンコアを破壊すれば消滅するが初心者の訓練に役立つと言う理由で大半がギルドが監視し定期的にギルドの人間が間引きついでに各確認しているそうだ
このタイプの迷宮が一番多くこの世界の迷宮の約五割を占めているとまで言われている
最後が作成型迷宮、この迷宮はかなり特殊で作成者が古代種の龍が暇潰しに作り上げる迷宮なのだ
この迷宮は自然発生型とは違い階層が増えることもなければ消えることもなく希少な薬草や鉱物等が手に入る確率が高いのだがそれに比例してか迷宮内部には討伐平均ランクA以上が平然と存在し最下層には討伐ランクZクラスとまで言われり古代種の龍が眠っているとまで言われているのだが誰も到達せず見たことも無いために推測でと言うことだそうだ
それと全ての迷宮に共通するのが数年に一度内部構造が変わると言うことだ、これは予測が付かず気が付いたら内部構造が変わっているためどういう状態なのか何故変わるのかはまるで判らないと言うのが世界の共通認識である
閑話休題
そうしてソフィーとレイラに迷宮の話を聞かせて貰い有意義な時間を過ごしつつも二人のステータスを見せてもらった
ステータスの確認の方法はギルドカードの裏に本人の許可があれば他の人間にも見えるようになっているとレイラから教えてもらったのだ
Name:ソフィー・ガ・グラビリアン
level:78
HP:24956
MP:10840
STR:1875
DEF:1462
TEK:1746
INT:1493
SPD:1961
Name:レイラ・フォン・アルシア
level:54
HP:10657
MP:6218
STR:246
DEF:109
TEK:1345
INT:1675
SPD:2130
クラン鉄壁砦よりも強いステータスな事に驚かされたがソフィーがここまで強いのは精霊の加護があるゆえだそうだ
凄いことに四大精霊と称された火、水、風、土の精霊からの加護があるためにステータスがかなり高いそうだ
レイラの方は少し話したくなさそうにしていた為無理に聞くこともないと考えたのだがレイラ自身が覚悟を決めたように話し始めたので聞いておくことにした……悩んでる姿が可愛いと感じたのは俺だけではないはずだと言い訳しておく
「…これから話すことは他言無用に願います……僕は猫人族の巫女の家系に産まれたからこのステータスなんです」
「……巫女の家系…?」
「聞いたことがありませんわ…」
「秘匿されてきた事ですから……巫女の一族は代々その土地の精霊と共に生き精霊と共に死んでいく……それ故に獣人族にしては非力でありながら魔法を使った戦い方が出来るのです……そして遥か昔には巫女の家系の獣人族は人間に目を付けられたこともあるんです」
「……もしやその見た目か?」
「はい、獣人族の巫女の家系は容姿が非常に視目麗しく女性なら絶世の美女に、男性でも可愛らしい少女や美女になるのです……僕は姉が居たので里から出れましたが本来はまず里から出ることを許されません……里を守り精霊と対話し精霊と共にあるのが巫女の役目なのです……これはエルフの方々の役目に近い部分がありますが巫女の家系のみと言う部分では獣人族でも希少種になります」
「それでレイラはこんなに可愛いのか……」
「ひょぇ////……ぁぅ……////」
「あらあらあら……これは確かに可愛らしいですわね…」
取り敢えずレイラの頭を撫でたセイヤに対し嬉しい反面恥ずかしいレイラが真っ赤になったりとしたが、そこからは顔を真っ赤にしたレイラをソフィーと二人で代わる代わる頭を撫でて可愛がって時間を潰していき大体二時間程経過した辺りで高速馬車が停止したのだった
「着いたか……降りよう」
「「はい!!」」
高速馬車から降り、辺りを見回すと騎士団が構えているであろう天幕が見えそこでは慌ただしく冒険者や騎士が入れ替わり立ち替わり出入りしているのが見える
その中から汚れてはいるが使い込まれた西洋式甲冑に身を包み短い金の髪にソフィーによく似た青い瞳、そして爽やかな整った顔に似合わない程の鍛え上げた肉体と偉丈夫と思われる程の威圧感を放つ青年が近付いてくる
「ソフィー……何故ここに?」
「お兄様、今の私は一冒険者として此処に馳せ参じたのです」
「そうか……そちらが噂のか……初めまして、俺はボルク・ガ・グラビリアン……一応第一王子をやっている」
「初めまして、この度ソフィー様の共をすることになりましたセイヤ・サカジマです」
爽やかな笑顔を浮かべたボルク王子と手を握って握手しレイラも同じように挨拶を交わす
「中々の修練を積んでいるね……それに礼儀もわきまえている……素晴らしい人材だ」
「ありがとうございますお兄様」
「それとソフィー……君が名前を呼ばせるなんて珍しいじゃないか」
「お、お兄様!?今はそんな話をする時では……」
「ふふっ……そうだね……では簡単にだけど現状を説明しよう、良いかね?」
一瞬にして笑みを消し真剣な顔付きになった王子から災害迷宮の恐ろしい内容を聞くこととなったのであった
大量の伏線、回収できるか不安ですが頑張ります!!