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廃屋に潜む、闇の中  作者: 秋原かざや
第1部 本編
6/11

合流したけど……あれ?

 えっと、あれ?

 空気が変わった?

 なんていうか、寒さが若干、緩んだというか、なんというか。

「あ、この部屋に女の子の幽霊がいたの」

「女の子?」

「怖いから、それ以上、言わないで」

「了解」

 変な気配を感じたので、さくっと、その部屋の前を通り過ぎました。

 またくすくす笑い声が聞こえたような気がするけど、気のせいです。ええ。

 階段を上り、奥へと進みます。

「こ、ここに、兵隊の幽霊が……」

「いないみたいだね」

 ラナ君の言うとおり、いたはずの幽霊はいなかった。

 いや、妙な気配というかそういうのは、感じる。

 けど、なぜかそれ以上のことは……なかった。

 更に階段を上って。


 ぴちゃんっ!

「ひうっ!」

「大丈夫?」

「だ、大丈夫、ちょっと思い出しただけ……」

 背中に入ったときの感触を思い出しちゃった。

 あっと、気をつけなきゃ。確かこの先の廊下を踏み抜いて……あれ?

「どうかした?」

「あれ? 私、この辺の廊下を踏み抜いたのに……あれ?」

 穴が、ない。

 しかも壊れる見た目じゃないし。

「きっと別の場所で踏み抜いたんじゃないかな? 先へいこ?」

「う、うん」

 なんだか、気のせいかな? ラナ君と一緒だと、どんどん奥へと行ける。

 怖さも半減というか、あんまり怖くないというか。

 手を繋いでくれてるから、かな?

 え? あれ? いつから手を繋いでたっけ?

「ここに入るときからずっとだけど?」

「そ、そうだったっけ?」

 懐中電灯を持ってない手から、ラナ君の手のぬくもりが伝わる。


 どきん。

 な、なんだろ、このドキドキは……。

 あ、もしかして、ユキやハルカもこんな気持ちだったから、ここへ入ろうなんて思ったのかな?

 そうだよね、幽霊見たって、二人だったら怖いけど、怖くないというか、仲間がいるって思うだけで心強いというか……。

「サナ、あっちに光が見えるよ」

 いつの間にか、私達は下りの階段を下りて、地下にいた。

 その先に、明かりが漏れて見える。

 うん、間違いない、あの光は。

「いこう、ラナ君っ!!」

「うん」

 急いで走っていくと……そこに4人がいた。

 けれど、なんだか様子が……変?

「あっちへ行けっ!! お前らなんかがここに来るべき場所じゃないっ!!」

 トールが激しい剣幕で叫んで、カズ君を押し倒した。

「ちょ、ちょっと、トール?」

 ハルカが困惑してる。ううん、ハルカだけじゃない、カズ君もユキもびっくりしてる。

「み、皆、どうかしたの?」

 思い切って、声をかける。

「さ、サナっ!! あんたどこに行ってたの? 探したんだよ?」

「急に居なくなるから、心配したんだからね」

 ユキとハルカがそういって、私の隣に居る彼を見た。

「……彼、まさか幽霊じゃ……」

「あ、彼は私を助けてくれた命の恩人なの!」

「浅樹ラナです。どうぞ、よろしく」

 ラナ君はそういってにこっと微笑んだ。

 うっ……可愛い。

 いや、格好いい。

 じゃないっ!!

「って、トールっ!!」

 ラナ君に気を取られた間にトールは更に奥へと入っていってしまった。懐中電灯も持たないで。

「サナ、早く彼を追わないと」

「う、うんっ」

 皆で急いでトールの後を追う。

 そこは……洞窟になっていた。

「ひっ……」

 それを見つけて、ハルカが声をあげる。

 そう、白骨死体。しかも数年じゃなくて、何十年も経ってるような感じ。

「これって、モンペじゃないのか?」

 カズ君が思い出したように口を開いた。

「うん、これ、モンペだよ」

 がたがたと震えながら、ユキが言う。

「戦時中の人、みたいだね」

 ラナ君が、そう言い当てた。ああ、そういえば……そんなことをトールから聞いたような気がする。

 って、トールはどこ? 辺りを見渡すけれど、ここにはいない。

「まだ奥だよ、サナ」

「う、うん、分かった」

 白骨死体に手を合わせて、私達は更に奥へと突き進んだ。

も、もうすぐ終われるか!?

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