表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瑞巫女  作者: 華鈴
2/3

始まりはトレッキング

瑞巫女(たまみこ)と読みます。他に、登場人物や用語集などページが増えたら作ろうか迷い中です。

 私―。望月朔夜は先程見た人影を見失わない様に必死に走っていた。


 何故こんなことになったかというと迷子いや、山の中だから遭難かな?


 なら何故遭難したかというと時は数刻前に遡る…。






「はぁ…。もう無理、休もうよ」


 目の前には色々な緑に、鳥や虫の鳴き声。天気も青空が広がっている。


 山歩きをするには最高の日だとは思う。これでギラギラと太陽の日差しが照りつけてなければ、という条件付きでだが。時折吹く風も何だか生ぬるくて涼しくない。


「賛成、てかまぢ暑いね。トレッキングとか組み込んだ奴誰だよ。せっかくの修学旅行なのにさ」


 ちょっと前を歩いていた茜ちゃんが近くにあった岩に腰掛けながら同調してくれた。よっぽど暑いのかすぐに鞄からペットボトルを取り出して飲みだした。


「バスの集合時間には、余裕あるし休もうか。でも、畑仕事の手伝いとか、稲刈りの他のクラスよりはマシじゃない?まだ山の方が涼しいと思うよ。制服でなのは、無理があると思うけど」


更に、前を歩いていた百合ちゃんが腕時計を確認しながら戻って来て、茜ちゃんの座ってる隣の岩に腰掛けながら言った。


 確かに、他のクラスは今頃稲刈りの手伝いと畑仕事の手伝いしてるんだよね。それに比べれば山に登ってお昼食べて降りるだけのA組は恵まれいるのかも知れない。じゃんけんに勝った委員長に感謝しないとね。


「修学旅行なんだから、私服が良かったよね。この為にスニーカー持って行かないと駄目だったし、帽子合わないし」


 私も茜ちゃんが開けてくれたスペースに腰掛けて、水筒の中身をコップに注ぎながら言う。帽子は禁止では無いが、制服に合わないので持って来た生徒は男子数人だけだった。


そう、今日は私の通っている月峰高校1年生の2泊3日の修学旅行第1日目なのだ。1日目はクラスによって予定が違ってA組はトレッキング。B組は稲刈り、C組は畑仕事の手伝いとそれぞれ決まったおり、終わったらホテルに宿泊。次の日からは、観光となっている。そして、今は山を下る途中って訳。


 お茶を飲み終わったので、水筒を鞄にしまい。代わりにドロップの缶を取ろうとしていると、そばの茂みからガサガサと音がしたので顔をそちらに向けた。


すると、茂みから白い毛並みの狐がひょこっと顔を出した。


「可愛い~。茜ちゃん、百合ちゃん見て見て狐だよ。可愛い。」


このこと、2人に知らせようとやや興奮しながら振り返ると…。


「あれ?2人ともどこに行ったの?」


そこには、誰も居らずただ風の音は虚しくするだけだった。





「え?何、何で?」


パニックになりながら、辺りを見回したが誰も居ない。狐も居なくなって居たが今はそれどころではない。茜ちゃんも百合ちゃんもどこかに隠れて、脅かしたり先に行ってしまうようは人間では無かったが、何故か居ないのだ。


頭が真っ白になるが、必死に考えて後にまだ同じクラスの生徒や先生達が来る筈だと思い至った。特に先生達は残って居ない生徒が居ないか確認しながらゆっくり降りて来る筈だ。


 だから、取り合えずこの岩に座って待ってれば誰か来る筈だ。そして、バスまで行って茜ちゃんと百合ちゃんが居ないか確認すればいい。だから、待って居たのだが…。


「何で誰も来ないの?」


あれから、30分待っても待てっもクラスの人達どころか他の山歩きに来た人も通りかからない。バスの集合時間は後10分だし、今から急いでも間に合わないのにおかしい。


それに、他にも山歩きに来てるお年寄りや同じ修学旅行生や、遠足に来てる小学校さえ来ない。


この訳がわからずただ1人という状態を知り本格的に、頭が真っ白になって涙が自然に溢れ出した。


「どうして?誰も居ない…の?」


しばらく、岩に座りながら止まらない涙を拭った。




しかし、何時までも泣いて居ても仕方がない。ここは山とはいえ道は続いているし、降りれば広い駐車場に繋がっていた筈なのだ。


 そこには売店もあったし、携帯の電波も入っていたのでそこからしおりにあった緊急連絡先に電話をかければ何とかしてくれる筈。


 電波が入らなくても売店に人は居るだろうし、固定電話もあると思うし頼んだら貸してくれるだろう。


「よし、頑張ろう」


こうして気合いを入れて歩き出したはいいのだが、しばらくすると道はなくなり草木を掻き分けて進むしか無くなった。


 来た時はそんなことは無かったので、戻ろうと思ったのだが気付いた時には戻るにもわからなくなってしまったのだった。


そして、冒頭のシーンになったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ