第五話
やりたいように書いた、後悔はしていない
あの荒くれ冒険者を気絶させた翌日、俺は宿屋で朝食を食い朝早く、多分現代で言うなら七時頃だ
今まで伝えてなかったが王都では朝、昼、晩に鐘がなるんだよ
それで大体判るんだが王都に到着した時は凄まじく辛かった……
なんせ現代じゃ仕事以外の日は昼まで寝てたが王都に来てあのリンゴン喧しい鐘に毎朝毎朝起こされて低血圧な俺の不機嫌具合と目付きの悪さから宿屋の娘さんに怯えられてたからな
洞穴の主人亭と言う宿屋にはガチムチマッチョなスキンヘッドの何処のヤーさんかと思えるほどな凶悪な面構えをしている宿屋の亭主と水色の髪を腰まで伸ばした美貌の奥さん、それに水色の髪をツインテールに結わえた可愛らしい美少女が笑顔を振り撒きながらウェイトレスをする宿屋だ
料理の味はかなり美味い上に値段は控え目、銅貨5枚で1泊2食付きと他の宿屋より安い
ただし娘に手を出したら亭主である親父に殴り飛ばされて追い出されると言う宿屋としてそれはどうなのかと思うことをするが中々人気の宿屋である
俺はちまちま銅貨を稼いでいるから一ヶ月以上部屋を抑える事が出来ている
話が反れたな
朝食を食い終わった俺はギルドへと出向く事にした
良い加減討伐系を受けなきゃあのモーモーの角を買い取ってもらえないからな
「よぉレイラ、常時依頼とか無いか?」
「あ、おはようございますセイヤさん、ありますよ?」
受付に到着しいつも通りレイラに話し掛けるが周囲の視線が凄まじく刺さる
「討伐系にしてくれ、良い加減狩りをしなきゃ体の動きが鈍るからな」
「あ、はい……でしたらこのゴブリン、コボルド、オークは基本的に常時依頼となります、オークは単独であるならばEかDが適正ランクになりますね、後依頼を受けずに討伐されても買い取りは可能です、頑張ってくださいね?」
「あいよ、んじゃちっと行ってくらぁ」
「いってらっしゃいませ!!」
レイラに笑顔で見送られて俺は王都の北門へと急ぐ事にした
王都の南は険しい谷や荒野があり尚且つ凶暴な魔物や魔獣が跋扈していて生半可な実力の冒険者や軍隊ではまず壊滅的被害を被る為自然の要塞と化している
王都と帝国を結ぶのは王都の東側、草原を抜けた先にある王領直轄地最大の港街を通じての貿易しか出来ない為戦争が起きることはまずない
戦争を起こしていては魔獣や魔物が増殖し一気に国元に牙を向かれるためだ
王都の北側には幾つもの森と山を越えた先に神皇国があるが此処にある山にはワイバーンや竜種が住み着いており迂闊に山を越えるなど出来ないのだ
王都の北門から出て北に向かうと見えてくる森には低レベルのゴブリンやコボルドが多数生息しており山側に近付けばオークの巣が幾つもあると言うことらしい
と言っても山まで行ったとしても徒歩では一週間は掛かる程の距離だ
そしてこの森の側には何故か洞窟がある
この洞窟は各国に無数に存在しており、どうやら自然発生するそうだ
要はダンジョンだ、世界最古のダンジョンがあるのは王都から西に向かいバミューダ交易都市の衛星都市とも呼ばれる都市の中心部に座している
冒険者の街とも鍛練の街とも呼ばれており世界最古のダンジョンが有るためかかなり賑わっているとの事
現在のこの世界最古のダンジョンの到達階層は地下152階、到達者はZランク冒険者数名による臨時クランを組んでの到達だそうだが出てくる魔物や魔獣は尋常な強さではなく悔しくも撤退を余儀なくされたそうだ
10階毎にボス部屋が存在しておりそのボスを倒さなければ先には進めないが倒した先には休憩室らしき場所が存在しそこから転移で地上に戻ってこれて再度行く際も続きの階から出来るそうだ
ちなみにダンジョンは一度最下層まで到達するとそれ以上成長はせずに数年立つと自動消滅しまた別の場所に自然発生するらしいのだが原理の解明は出来て居ないらしく各国の魔術ギルドが全く手も足も出ない不可思議なものらしいのだ
もっとも……神皇国はダンジョンの発生は魔王の仕業だと言い張っているそうだ……なんとも必死な事だ
まぁそれはそうと二時間も歩けば広大な森の入り口へと到着した俺だが今日の武器は片手剣のミスリルソード、防具は着けていない
理由は単純、俺の気配探知に幾つか冒険者らしき気配を探知した上俺を追跡しているみたいだからだ、ド派手にやっても構わんが…
今は体の感覚を取り戻すためにゴブリンやコボルドに犠牲になってもらうだけだし本気を出せば冒険者共も撒けるからなんの問題も無い
それから約五時間……ひたすらにゴブリンとコボルドをフルンディング(ミスリルソード)で見敵必殺状態で殺し続けつつ討伐証明部位を剥いでは群れを探して殲滅を繰り返していたのだがゴブリンとコボルドが弱すぎる
ゲギャゲギャ言ってる間に魔力をフルンディングに流し込んで横振りするだけで飛ぶ斬撃がゴブリンやコボルドの群れの首を頸ね飛ばしていく為一種の作業ゲーになりつつあるのだ
「………何かがおかしい……なんだ……?…」
俺はフルンディングを鞘に納めつつ地面を軽く蹴って太めの木の枝まで舞い上がり隠遁を使い気配を森に溶け込ませ自分の気配を希薄にして木の枝を伝うように空中を飛び何かから逃げるようなゴブリンを見下ろしつつ俺は気配探知を使い周囲の索敵を行った、そして見付けてしまったのだ……
「なんだ……この…………言い表せない不快感は……?」
言い表せない不快感を感じ気配探知で見付けた奴の方向に向かい俺は木の上で停止しソイツを鑑定してみた
白い兜に白い鎧、白い籠手と白だらけの気色悪い奴の正体がこれだ
name:コタロウ・ウエスギ
性別:♂
種族:人間・勇者・異世界人
レベル:69
HP:53758
MP:25467
STR:3162
VIT:2980
TEK:253
SPD:4913
INT:2564
スキル:身体強化Lv8
剣技Lv4 魔物キラーLv7 魔獣キラーLv8 狂化
おいおい狂ってんじゃねぇか…
しかし流石は異世界召喚魔法と言えるか……こっちの人間とのステータスの差が半端じゃない…
まぁ丁度良いさね、護衛ならぬ監視役の神官や騎士団の一部も居ることだ……
俺本来の仕事をさせてもらおう
ゴブリンやコボルドじゃレベルが1つも上がらないんでな……
ちなみにだが人数は勇者1人、神官10人、騎士30と団体さんだ
元々俺は差別主義者が大嫌いな上に奴等の言う神を信じちゃいない、故に躊躇いも容赦も戸惑いも無い……ただ冷徹に管理者から頼まれた仕事をこなしそのついでに幾つかの驚異を排除するだけだ
それから俺は奇襲を仕掛けるために風の精霊達に少しだけ力を貸してもらい奴等を逃がさないように周囲を塞ぐように風の結界を張ってもらった
風の精霊が作り出す風の結界はドーム状に展開され近付くと結界内に突風で押し戻してくれる怪我を負わないタイプの精霊魔法の一つだな
普通精霊魔法を使う人間は精霊を使役するが俺は使役していない
エルフ達と同じ様に精霊に少しだけ力を借り、代価は魔力を払う
俺の魔力は精霊に取ってかなり密度が濃くて美味しいらしい、牛乳みたいなもんか?
まぁそれで逃げ場を無くさせた上アイテムボックスからコンヴィクト(ハルバード)を引き抜き右手にフルンディング、左手にコンヴィクトと言う異色の二刀流?の姿で奴等の前に姿を現し有無を言わさずに俺は斬りかかる
まず右足に魔力を込め震脚の要領で地面を踏み込み土の精霊に胸中で願いを伝え震脚の勢いのまま地面を揺らしてもらい、俺はそのまま右足に力を込めて騎士団に一気に肉薄しコンヴィクトを大上段から振り降ろし大盾を構えて反射的に防ごうとした騎士の盾、兜、鎧ごと真っ二つに押し切りつつもその勢いを利用して空中で前宙しフルンディングに魔力を込めて真横に振るい飛ぶ斬撃を放ち呆然としたまま一ヶ所に固まっている五人の神官共の首を撥ね飛ばす
そこでやっと襲撃に気付いた神官の残り五人が通常魔法に区分される対物防御を張り始めるが無駄に詠唱が長い上に騎士共もいきなりの奇襲に驚いたのか反応がやたらと鈍い
これぞ好機とばかりに俺は躊躇い無く古代語術式魔法を口にする
「高速詠唱……エクスプロージョン…!!!!」
高速詠唱スキルを用いて詠唱を短縮しほぼ詠唱破棄に近い状態にした上で大規模爆炎魔法を口にすると体内の魔力が約一万程持っていかれるが気にせずにバックステップで飛び退くと同時に騎士共と神官共の丁度中間部分で真っ赤に燃える炎が閃光となり大爆発を起こして一気に全滅させることに成功した
手加減もしていない上奇襲を行った結果だから全滅させることに成功したが真っ正面からなら時間が掛かることだろう
「お前ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「今頃気付いたか勇者……その素っ首………俺が頂く……!!!!」
この世界の中ではトップクラスであろう圧倒的速度で俺に肉薄するが動きは素人そのものだ
故に大上段で振りかぶった白い剣をかわすのに俺は半歩下がり体を少しずらすだけでかわしきり剣を無様にも空振りしよろめいた勇者を見下ろしつつコンヴィクトを右手に持ち直しフルンディングをアイテムボックスに放り込む
そして俺はコンヴィクトを地面に突き刺しボクシングの構えを取り左足に力を込め地を蹴り勇者の懐に飛び込み上半身を前に倒し右足に力を込めて踏ん張りながら勇者からして右の腹部、リバーブローと言われる部分に俺の左拳を捩じ込んで一気に飛び退き残心し勇者を見る
今まで攻撃を受けたことが無いであろう勇者の悶絶具合は酷いもので地面に踞り腹を抑え吐瀉物をぶちまけながら荒い呼吸を必死に整え様としている
「………済まんな勇者……貴様に恨みは無い上俺と同類なのだろうが……この世界に来たことを後悔して俺を恨むが良い………次は平和な世界に生きろ」
ゆっくりと近付きながら話し掛ける俺に震えながら絶望の眼差しを向ける勇者にコンヴィクトを振り上げて一気に首を落とす
「……許せとは言わん…恨みたいなら俺だけを恨め………」
目の前で光に包まれて消えていく勇者の体を見下ろして1人呟く
後悔も苦もなく俺は人を殺した……管理者から依頼されたと言うだけでだ
元から俺は自分の驚異となる奴には容赦も躊躇いも無く排除する人間だ……
神官や騎士の遺体は肉片と化している、よって魔物や魔獣の餌となるが勇者の体だけは違うのだ
俺が殺すことにより管理者の元に魂と体が向かい元の世界に記憶を消した後で帰される事になっている
そりゃ死んだ記憶を持ったまま元の生活は出来ないだろうしな
まぁ良い、気にするだけ時間の無駄だと考えた俺は直ぐ様風の精霊達に感謝を伝え俺は一気に森の入り口へと転移で帰ったのだった
取り敢えず森の入り口へと時空魔法の転移で帰ってきた俺はステータスを見て呆然となる他なかった、チートを超えてもはや反則である
以下ステータス
name:セイヤ・サカジマ
性別:♂
種族:人間・異世界人
レベル:50→81
HP:10320→20840
MP:580000→999999
STR:5400→8325
VIT:5400→7254
TEK:5400→9856
SPD:5400→10350
INT:5400→7682
魔法:通常魔法Lv4
精霊魔法Lv3→Lv10
時空魔法Lv8→Lv9
古代語術式魔法Lv10
スキル
身体強化Lv10
気配探知Lv10
隠密Lv10
隠遁Lv10
高速詠唱Lv10
詠唱破棄Lv10
鑑定Lv10
テイミングLv10
剣技Lv10
格闘技Lv10
鍛冶Lv5
アイテムボックスLv10
弓術Lv8
槍術Lv5
斧格闘Lv7→Lv8
魔力低燃費Lv10
心眼Lv10
覇王の威圧Lv10(威圧が進化)
並列思考
完全記憶能力
成長速度促進
成長限界突破
New調薬Lv5
New魔眼Lv5
なんか色々成長してるがなにより威圧が進化した上、魔眼って…
取り敢えず見てみよう
魔眼Lv5
片眼に六亡星〈ヘキサグラム〉を出現させて魔力の流れを読む事が可能になる
レベル次第ではあるもののレベル10になると敵が放つ古代語術式魔法すら解析しその魔法を構成する魔力を霧散させる事も可能
そして魔力の流れを読む事が可能なため気配探知にかからない敵の発見も可能となる
なんと言うチート……まぁ使いどころ難しいがソロだから良いか……魔力有り余るほどあるし………問題はない筈だと思っておこうか……
主人公に更なるチート付与、次話で勇者があっさり倒された理由が判ります………いつ投稿するかは不明ですが