回収するかどうかは別として
所で皆さん、夢って朝起きた時に
覚えてます？
俺、全然覚えてるんだよね。
っていっても全部じゃなくて
ある特定の夢だけ。
すんごいリアルなの、コレが。
（あー…………またかよ）
何度目だ？コレ。
目を開け天井を見つめること暫し。
再び目を閉じてさっきまで見ていた
夢の記憶を辿る。
最近っていうか
結構前からちょくちょく
同じ夢を見ている気がする。
場面や設定はいつも同じ。
得体の知れない鬱蒼とした森の
取り分け大きな木の下。
ベンチらしき椅子に
巫女っぽい着物を着た女の子がいて
その手には必ず不釣合いな
フランス人形？みたいなモノが
握られていた。
そんだけ毎回同じ夢見てんのに
女の子の顔はハッキリと覚えてないのが
夢らしいっちゃ夢らしいけど
もどかしくてイラッとしてしまう。
しかも俺は女の子の横に座って
何かを話しているっぽいのに
その内容も覚えていないし。
……俺どんだけ欲求不満なんだ？
って話だよ。
ロリコンじゃねーってのに、
俺病んでるのか？
何か事件事故起こす前に
病院行った方がいいのか？
怖すぎて誰にも相談できなんですけど？
いや、正確に言うと以前姉貴に
チラッとこの話をしたら、
「アンタ色んな意味で……可哀想」
とか憐れんだ口調で言われて以来
誰にも言えなくなったんだ。
てか、色々ってなんだよ。
この夢を見ると決まって体の疲労感が
半端なく、頭も痛いんだ。
今日テストあんのに勘弁してくれよ。
ノロノロとベットから起きて
一階に降りる頃にはもう八時を
回っていて、
「ご飯食べれるの？」
「時間的に無理」
母親の声に機械的に答えるのが精一杯。
朝メシ抜きは辛いが、のんびり食ってる
時間はない。
さっき、どうして夢の内容を追尾
しようと考えたんだろう。
再現させるどころか
うっかりそのまま二度寝をする
ハメになってしまった。
（仕方ない、二時限辺りで購買いくかな）
歯を磨きながら鏡の中の冴えない顔を
覗き込む。
「邪魔なんだけど？」
鏡越しで目が合った二歳上の姉貴は
外面は良いが俺に対しては
単なるパシリとか思っていない様で
いつもぞんざいな扱いを受けている。
「見ても見なくても顔変わんないって」
じゃ、姉貴もだろう？
と簡単に言えないくらいには
調教済みの自分が悲しい。
こういう時は速やかに場所を譲った方が
得策だと嫌という程思い知らされてきた。
「よしよし、イイ子イイ子」
俺は犬か。
だからって尻尾は絶対ふらないからな！
そんな虚しい見栄を内心で吐きつつ、
俺は早々に家を出たのは良いが
玄関を出てすぐに誰かと
ぶつかりそうになった。
「痛っ！もう！ちゃんと前見てよね！」
「あ、悪い」
ギロリと睨んで走って行く
その女の子は小学生だった。
……どうやら俺はとことん女運を
持ち合わせていないようだ。
