合流したけど……あれ?
えっと、あれ?
空気が変わった?
なんていうか、寒さが若干、緩んだというか、なんというか。
「あ、この部屋に女の子の幽霊がいたの」
「女の子?」
「怖いから、それ以上、言わないで」
「了解」
変な気配を感じたので、さくっと、その部屋の前を通り過ぎました。
またくすくす笑い声が聞こえたような気がするけど、気のせいです。ええ。
階段を上り、奥へと進みます。
「こ、ここに、兵隊の幽霊が……」
「いないみたいだね」
ラナ君の言うとおり、いたはずの幽霊はいなかった。
いや、妙な気配というかそういうのは、感じる。
けど、なぜかそれ以上のことは……なかった。
更に階段を上って。
ぴちゃんっ!
「ひうっ!」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫、ちょっと思い出しただけ……」
背中に入ったときの感触を思い出しちゃった。
あっと、気をつけなきゃ。確かこの先の廊下を踏み抜いて……あれ?
「どうかした?」
「あれ? 私、この辺の廊下を踏み抜いたのに……あれ?」
穴が、ない。
しかも壊れる見た目じゃないし。
「きっと別の場所で踏み抜いたんじゃないかな? 先へいこ?」
「う、うん」
なんだか、気のせいかな? ラナ君と一緒だと、どんどん奥へと行ける。
怖さも半減というか、あんまり怖くないというか。
手を繋いでくれてるから、かな?
え? あれ? いつから手を繋いでたっけ?
「ここに入るときからずっとだけど?」
「そ、そうだったっけ?」
懐中電灯を持ってない手から、ラナ君の手のぬくもりが伝わる。
どきん。
な、なんだろ、このドキドキは……。
あ、もしかして、ユキやハルカもこんな気持ちだったから、ここへ入ろうなんて思ったのかな?
そうだよね、幽霊見たって、二人だったら怖いけど、怖くないというか、仲間がいるって思うだけで心強いというか……。
「サナ、あっちに光が見えるよ」
いつの間にか、私達は下りの階段を下りて、地下にいた。
その先に、明かりが漏れて見える。
うん、間違いない、あの光は。
「いこう、ラナ君っ!!」
「うん」
急いで走っていくと……そこに4人がいた。
けれど、なんだか様子が……変?
「あっちへ行けっ!! お前らなんかがここに来るべき場所じゃないっ!!」
トールが激しい剣幕で叫んで、カズ君を押し倒した。
「ちょ、ちょっと、トール?」
ハルカが困惑してる。ううん、ハルカだけじゃない、カズ君もユキもびっくりしてる。
「み、皆、どうかしたの?」
思い切って、声をかける。
「さ、サナっ!! あんたどこに行ってたの? 探したんだよ?」
「急に居なくなるから、心配したんだからね」
ユキとハルカがそういって、私の隣に居る彼を見た。
「……彼、まさか幽霊じゃ……」
「あ、彼は私を助けてくれた命の恩人なの!」
「浅樹ラナです。どうぞ、よろしく」
ラナ君はそういってにこっと微笑んだ。
うっ……可愛い。
いや、格好いい。
じゃないっ!!
「って、トールっ!!」
ラナ君に気を取られた間にトールは更に奥へと入っていってしまった。懐中電灯も持たないで。
「サナ、早く彼を追わないと」
「う、うんっ」
皆で急いでトールの後を追う。
そこは……洞窟になっていた。
「ひっ……」
それを見つけて、ハルカが声をあげる。
そう、白骨死体。しかも数年じゃなくて、何十年も経ってるような感じ。
「これって、モンペじゃないのか?」
カズ君が思い出したように口を開いた。
「うん、これ、モンペだよ」
がたがたと震えながら、ユキが言う。
「戦時中の人、みたいだね」
ラナ君が、そう言い当てた。ああ、そういえば……そんなことをトールから聞いたような気がする。
って、トールはどこ? 辺りを見渡すけれど、ここにはいない。
「まだ奥だよ、サナ」
「う、うん、分かった」
白骨死体に手を合わせて、私達は更に奥へと突き進んだ。
も、もうすぐ終われるか!?