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匿名くえすと  作者: sei
5/10

では、いってきマース


明らかに俺に話しかけてる!?


造形は整っているが……

白い肌。白い髪。銀色?の目?


銀色??



オイオイオイオイ。


コレって結構ヤバイんじゃね?


つーか、それ以前に人間か?


いやいやいやいや……俺、きっと

TVの見過ぎだわ。

家に帰っても暫くTVやゲームは

止めといた方がいいかもしれない。


幻覚、幻聴とか、シャレにならんだろ。


クソッ!いっそあのおっさんに

“コレ、見えてます?”的な事

聞いてみる?


ちょっと待てよ……いつからいた?コレ。


さっきまで誰も人がいなくていきなり

横にいたくせぇ。

だって足音すら感じなかったぞ。



あまりの驚きでその場を

動けなくなっていた。

再度、目線だけそっちに向ける。



「あのー」


‘ソレ’が何か喋ってる気がするけど、

見えてないフリ。聞こえてないフリ。


俺は視線を線路の方に向けて

知らんぷりを決め込もうとしたのだが、

ソイツはあろうことか俺の顔を

覗き込んできた。


視線が合う……

ってもんじゃねぇぞ、こりゃ。


背筋に凍るような悪寒、

おまけに脂汗まで出てきやがった。


目をつぶりたいけど今更感アリアリで

それもできねぇ。


そんな俺の様子を余所に

ソイツはもう一度、


「お悩みですか?」


とか尋ねてきた。



「ああ」


違う。


今、俺の意思で言ったんじゃない。


信じられない事だが、

口が勝手に動いているんだ。


「どんなですか?」


「恋だよ、恋の悩み!」


俺は焦って手で塞ぐが、

言葉は漏れ出るのだ、勝手に。


「恋?」


不思議そうに聞き返す言葉に苛つく。


「好きな奴がいるってことだ」


何で苛つくのか、何で見ず知らずの

こんな人型の何かに話してのるか

分からない。


ただハッキリしてるのは

自分の意思で無く、

無意識下の想いを無理やり

引きずり出され喋らされてる、

まさにそんな感じだ。


「好きな奴?」


いちいちオウム返しで返される

この言い方に腹が立つ。


「そうだと言ってるだろ!」


「叶えて差し上げましょうか?」


「は?」


「名前、その名前を言って下さい」



余計なお世話だ。


第一、お前みたいな得体の知れないヤツに

関わり合いたくもない。


「……い……い」


クソ。声にならねぇ。


「良い?」


「ちが……」


拒否系の言葉を口にしようとすると

途端話しづらくなる。


それでもどうにか

絞り出すような声がやっと出た。


「い……うか」


「遠慮なく。名前を言って下さい」


遠慮なんかしてねーつーの!!


「ぶ…………」


コイツなんかに言いたくない。

なのに口は又、意に反してそれを

生成しようとしている。



タイミング良く電車がプラットホームに

入ってきたその音で

かき消されたけれど。


ホッとした矢先

ありえないことが起こった。


その少年らしきモノが

俺の腕を徐に取ってそのまま

線路に飛び込んだのだ。



「うわぁぁぁ……」



次第に視界が真っ白になっていく中、



視界に入ったものは―――




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