イキリナリ……そんなコト……
「じゃあさ、ここ日本じゃないとして、何処?」
もう答えのためなら百歩も千歩も譲るよ。
ただし、本当のことが得られるならだ。
「リザク。キミの言ってる“日本”では無いよ」
「…………だよね~」
期待した俺がバカだった。
取り敢えず此処がさっきのまでいた場所と
違うらしいって事だけはなんとなく分かる。
明らかに現代の日本じゃない。
といって昭和とかそういう感じでもなく
もっと昔の……いや、そもそも
奴がいうように本当に“日本”
じゃないのか?
その時、耳に偶然手がかかってハッとした。
―――こんな翻訳機もまだこの世に無くね?
いや。いーや、落ち着け俺。
コスプレ男に感化されてどうする。
そもそもコレが翻訳機かすら怪しい。
コイツ本当は話が分かるくせに
知らないフリしてるだけじゃねーの?
何が何だか分かんねー!!!
「くそっっ」
あーもー茶番に付き合ってられない。
何故飛ばされたのか考えたところで
どうせ答えなんか出るとも思えない。
グダグダ悩むだけ時間の無駄だ。
ただ、せめて何県の何処辺りが
分かれば自力で帰れる方法は幾らでもある上、
この目の前の変人とも
オサラバできるんだがな。
悲しいかな、その答えを引き出す方法は、
目下目の前のその人物からしか手立てが
無い……
あ!変人といえば、
「そうだ!!」
「……キミ、声大きい」
奴は耳を塞ぎ、嫌そうな顔で俺を諌めた。
あ。ゴメン、と今度は小さめに。
プラットホームで出会った
あの怪しい少年の事をこれ又、怪しい男に
知ってるかと聞いてみた。
「知らない」
それは、清々しいほどの即答。
「あまり変な事言わない方がいい」
お前に言われたかねぇよ。
つまり例のアレの事を
他人に聞くなって?
「ああ……気をつける」
わけねーだろ。
お前が知らないなら他の奴に聞くまでだ。
にしても、どういう訳だか目が覚めてこっち
コイツ以外、誰も見掛けないないのは何故だ?
「そういえば、さっき時々俺みたいな奴が来るって
言ってたけど、最近も誰か来たのか?」
「そんなこと言ったかな?」
聞き違いじゃない?と言わんばかりの
言い方で誤魔化された。
どうにもこうにも
やっぱコイツは信用出来ない。
「ね、それよりさキミ。
ここに来る時誰かと接した?
その時、誰かを思い出させられたとか無い?」
「はぁ?」
妙に気になる聞き方をするな。
そういえばあの白い男はやたら
名前を聞きたがっていたような
気もするけど、すぐ後の衝撃の所為で
どうにも上手く思い出せない。
「よく思えてないけど」
「いや良いんだ、気にしないでくれ」
「……気になるだろ、何か意味あるのか?」
んで、シカトかよ。
こっちの質問にはテキトーにしか
答えないんだな、この自己中め。
頼る相手はお前しかいないのに
使えねー
そういえばコイツの名前知らない。
俺も聞かれなかったし。
「なぁ、アンタ何て名前?俺は―――」
ガチャ。
「!!!!!!!!!!!」
いきなり喉元に剣先を突きつけられ
驚いて尻もちをついてしまった。
「なっ、何する……んだ?」
声が引き攣る。
1メートルを有に超えてる刀。
コスプレ用の模造刀だと分かっていても
明らかに銃刀法違反プンプンするような
代物だぞ!
よく見たら何だかやたらギラギラしてない?
も、模造刀でしょう?だよね??
「お、おい」
情けなくも声が震える。
俺ただ名前言おうとしただけなのに。
何か気に障るよな事いった覚えなど無い。
「死ぬぞ?」
殺すぞの間違いだろ。
「いやいや、名前言おうとしただけだから」
「だから止めた。
名乗るな、死にたいのか?」